「私も、お義姉様と一緒にお散歩したいです」「まあ、嬉しいですわ」レティーシャが喜ぶと、オリヴィアは嬉しそうに笑う。そんなオリヴィアを見る兄二人の『仕方がないな』と苦笑するような目はとても優しい。(仲の良いご兄弟だわ)この三人を見て、レティーシャは気づいたことがある。最初はこの『仲の良い』が羨ましいのだと思っていたが、いまは『きょうだい』が羨ましいのだと分かっている。(私とラシャータ様の関係は『異母姉妹』ではないのね。そして……)ロイとグレイブ、リイとカシムなど、ウィンスロープ邸には『親子』が何組かいるが、レティーシャと伯爵のような関係の人たちはいない。(私と伯爵様の関係も、親子ではないのね)自分が死んだことになっている理由も、方法も、レティーシャには分からない。でも、レティーシャを死んだことにして隠していた理由については察しがついている。 .レティーシャは伯爵邸から出ることを許されなかったが、月に一度、馬車に乗せられて伯爵と共にある場所に行っていた。レティーシャに場所は分からないので、『連れていかれた』というほうが正しい。(いつも、月のない夜だった)新月の夜は、分厚いマントを被り、フードで顔を隠してレティーシャは裏口に向かう。裏口には、ここに来る日はいなかったが、門番が一人いる。レティーシャのことを伯爵が何と言ったか分からないが、門番は見て見ぬふりをしてレティーシャを通す。家紋のついた馬車には、伯爵が乗っている。伯爵の部下がレティーシャの目を隠し、レティーシャは馬車に乗せられる。真っ暗な世界で、馬車の車輪の音をレティーシャは聞いていた。連れていかれるのは、いつも同じ古びた聖堂。廃墟のようなそこには、いつも目隠しをした人が幾人もいた。レティーシャは目隠しを外され、伯爵とあまり年の変わらない男の神官の説明に従って、聖女の力を使う。彼らはレティーシャのことを『聖女様』と呼び、伯爵と神官に金品を渡していた。(あれはいけないことだった)治癒力は国が管理しているから、レティーシャはそれが国王の指示だと思っていた。面倒だとか言って嫌がるラシャータの代わり、だと。でも、違った。公爵邸の図書館にあった何代か前の当主の手記にあったのは、聖女の護衛計画。聖女には王家が護衛兼見張りの者をつけている。そのことは公
Last Updated : 2026-01-04 Read more