All Chapters of 二人の彼女がいる理由: Chapter 91 - Chapter 100

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第89話 悪魔

 一同は椅子に座って三次元ホログラフィーとディスプレーの映像を眺めた。「それにしてもすごい絵柄だな」と幸一。「生首がのったテーブルの前で、範経とプラチナブロンドの美女とのセックスなんてな。まるで悪魔召喚の儀式だよ」「兄さんは悪魔なのよ」と圭。「そうだったな」と幸一。「悪魔が安心して住めるのは、夢の国だけ」と明。「気の毒なことだ」と幸一。 父親の幸一と妹の圭と明は、範経の危険な性格の二面性、つまり二重人格に気が付いている。悪魔は暗いほうの人格の例えである。「他人事ね」と涼子。「俺にどうしろっていうんだ?」と幸一。「心配じゃないの?」と涼子。「いいや別に」と幸一。「戻ってこなかったらどうするの?」と涼子。「いいじゃねえか。夢の世界で幸せそうだろう」と幸一。「出てきたって、また気まずいだけだ。お前たちに一日中干渉される生活が続くんだからな」「かわいそうだから、かまってあげてるのよ」と涼子。「その話はもういいよ」と幸一。「ここでお前たちにできることは何もない」「私たちは兄さんの夢の世界に行くわ」と圭。「何をしに?」と幸一。「兄さんの側にいるためよ」と明。「迷惑がられるぞ」と幸一。「そんなことはないわ」と圭。「私たちは悪魔のしもべだから」と明。「行ってどうする」と幸一。「悪魔と交わるのよ」と圭。 幸一が顔をしかめた。「夢の世界に血のつながりなんて関係ない」と明。「あちらの世界で私たちは自由に生きるわ」と圭。「まさに悪魔の所業だな」と幸一が笑った。「そんな不健全なこと、範経に絶対させないわよ」と由紀。「私たちが範経を説得する」と祥子。「そして範経をこの世界に連れ戻すわ」 警報が鳴って、美登里が慌ててマイクをオンにした。「何があったの?」「演算処理システムの使用率が八十パーセントを超えています」とレイ。「演算処理装置の温度が上昇中です。このままではオーバーヒートしてシステムが停止します」「モニターに演算装置の状態を表示して」と涼子。「何の処理にこんな計算量を使ってるの?」と美登里。「同期でのお父様と私のイメージ共有に計算資源を使っています」とレイ。「さっきまで何ともなかったでしょ?」と涼子。「私の体をお父様のイメージ世界に投影するのに処理が追い付かないのです」とレイ。「レイ、あなたは一度
last updateLast Updated : 2026-01-29
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第90話 投影

 人工知能のレイは音声で涼子の質問に答えた。「お父様の心象世界に皆さまの身体イメージを投影することができます」「そのためには同期が必要なのね」と美登里。「はい」とレイ。「同期して身体イメージの情報を読み取り、お父様の心象世界に矛盾のないように映し出し、同時にそれを皆さまで共有することができます」「範経の見ているイメージを私たちの脳内で再生するということね」と涼子。「その通りです」とレイ。「ところで、心象世界とか心の中のイメージっていうのは面倒くさいから、ここではまとめて『夢』って言うことにしない?」と美登里。「そうね、それがいいわ」と涼子。「呼び方が色々あると煩わしいから」「それに今の範経から見れば、心の中で作り出した世界と夢の区別なんてつかないはずだから、私も夢で統一したほうがいいと思うわ」とシャーロット。「ではそうしましょう」と美登里。「レイ、それで、何人まで夢を共有できるの?」と涼子。「今のハードウェアの性能では二人が限界です」とレイ。「この三次元ホログラム映像は維持できる?」と美登里。「はい。可能です」とレイ。「だが、どのように夢の中の体と現実の体を区別するのかい?」とロバート。「現実の体の五感を遮断します」とレイ。「それで、夢の中の体のみを認識するというわけだ」とロバート。「はい」とレイ。「同期すれば、電脳から人の五感を制御できます。ただし、通常より高い整合率の同期が必要となります。電脳の信号を導入しやすくするために仮想現実用のヘッドセットとゴーグルを装着していただきます」「危険じゃないのかい」とロバート。「元の体に戻れないかもしれない」「それは、やってみないとわかりません」とレイ。「安全は保障しかねます」「すぐに準備するわ」と美登里。「ためらいなしか」と幸一。「範経へのひどい執着だな」「忙しいんだから、突っ立って邪魔しないで!」と涼子。「すばらしいね」とロバート。「一気に技術革新が進むよ」「他人事だな」と幸一。「夢の中で出会うことができるなんて、すごいじゃないか」とロバート。「私たちは人間の意識にかかわる革命的な技術的進歩の現場に居合わせている」「だが、これは特殊な状況だよ」と幸一。「範経のやたらに精密な空想世界の存在と普通ではありえない高い整合率の同期という条件がそろっている」「だとしてもこれは、
last updateLast Updated : 2026-02-01
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第91話 由紀と祥子

 美登里と涼子は由紀と祥子を医療用のリクライニングシートに座らせ、同期に必要な装備を身につけるのを手伝った。 圭が制御卓を操作して電脳の状態と二人のバイタルサインに異常がないことを確認した。「無理をしないで」と美登里は由紀と祥子に言った。「範経に自分が夢にいることを理解させるだけで十分だから。後は私たちに任せて」「十五分後に玄関の呼び鈴を鳴らしたら、帰ってくるのよ。でないと正常に戻れなくなるから」 涼子はゆっくり丁寧な口調で説明した。「それから、家の門を出たところに不自然なドアをつけてあるわ。ドアを開けて中に入ると目が覚める仕組みよ」と涼子。「どこでもドアみたいなものでしょうか」と由紀。「そうよ。いかにも夢の中でしかありえないようなサイケデリック調のデザインにしてあるから」と涼子。「帰るときはそのドアを開けてこちらに戻るのよ」「夢に入るとき、想像した髪型と衣服を電脳が準備してくれるわ」と美登里。 由紀と祥子は眠りに落ちたような感覚の後、気がつくと範経の家の前に立っていた。由紀はポニーテールで髪をまとめ、パステルカラーのTシャツにミニスカート。祥子の髪はツインテールで、体にぴったり合ったニットのワンピースドレスを着ていた。 呼び鈴を押してから、家の敷地に入った。ドアを開けて玄関ホールに入った。正面の壁に大きなフォーシスターズの油絵が掛けられている。「おじゃまします」 二人は靴を脱いで家に上がった。「たしかに三年前の塚原家のお宅ね」と由紀。「そうだね」と祥子。「範経の嫌いなクリスマスツリーが飾ってある」 由紀がリビングダイニングのドアをノックした。返事がないが、ドアを開けた。テーブルには塚原家の家族の生首が並べられており、その奥のソファーに範経が座っていた。ラボのホログラフィーで見たリビングルームの景色だった。「範経、メリークリスマス!」と由紀。「今日は騒ぐよ!」と祥子。 二人が近づくと、範経が立ち上がって作り笑いをした。中学時代の姿の範経は小学生のように小さかった。「範経、もう心配ないわよ。私たちが一緒だから」 由紀が範経を抱きかかえた。  「もう一人にしないよ」 祥子が後ろから、由紀もろとも範経を羽交い絞めにした。「苦しいよ」と範経。「わかったから少し離れて」 由紀と祥子は範経をはさんでソファーに座った。
last updateLast Updated : 2026-02-02
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第92話 夢の中

 範経が落ち着いたのを見て、両側に座った由紀と祥子が世間話のように話しかけた。「ねえ範経、窓の外を見て。景色が変だと思わない?」と由紀。「見渡す限りの原っぱなのよ」「そうだね。おかしいと思ってた」と範経。「お家は住宅地のはずでしょ?」と由紀。「うん」と範経。「なぜだろう」「ここは夢なのよ」と由紀。「それは違う。その可能性はもう考えたよ」と範経。「ここは夢じゃない。夢にしてはリアルすぎる」「そういう夢なのよ」と由紀。「ぼくには夢の中で夢だと気が付くことがよくある。それは明晰夢だ。だがこれは違う」と範経。「明晰夢なら簡単に目が覚めるはずだ。むしろ明晰夢を維持するほうが難しい」「これは深い夢なのよ」と由紀。「なるほど」と範経。「だとするとぼくは今、夢の中の人物にここが夢なのだと説得されていることになる」「変かしら?」と由紀。「変というか、不自然だね」と範経。「夢は無意識下の情動により引き起こされる現象だ。多くの場合、無自覚な欲求不満の解消が目的だ。それなのに出てきた人物が、わざわざここが夢だと教えたりするだろうか。あるいはこれが夢だとしたら、ぼくの無意識は何をしたいのだろうか。つじつまが合わない。何か人為的な現象のような気がするよ」「範経、変な理屈をこねないで私の言うことを聞いて!」と祥子。「私たちは夢の定義なんて知らないけれど、どうしてここに範経がいるか知ってるよ」「え?」と範経。「範経は心に深い傷を負ったからここにいるんだ」と祥子。「無意識だか何だか知らないけれど、範経の心があんたから記憶を奪ってここに閉じ込めた」「何のために?」と範経。「あなたを癒すためよ」と由紀。「あなたはもう一歩も歩けないくらいに傷ついている。あなたの心がそう判断して、あなたをここに閉じ込めたの」「傷ついているのか、このぼくが?」と範経。「そうだよ」と祥子。「自分で分からないの?」「確かに疲れてはいるが、傷つくとはどういうことだ?」と範経。「範経は、家族のことが嫌いなんでしょ?」と由紀。「嫌いだから殺した」と範経。「あなたは疲れているのではなくて、死にそうなほど苦しんでいるのよ」と由紀。「わからないの?」「苦しんでいる?」と範経。「そうよ」と由紀。「もうやめてくれって心が叫んでいるのよ」「どうして?」と範経。「なぜ家族を殺したの?」と由紀。
last updateLast Updated : 2026-02-03
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第93話 宴

 ラボの三次元ホログラフィーに由紀と祥子と範経の情事が映し出されていた。「二人とも、いいように手玉に取られてるわ」と涼子。「まさか競わされるとはね」 美登里はあきれた表情をした。「説得するんじゃなかったの?」とシャーロット。「犯されてるのに本能むき出しで悦んでる」と圭。「本当だわ。由紀って、すごい鳴き声」と明。「いつも清純ぶってるくせに」「あの二人の彼女って、範経になら何をされてもいいのね」と言ってシャーロットが顔をしかめた。「すごい姿だわ」「兄さんって、あの二人にこんな妄想してたんだ」と明。「結構、Sよね。兄さん」と圭。「お兄ちゃん、いつもと別人みたい」と麗華。「あの二人、大丈夫かしら」と涼子。「こんなペースでは十五分でも長いわ、ふふふ」「絶倫だわ」とシャーロット。「体が弱そうなのに」「夢だからかしら」と美登里。「由紀と祥子を二人セットで送ってよかった。どちらか一人ではまったく太刀打ちできないわ」と美登里。「やっぱり範経には彼女が二人必要ね」「それにしても、範経って夢の中では別人ね」とシャーロット。「現実では謹直居士なのに」と涼子。「そもそも兄さんは現実の女に興味がないのよ」と圭。「彼女なんていらないわ」「理解者の私たちがいれば十分よ」と明。「そうね。だけど範経を現実につなぎ留めておくには、彼女は多いに越したことはないわ」と美登里。「この機会に婚約者として女の良さを教えてあげるわ」と涼子。「三人とも楽しそう」と言って麗華がうれしそうな顔をした。「麗華ちゃん、あなたはやめておいた方が……」と美登里が言いかけたが、麗華ににらまれて口ごもった。「そろそろ十五分経つわ」と美登里が言いながら、マイクのスイッチを入れた。「レイ、そろそろ玄関の呼び鈴を鳴らして」「承知しました」とレイが返事をした。 ピンポーンと塚原家の玄関の呼び鈴が鳴った。だが、リビングルームの情事はおさまるどころか、さらに激しくなっていった。「止まらないわ」と美登里が慌てた。「もっと鳴らして!」と涼子がマイクに向かって叫んだ。 ピンポーン、ピンポーン、ピンポーンと続けて呼び鈴が鳴ったが、効果がなかった。「電話も鳴らして!」と美登里。 ピリリリリ、ピリリリリと電子音が部屋に響いたが、やはり情事は続いていた。「こんなの止まるわけな
last updateLast Updated : 2026-02-04
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第94話 美登里と涼子

 美登里と涼子はバニーガールの衣装で範経の夢に入り、リビングルームのドアを開けた。「姉さんたち、パーティーに行ったんじゃないの?」 範経はびっくりした顔をした。「そうよ、あなたへのサプライズパーティーよ」 美登里は頭の後ろで手を組んでポーズをとった。「あなたのために準備したの」 涼子が肩を持ち上げて科を作った。「冗談でしょ?」と範経。「何でそう思うの?」と美登里。「そんなことをする理由がないよ」と範経。「あなたとクリスマスを過ごすためよ」と涼子。「姉さんたちに何の得もないでしょ?」と範経。「あなたが喜んでくれれば、うれしいわ」と美登里。 範経は怪訝そうな顔をした。「見返りは何? ぼくに何をさせたいの?」「かわいい弟と過ごすのに、損得なんてないわよ」と涼子。「やっぱり偽物だね。帰ってよ。このテーブルの上の生首が見えないの?」 範経が怖い顔をした。「ぼくは姉さんたちが嫌いなんだよ。だから殺したんだ」「ごめんなさい」と美登里。「でも少しだけ話を聞いてほしいの」「いやだよ」と範経。「さっき首を切り落とした姉さんたちがここにいるなんて、おかしいじゃないか。あんたたちは誰?」「私は正真正銘、あなたの従姉の前川涼子よ」と涼子。「ここは夢の世界だから、つじつまが合わないことが起こるの」「そうなんだ」と範経。「夢だとしても、姉さんたちはいらない」「あなたのことが好きなの」 美登里は満面の笑顔を作った。「あなたと一緒に過ごしたいのよ」「ぼくは姉さんたちが嫌いなんだ」と範経。「だからどこかに行ってほしい」「そんな悲しいこと言わないで。今日はお姉さんたちが何でもしてあげるから」 涼子も笑顔で媚を売った。「そうなんだ」と範経。「じゃあ試してあげる。その笑顔のまま、テーブルの上の自分の生首を持ち上げてよ」 美登里と涼子は凍り付いた表情をした。「できないの?」と範経。「やっぱり嘘なんだ」「それぐらいなんでもないわ」 美登里と涼子は自分の生首を抱えて持ち上げた。「顔の高さまで持ち上げて、こちらに向けて」と範経。 二人は顔をこわばらせながら、範経の言葉に従った。「笑って」と範経。 美登里は作り笑顔を範経に向けた。「涼子姉さんは無理なんだ」と範経。「平気よ!」 涼子はひきつった笑顔を見せた。「なかなかいいよ」
last updateLast Updated : 2026-02-05
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第95話 拘束

 十五分の合図の電話がピリリリリと鳴った。「お座敷は終わりだ」と範経。「嫌よ」と美登里。「あなたが本当に満足してくれるまで、帰らないわ」「満足って?」と範経。「あなたが持ってる、私たちへのわだかまりが無くなるまでよ」と美登里。「ぼくが姉さんたちを好きになるなんてありえないよ」と範経が笑った。「それなら、好きになってもらえるまで帰らないわ」と美登里。「私たちは何でもするわよ」と言って涼子は衣装の黒いブラを外した。豊かなバストが露出した。「範経の言うとおりに」「これはあなたの夢の中の出来事なのよ」と言って美登里もブラとショーツを脱いで床に落とした。「ここでなら、血のつながった私を犯しても誰も咎めない」「そうなのか」と範経。「それなら試してみようかな」「いいわよ!」と言って、美登里と涼子はポーズをとった。 範経は「ふーん」と言いながら、美登里と涼子の後ろに回った。「お尻が気になる?」と言って、涼子が尻を上げて媚を売った。「二人とも後ろで手を組んで」と範経が言った。「こうかしら?」と美登里が背中に両手を回して胸を張った。「それで、左右の手首を合わせて」と範経。「こう?」と涼子。「これは坊僧筋のストレッチのポーズね」「そう。そのままにしてて」と範経は言って、すばやく美登里の両手の手首を合わせて結束バンドで固定した。続いて涼子の手首にも結束バンドを巻いた。 美登里と涼子は後ろ手に縛られた状態になった。「こんなことをしなくても、何でも言うことを聞くわよ」と言って美登里は顔をひきつらせた。「そうかな」と範経は親指と人差し指で乳首を挟み込むようにして右掌で乳房を握った。さらに左掌で同様に涼子の乳房を握った。「つかんで引っ張るよ」と言って範経は両掌に力を入れた。「痛い! 痛い! 痛い!」と美登里が叫んだ。「きゃあああ!」と涼子が悲鳴を上げた。「これでもぼくのことが好き?」と範経が言って力を弱めた。「好きよ。大好きよ」と美登里。「あなたになら何をされても平気」と涼子。「そうなんだ」と範経。「じゃあ、しばらくぼくのことが好きだって言い続けてくれる?」「お安い御用だわ」と美登里。「範経のことが大好きよ。範経のことが大好き。範経の……」「じゃあ始めるよ」と言って範経は乳房を握っている両掌に力を入れ始めた。 美登里と涼子は顔をゆがめな
last updateLast Updated : 2026-02-06
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第96話 暴行

 ラボの三次元ホログラフィーに、範経が美登里と涼子をいたぶる様子が映し出されている。「二人の自尊心をつぶすつもりね」と圭。「プライドの高い美登里姉さんがよだれ垂らして泣き叫んでる」と明。「いい気味だわ。あはは」と圭。「鼻をつまんで押し込んじゃえ」「窒息しちゃう!」と麗華。「大丈夫よ。夢の世界では呼吸なんてしてないから」と明。「やっちゃえ! やっちゃえ!」と明が珍しくはしゃいだ。「容赦ないわね」とシャーロットが笑みを浮かべた。「そこまでしなくても……」と由紀。「だけど範経、楽しそうに腰を振ってるわ」と祥子。「次は涼子さんの番ね。仰向けにされてあちこちいじられてる」とシャーロット。「機械の調整をしてるみたいだわ」「すごく滴ってる」と圭。「面白いわ。まだ、好きよ好きよ愛してるって言わされてる」と明。「また絶頂した」とシャーロット。「それにしても、範経のあれってまったく弱らないわね」「夢だから、好きなだけ続けられるのよ」と圭。「絶倫だわ」と祥子。 次第に範経の行為はエスカレートしていった。「美登里先輩、今度は後ろから押さえつけられてる」と祥子。「無理やりされて震えながら泣いてる」と由紀が心配そうに言った。「弟にかわいがられて喜んでるのよ」と明。「お兄さんは楽しそうだけど、少し怖い」と麗華。「こんなの遊んでるだけよ」と圭。「兄さんは前に私たちを殺してるんだから」 麗華は怯えた顔をした。「本当に、あなたはやめておいた方がいいわよ」  明は真剣な目で麗華を見た。 「兄さんは悪魔だから」「そんな……」と麗華。「あそこに行くのは、考え直した方がいいわよ」と圭。「結束バンドをつけなおしてる」と明。「腕の後ろのバンドを切って、左右それぞれの手首と足首を固定してるのか」と祥子。「二人とも素直に言うことを聞いてるわ」と由紀。「もう縛らなくても逃げないのに」「兄さんは二人の自由を奪って楽しんでるの」と圭。「この縛り方の方が、仰向けにしたとき股を広げやすいからか」と祥子。「それにしても、容赦ないわね」とシャーロット。「イカされ続けて、二人ともおもちゃみたいになってる」「範経のアレは棒切れみたいに立ちっぱなしだわ」と祥子。「あれでイクまで突かれ続けるんだから、最高だわ」と圭。「しかも何度も何度も連続で」と明
last updateLast Updated : 2026-02-07
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第97話 圭と明

 範経はぐったりとソファーにもたれこんだ。「兄さん、どうしたの?」と明。「ひどい悪夢だよ」と範経。「家族の首を切り落とした上に、また現れた姉さんたちにあんな虐待をしてしまうなんて」「兄さん、記憶が戻ったの?」と圭。「記憶って?」と範経。「この夢の世界に来る前の記憶よ」と明。「ここに来る前?」と範経。「そもそも、どうしてこの変な世界にぼくがいるの?」「まだ思い出してないみたいだわ」と圭。「でも、だいぶ高校生の兄さんらしくなってきた」と明。「二人とも何を言ってるの?」と範経。「兄さんは、どうしてここに来たのか思い出したら戻れるわ」と明。「それまで私たちが一緒にいてあげる」と圭。「どうしたら思い出せるの?」と範経。「自分の気持ちに正直になったら思い出せるわ」と明。「自分の気持ち?」と範経。「そうよ」と圭。「なぜ私たちがこんな格好してるか知ってる?」 圭が腰に手を置いてレザービキニの赤いトップスをつけた胸をそらせた。「なぜ?」と範経。「分からないの?」と明。「兄さんを誘惑するためよ」と圭。「そうなのか」 範経はハハハと笑った。「傷つくわ」と明。「私たちに何かしてほしいことはないの?」と圭。「生首持って踊ろうか?」「何でそんなことするの?」と範経。「姉さんたちにさせてたでしょ?」と明。「そうだったね。なんでだろう?」と範経。「あのとき、ぼくは変だった」「だめだわ。兄さんの毒気が完全に抜けてる」と圭。「兄さん、私たちを襲ってよ」と明。「どうして?」と範経。「期待してたのよ。私たち」と圭。「情熱的な兄さんに押し倒されるの」「ぼくは可愛い妹を襲ったりしないよ」と範経。「でも、兄さん、私たちのこと嫌ってたでしょ。私たちは兄さんのことを仲間外れにして、無視して、奴隷みたいにこき使ってた」と明。「ずいぶん前のことじゃないか」と範経。「いつのことか覚えてる?」と圭。「そういえば、昨日のことのような、ずっと以前のことのような」と範経。「はっきりしないな。そういえば、ぼくは今日、家族を殺して首を切り落としたのか。何かに怒っていたような気がするけど、何だったのだろう」「兄さんは働きたくなかったのよ」と明。「そうだった」と範経。「少し思い出してきたよ。ぼくはもう働きたくないから、家出したはずなんだ。そ
last updateLast Updated : 2026-02-08
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第98話 誘惑

「今、気がついたけど、君たちはぼくが知っている圭と明とは少し違う」と範経。「圭と明の性格はつっけんどんで、こんなに優しくなかった。そして体がもっと小さかった」「大きくなっただけじゃないわ。体が大人になったのよ」と圭。「気になるでしょ、私たちの胸」と明。「未来の圭と明っていうこと?」と範経。「私たちにとっては今」と圭。「というか、夢の中で時間なんて関係ないわ。兄さんの夢の中では、私たちはこの姿ということよ」「君たちの姿にぼくの問題を解くカギがあるということか」と範経。「問題なんて何もないわ。これはクイズじゃないのよ」と明。「兄さんがここにいて悪いことは何もない」「そうだね。六人も殺したのに、警察が来ない。それどころか、殺したはずの人間が、こうしてぼくに会いに来る」と範経。「ここは夢の中なのよ。警察なんて来ないわ」と明。「兄さんの好きにしていい世界なのよ」「なるほど。たしかに、この家の外は現実世界では見たことのない景色だった」と範経。「ぼくか、あるいは他のだれかの想像が作り出した世界ということか」「兄さん、そんな理屈はどうでもいいことなの!」と圭。「大事なのは兄さんがここで何をして過ごすかなのよ」「どういうこと?」と範経。「兄さんはここで幸せになれば、それでいいのよ」と明。「兄さんが何も心配しなくていい世界、何もかもが都合のいい世界なのよ」と圭。「ぼくにとって都合のいい世界? それはちょっと違う」と範経。「ぼくは気に食わない家族を殺した。そして再び出てきた美登里姉さんと涼子姉さんに暴行した。これは都合のいいことなのかい?」「幸せになるために必要なことだったのよ」と明。「人を殺したり、暴行したりっていうことが?」と範経。「これは夢なのよ」と圭。「現実でいいことが、夢の中でもいいってわけじゃないわ。夢の中では、夢でしかできないことをしなきゃいけないのよ!」「兄さん、これはチャンスなのよ!」と明。「現実で行き詰ったことを、ここで解決できるのよ!」「そのために君たちが現れたということ?」と範経。「そうよ。兄さんは家族関係にストレスを感じていた。だから家族を殺して解決した。美登里姉さんと涼子姉さんとの関係に問題があった。だから暴行してうっ憤を晴らした」と圭。「それが解決なのか?」と範経。「そうよ。兄さんは今でも美登里
last updateLast Updated : 2026-02-09
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