窓から外を見れば空はまだ宵が明けたばかりの薄紫色。(ここに来たときも、あんな色の空でしたね)同じなのは空の色だけ。あとは全く違う。いまのレティーシャの周りはとても賑やかだ。それがレティーシャには夢のように嬉しい。 「キツネ狩りはこの早起きがつらいのよね」眠そうな声に隣を見れば、ガウン姿で椅子に座るオリヴィア。支度をする侍女たちに囲まれている。オリヴィアから見れば自分も同じだろうとレティーシャは思った。夜明け前から淑女たちの準備で屋敷内が騒がしくなるがキツネ狩り。眠気覚ましにお風呂に入り、朝食のサンドイッチを抓みながら女性はお喋りしながら準備を整える。「男性陣は準備に時間かからないものね。ケヴィン兄様は絶対まだ夢の中よ。昔から早起きが苦手なの。私は頑張ったわ」ピッカート伯爵夫妻と婚約者のソーンが王都に到着してから、オリヴィアはウィンスロープ邸とピッカート邸を一日に何往復もしている。婚約者か義姉か選べとアレックスは言っている。「アレク兄様は唐変木なのよ。女性は一番きれいな自分だけを大好きな人に見てもらいたいものなのに」「そのために早起きしてこちらに移動してきたオリヴィア様は素敵……」「きゃあっ!」「サリー! トレーをちゃんと持つなんて侍女の基本。基本中の基本よ!」ガシャンッと音がしてレティーシャがそちらを見ると、トレーを落とした臨時侍女サリーをトニアが叱っていた。このキツネ狩りに合わせてウィンスロープ邸は臨時で使用人を多めに雇った。ほとんど下男や下女だが、侍女が二名と侍従が一名増えた。彼ら三人は屋敷内の仕事がメインのためレティーシャも紹介された。「で、できません。だってこれ重……」「重くて当然! それは歴史ある由緒正しきトレー。ウィンスロープの長い歴史を乗せていたのだからね!」「心理的なものではなく、両手で持っても手が震え……」「その緊張感よし! さあ、もう一回よ! できなければ城には連れていけないからね!」見本とばかりにトニアはトレーを片手で持ち上げる。ヒョイッという音がしそうなほど軽快だ。「う、嘘っ!」「常識を捨てなさい。その目で見たもの、その耳で聞いたものだけを信じなさい」トニアはトレーをサリーに向け、サリーは震える両手で受け取ろうとしたが――。「重っ」「サリー!」振り出しに戻る。.「オリヴィ
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