一同は椅子に座って三次元ホログラフィーとディスプレーの映像を眺めた。「それにしてもすごい絵柄だな」と幸一。「生首がのったテーブルの前で、範経とプラチナブロンドの美女とのセックスなんてな。まるで悪魔召喚の儀式だよ」「兄さんは悪魔なのよ」と圭。「そうだったな」と幸一。「悪魔が安心して住めるのは、夢の国だけ」と明。「気の毒なことだ」と幸一。 父親の幸一と妹の圭と明は、範経の危険な性格の二面性、つまり二重人格に気が付いている。悪魔は暗いほうの人格の例えである。「他人事ね」と涼子。「俺にどうしろっていうんだ?」と幸一。「心配じゃないの?」と涼子。「いいや別に」と幸一。「戻ってこなかったらどうするの?」と涼子。「いいじゃねえか。夢の世界で幸せそうだろう」と幸一。「出てきたって、また気まずいだけだ。お前たちに一日中干渉される生活が続くんだからな」「かわいそうだから、かまってあげてるのよ」と涼子。「その話はもういいよ」と幸一。「ここでお前たちにできることは何もない」「私たちは兄さんの夢の世界に行くわ」と圭。「何をしに?」と幸一。「兄さんの側にいるためよ」と明。「迷惑がられるぞ」と幸一。「そんなことはないわ」と圭。「私たちは悪魔のしもべだから」と明。「行ってどうする」と幸一。「悪魔と交わるのよ」と圭。 幸一が顔をしかめた。「夢の世界に血のつながりなんて関係ない」と明。「あちらの世界で私たちは自由に生きるわ」と圭。「まさに悪魔の所業だな」と幸一が笑った。「そんな不健全なこと、範経に絶対させないわよ」と由紀。「私たちが範経を説得する」と祥子。「そして範経をこの世界に連れ戻すわ」 警報が鳴って、美登里が慌ててマイクをオンにした。「何があったの?」「演算処理システムの使用率が八十パーセントを超えています」とレイ。「演算処理装置の温度が上昇中です。このままではオーバーヒートしてシステムが停止します」「モニターに演算装置の状態を表示して」と涼子。「何の処理にこんな計算量を使ってるの?」と美登里。「同期でのお父様と私のイメージ共有に計算資源を使っています」とレイ。「さっきまで何ともなかったでしょ?」と涼子。「私の体をお父様のイメージ世界に投影するのに処理が追い付かないのです」とレイ。「レイ、あなたは一度
Last Updated : 2026-01-29 Read more