「その話を誰にもしていないだろうな?」と幸一。「だれにも、家族にもしてないよ」とロバート。「秘密にしてくれないか?」と幸一。「事実だと認めてくれればね」とロバート。「いいだろう? 美登里」と幸一。「範経、いいわよね?」と美登里。「わかったよ」と範経。「おおむねロバートさんの推論の通りです。範経がわが社の中枢電脳の開発者です」と美登里。「やはりそうか。別に君たちを強請るつもりはないんだ。私は範経君を高く買っているんだよ。範経君が社長になったと聞いて駆け付けたのはそのためだ」とロバート。「評価してくださるのはうれしいですが、わが社の業績はぱっとしません」と範経。「そんな話をしに来たんじゃないよ。私は投資家じゃないからね」とロバート。「ではどのような?」と範経。「将来の技術だよ。ここに来れば、有望な発明が見つかるかもしれないと思ってね」とロバート。「残念ですが、今のところ何もありません。日々の金策で右往左往している状態です」と範経。「そうかもしれないな。だけど私は君の将来に期待しているよ」とロバート。「ありがとうございます」と範経。「ところで家族と来ているのだが、娘のシャーロットと会ってくれないだろうか。覚えているだろう?」とロバート。「ええ、まあ一応……」と範経。「シャーロットは君の非凡さが彼女なりに見えているようなんだ。相手をしてあげてほしいんだ」とロバート。「あの、少し忙しくて……」と範経。「範経」と言って美登里が範経をにらんだ。「わかりました、喜んでお会いしますよ」と範経がにっこり笑った。「それから美登里さん、実は息子のトムがあなたに会いたがっているんだが、適当にあしらってくれないか。父親の私が言うのはなんだが、あいつはただ色気づいているだけなんだ」とロバート。「わかりました。観光の案内くらいはさせていただきます」と美登里。「申し訳ない」とロバート。「よろしければ、ご家族での夕食にご一緒させていただけませんか?」と美登里。「そうしてもらえるとうれしいよ」とロバート。
Last Updated : 2026-01-03 Read more