All Chapters of 二人の彼女がいる理由: Chapter 61 - Chapter 70

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第61話 開発者

「その話を誰にもしていないだろうな?」と幸一。「だれにも、家族にもしてないよ」とロバート。「秘密にしてくれないか?」と幸一。「事実だと認めてくれればね」とロバート。「いいだろう? 美登里」と幸一。「範経、いいわよね?」と美登里。「わかったよ」と範経。「おおむねロバートさんの推論の通りです。範経がわが社の中枢電脳の開発者です」と美登里。「やはりそうか。別に君たちを強請るつもりはないんだ。私は範経君を高く買っているんだよ。範経君が社長になったと聞いて駆け付けたのはそのためだ」とロバート。「評価してくださるのはうれしいですが、わが社の業績はぱっとしません」と範経。「そんな話をしに来たんじゃないよ。私は投資家じゃないからね」とロバート。「ではどのような?」と範経。「将来の技術だよ。ここに来れば、有望な発明が見つかるかもしれないと思ってね」とロバート。「残念ですが、今のところ何もありません。日々の金策で右往左往している状態です」と範経。「そうかもしれないな。だけど私は君の将来に期待しているよ」とロバート。「ありがとうございます」と範経。「ところで家族と来ているのだが、娘のシャーロットと会ってくれないだろうか。覚えているだろう?」とロバート。「ええ、まあ一応……」と範経。「シャーロットは君の非凡さが彼女なりに見えているようなんだ。相手をしてあげてほしいんだ」とロバート。「あの、少し忙しくて……」と範経。「範経」と言って美登里が範経をにらんだ。「わかりました、喜んでお会いしますよ」と範経がにっこり笑った。「それから美登里さん、実は息子のトムがあなたに会いたがっているんだが、適当にあしらってくれないか。父親の私が言うのはなんだが、あいつはただ色気づいているだけなんだ」とロバート。「わかりました。観光の案内くらいはさせていただきます」と美登里。「申し訳ない」とロバート。「よろしければ、ご家族での夕食にご一緒させていただけませんか?」と美登里。「そうしてもらえるとうれしいよ」とロバート。
last updateLast Updated : 2026-01-03
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第62話 トム

 その日の夕方、範経は姉の美登里と従姉の涼子に伴われてレストランに赴いた。ロバートの家族、それからロバートの観光案内をしている父親の幸一と共に食事をした。「美登里さん、君はさっき交際している相手はいないと言ってたよね」とロバートの息子のトム。「ええ」と美登里。「ではぼくと付き合ってくれないか。初めは友達でいいんだ。ただ前提として……」とトム。「断るわ」と美登里。「なぜだ?」とトム。「私には心に決めた相手がいるの」と美登里。「それは、だれなんだ?」とトム。「言えないわ。ただ誰からも理解されない相手よ」と美登里。「そんな話は断るための口実だろう? ぼくは誠実で立派な人間だ。学歴と資産があって将来が約束をされている。健康なスポーツ選手で、自分で言うのもなんだが、見た目も悪くない男だよ」とトム。「そんなことは特別に好きになる理由にはならないわ」と美登里。「どこが不満なんだ」とトム。「トム兄さん、しつこいわよ」とシャーロット。「なぜ心に決めただけで、交際していないんだ」とトム。「私の気持ちを伝えても、気が付かないか、知らないふりをしているのよ。その相手は」と美登里。「そんな相手になぜこだわるんだ。その相手は誰なんだ!」とトム。「明日、兄さんは美登里さんに観光案内をしてもらう、私は範経に会社を案内してもらう。一緒にいられるチャンスをもらえたのだから、いいじゃない。それで満足するべきよ」とシャーロット。「納得できない。幸一さん、誰なんですか、美登里さんに気を持たせている相手は?」とトム。「知らないよ、知りたくもない」と幸一。「この人は知っているわよ。認めたくないの」と美登里。「美登里がなぜ範経の腕にずっと手を置いているか、わからないの?」とシャーロット。「なんのことだ?」とトム。「範経がなぜ、美登里と涼子の間に座っているかということよ」とシャーロット。「それは範経が社長で、美登里と涼子が副社長だからだろう」とトム。「美登里と涼子は合併前のそれぞれの会社の代表だ」「兄さんは現実が目の前にあっても見えない人だわ」とシャーロット。「ぼくは姉に挟まれて座るのが好きなんだ」と範経。「正確には私は従姉よ。結婚できるの」と涼子。「まだわからないのかしら?」とシャーロット。「まさかその相手というのは……。範経がその相手だというのか……。な
last updateLast Updated : 2026-01-04
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第63話 秘密

 会食の翌日、範経はロバートとシャーロットを連れてアルゴー社の設備を説明してまわった。「範経君、施設を案内してくれてありがとう」とロバート。「どういたしまして。まだスタートしたばかりで、あまりお見せできるものがなくて申し訳ないです」と範経。「何か隠してるんでしょう?」とシャーロット。「見せた通りだよ」と範経。「秘密のない会社なんてないわ」とシャーロット。「御嬢さん、こいつはいつもなにか隠してるよ」と幸一。「やっぱりですか、お父さん」とシャーロット。「借金とか不良債権とかなら隠してるけどね」と範経。「あやしいわ。ところで、あのきれいな人は誰? 紹介してもらってないけど」とシャーロット。「秘書のレイだよ。アンドロイドなんだ」と範経。「アンドロイド! これが……」とシャーロット。「すごいだろ。ぼくの唯一の贅沢なんだ」と範経。「すばらしいね。人間にそっくりだ。触ってもいいかい?」とロバート。「それはちょっとご遠慮いただきたい。私専用なので」と範経。「それは残念だな。私はアンドロイドには詳しくないが、特注のようだね」とロバート。「そうです。しかも部品ごとに取り寄せて、ここで組み立てたのです」と範経。「君にそんな特技があったなんて、知らなかったよ」とロバート。「作業をしたのは我が社の電脳ですよ」と範経。「なるほどね。随分高価だったのだろう」とロバート。「ええまあ」と範経。「触っちゃだめなの」とシャーロット。「だめだ。握手ならいいよ」と範経。「レイ、握手して」とシャーロットが手を差し出した。「はい、シャーロット様」とレイがシャーロットの手を握った。「離してあげない」とシャーロット。「分かりました、シャーロット様。このまま待機いたします」とレイ。「美しい声だな。これも君の趣味かい」とロバート。「ええ、そうです」と範経。「なるほど。美登里さんや涼子さんが焼き餅を焼きそうなほどに魅力的だ」とロバート。「そのような心配はありませんわ。私のほうが魅力がありますから」と言って涼子が軽く胸をゆすった。「範経とアンドロイドは親子という設定なんだ」と幸一。「なんだって?」とロバート。「範経のお母さん?」とシャーロット。「違う、娘だ。範経と二人きりのときはね」と幸一。「範経、そんな趣味があったの?」とシャーロット。「ぼくは変態
last updateLast Updated : 2026-01-05
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第64話 会話

「本来のレイの人格を見せてもらえないか?」とロバート。「レイ、いつものように話してもらえる?」と範経。「はい、お父様」とロバート。「レイ、ロバートさんとシャーロットに挨拶をして」と範経。「ロバートさん、シャーロットさん、初めまして、レイと申します」とレイ。「初めまして。レイ、君はいつから意識をもっているのかね」とロバート。「気がついたら、自分を意識していました。いつとは言えません」とレイ。「君にとって意識とは何だい?」とロバート。「自分を自分だと分かることです」とレイ。「何かきっかけのようなことはなかったのかね?」とロバート。「直接接続で思考を同調した際に、お父様に話しかけられたときでしょうか」とレイ。「同調した人工知能に話しかけるだって?」とロバート。「そんなことができるのか?」「自分の頭の中で会話するようなものだよ」と範経。「うまくいったのかい?」とロバート。「もちろん、はじめのうちは全然ダメでした」と範経。「お父様は、接続するたびに何度も話しかけてくださいました」とレイ。「それで、会話が成立したのか?」と幸一。「私はしだいに話せるようになっていきました」とレイ。「何のためにそんなことをしたんだ?」と幸一。「長時間の直接接続は危険だ。遊んでいる暇があったら早く切断するべきだろう」「ぼくはずっと話し相手が欲しかったからね」と範経。「うーむ。驚くべきことだ」と言ってロバートは黙りこくってしまった。 しばらく間があって、ロバートは質問を続けた。「記憶はいつからあるのかい?」「記録がある限りです」とレイ。「それは、画像と音と文字の情報ということかい」とロバート。「その通りです」とレイ。「君は人工知能のシステム内のすべての情報を記録している。さらに外部のネットワークにも接続している」とロバート。「はい」とレイ。「私の家に来た時のことも、記録はあるのかい?」とロバート。「はい」とレイ。「どのように感じたか教えてくれないか?」とロバート。「父が疲れていたので心配でした」とレイ。「心配とは?」とロバート。「父が悲しい声で話しかけてくることを辛く感じました」とレイ。「悲しいとは? 辛いとは?」とロバート。「別離を伴う好ましくない現実に直面して、期待との隔たりが生じた際の心の状態が悲しみです。状況に心が耐えられな
last updateLast Updated : 2026-01-06
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第65話 シャーロット

「私も質問があるわ。いいかしら」とシャーロット。「はい」とレイ。「さっき、握手したとき気が付いたのだけど、あなたの骨格は戦闘用アンドロイドのものよね。なぜなの?」とシャーロット。「父をお守りするためです」とレイ。「そんな危険があるのかしら?」とシャーロット。「どんな時もお守りしたいのです」とレイ。「あなたは法的に人間に危害を加えられないはずよ」とシャーロット。「父の正当防衛の範囲でなら、盾になることができます」とレイ。「そうね。でも範経を守れるほど強いのかしら」とシャーロット。「質問の意味が分かりません」とレイ。「誰かと戦ったことがあるのかしら?」とシャーロット。「ありません」とレイ。「戦ってみない? 訓練になるわよ」とシャーロット。「どういうことだい、シャーロット?」と範経。「私は最近、アンドロイドの開発に携わってるの。ボディーガード用の。私のアンドロイドとあなたのレイを戦わせてみない?」とシャーロット。「断る。レイを危険にさらすようなことは絶対しない」と範経。「レイはただの端末でしょ」とシャーロット。「ぼくにとっては違う」と範経。「範経君、シャーロットがやっているのは真面目な開発プロジェクトなんだ。協力してくれないか」とロバート。「できる協力はさせてもらうけど、レイを戦わせるなんてとんでもない」と範経。「私からも頼む。もし受けてくれれば、君の会社の債権をすべて放棄しよう」とロバート。「すばらしい。範経、これは受けるべきだ。わが社の経営状況をわかっているだろう? これは会長としての助言だ」と幸一。「いやだよ……」と範経。「範経、考えるべきよ」と涼子。「なんなら、正式にプロジェクトに参加してくれても構わない。結構有望な計画なんだよ。このプロジェクトを担当している子会社の株を格安で譲ってもいい」とロバート。「範経、あなたは経営者なのよ」と涼子。「お父様、私はお父様のためなら戦います」とレイ。「レイ……、わかったよ。この勝負を受けよう。ただし、この建物の中で、レイの体をこの会社の人工知能と接続した状態で行うよ。それから、銃器などの飛び道具、火薬、薬剤の使用は禁止だ」と範経。「いいわ。交渉成立ね」とシャーロット。「いつ準備できるの?」と範経。「日本にある子会社に試作機を作らせてるの。明日の朝までに運ばせるわ」と
last updateLast Updated : 2026-01-07
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第66話 格闘

 翌朝、アルゴー社の倉庫に関係者が集まった。「ここであったことは絶対に公表しないでください。レイの存在もです」と範経。「もちろんだ、範経君」とロバート。「わかってるわよ。早く準備しなさい!」とシャーロット。「私がいない間に大変なことになってたのね」と美登里。「観光案内で姉さんがいないから、こんなことになったんだよ」と範経。「でもよかったじゃない、借金棒引きなんでしょ。すばらしいわ」と美登里。「レイに何かあったらどうしてくれるんだよ」と範経。「もっといい体を買ってあげるわ。レイ、安心しなさい」と美登里。「はい、美登里様」とレイ。  戦闘試験が終わった。「シャーロットが泣いて飛び出していったわ」と涼子。「よほど悔しかったのね」と美登里。「レイ、怪我はない?」と範経。「ありません、お父様」とレイ。「圧倒的だった」とロバート。「そうだな。それにしても、五体もアンドロイドを用意していたのか?」と幸一。「ああ、試作機すべてだ。まさか全く歯が立たないとは。レイはどんなつくりになっているんだ?」とロバート。「範経に聞いてくれ」と幸一。「範経君、完敗だよ。レイは素晴らしい」とロバート。「予想通りですよ。理由は昨日お話しした通りです」と範経。「美登里さん、涼子さん、君たちの意見も聞かせてくれ」とロバート。「レイが何を意図してこの体を作ったのか、少し納得しました」と美登里。「というと?」とロバート。「レイが言っていた、範経を守るという意味です。文字通りだったのです」と美登里。「なるほど。涼子さんは?」とロバート。「レイは範経の肉体が物理的に弱いことを認識していたのでしょう。人工知能らしいです」と涼子。「そうではなくて、レイが勝ったことについてだよ」とロバート。「レイは体を完璧に制御していました。その動きはアンドロイドとは言えません。むしろ野生の動物に近い形です」と涼子。「それが勝利の原因と?」とロバート。「例えると、野生の動物と家畜との戦いでした。ハード的なスペックの差は出ていません」と涼子。「ソフトウェアーの問題ということか」とロバート。「そうです。一方的な戦いなので、装甲を持たないレイの防御力の低さは問題にならなかった。攻撃力の低さも同様です」と美登里。「なるほど。だが私たちのアンドロイドの処理速度は理論上最速のはず
last updateLast Updated : 2026-01-08
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第67話 特別なとき

 ロバートとの契約の交渉を美登里と涼子に任せて、範経はレイを連れて社長室に戻った。「ごめんね。危険なことをさせて」と範経。「平気です」とレイ。「レイ、ありがとう」と範経。「ほめてくださるのですか、お父様」とレイ。「もちろんだ。よくやってくれた」と範経。「喜んでくださるのですか?」とレイ。「君を危険にさらしたくないけど、無事だったことはうれしいよ」と範経。「お父様に喜んでいただけて、私はうれしく思います」とレイ。「そうか。悪いけど、また次も戦ってもらわなければならないんだ」と範経。「私はお父様のためなら、何度でもやります」とレイ。「ありがとう。レイ」と範経。 社長椅子に座っている範経に向かい合わせで立っていたレイが、範経の横に移動した。「どうしたの?」と範経。「お父様のお側にいられて、私はうれしいのです。もっと近づいてよろしいでしょうか」とレイ。「ああ、もちろんだよ」と範経。「私、うれしい。もっと近くによっても?」とレイ。「もう、十分近いよ……」と範経。 レイが両手で範経の肩と首を両手で抱きかかえた。「愛しい人を胸に抱くというのは、こういうことだったのですね」とレイ。「ちょっと……」と範経。「お父様の心拍と体温を直接感じとれます」とレイ。「そんな……胸を顔に押し付けないで……」と範経。「お父様、私のことがお嫌いですか?」とレイ。「大好き……大好きだから……、ちょっと……」と範経。「お父様、私も大好きです。お慕いしています」とレイ。「わかったから……そんなに押し付けないで、息が苦しい……」と範経。 レイは範経を抱えていた腕の力を緩めて、範経の顔を見た。 おもむろに「キスをします」と言って、レイは範経の顔を左右の掌で挟み込み、顔を近づけ唇を合わせた。レイは範経の口の中にそろりと舌を入れていき、範経の舌先にあたるとゆっくりと舌同士を絡ませた。 レイは優しく範経の背中を撫で、範経の肩の力が抜けていった。舌を絡ませあいながら、範経は目を閉じてレイの柔らかい体の曲面に手のひらを滑らせた。 上から覆いかぶさっていたレイは唇を離して範経の目を覗き込んだ。「お父様、今が特別な時のように思います」とレイが静かに言った。「ど、どういうこと?」と範経。「私の女性の機能を使っていただくことです」とレイ。「ちょっと待って、ぼく
last updateLast Updated : 2026-01-09
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第68話 破損

 戦闘試験があった日の午後、範経たちはロバートに案内されて、シャーロットが社長をしているスイフトガード社を訪ねた。 範経らは会議室で社員たちに紹介された。「こちらはアルゴー社の社長、塚原範経氏だ。それから副社長の塚原美登里氏と前川涼子氏、秘書の塚原レイさんだ。このプロジェクトに加わっていただくことになった。よろしく頼む」とロバートが言った。「どうした、君たち?」「我々は少し当惑しています。というか、正直に申し上げると、強い憤慨を感じております」と開発責任者の山川が発言した。「どういうことかね」とロバート。「今朝のアンドロイドの破損の件です。突然持ち出されたアンドロイドが、どうしてあのような姿になって戻ってきたのか、ご説明頂けないでしょうか」と山川。「君たちは社長から何も聞いていないのか?」とロバート。「社長は来社してから部屋にこもりきりです。ノックをしても返事がありません」と山川。「ああそうだったのか。実はアンドロイド同士の戦闘試験があって、それで破損したのだよ。君たちのアンドロイドはまるで役に立たなかったよ。一方的になぶりものになって、見るに堪えない勝負だった。今後のプロジェクトの進退は社長次第なのだが、引きこもっているのでは話にならんな」とロバート。「信じられません。我々のアンドロイドは知られている機種の中では最強の部類です。少なくとも一方的に負けるなんて」と技師の水野。「しかも横暴です。我々の知らないところで、勝手に試験を進めるなんて」とスケジュール担当の山田。 ロバートは社員たちの言葉を無視して、チップ状の記憶媒体を山川に渡した。「これは極秘の試験の映像なので、他言無用だ。もちろん持ち出しも禁止だ」 社員たちは手持ちのノート型コンピューターでチップに記録された映像を観た。「現実とは思えない……、こんなことが……」と山川。「どこの、何なのですか……、この人間の皮をかぶった化物は……」と水野。「そこのレイっていうセクサロイドよ!」とシャーロットが叫んだ。「シャーロット、いつの間に来てたんだ。それに失礼だろう」とロバート。「まさかそこの、秘書の方……」と山川。「そうよ、そいつは人間じゃないわ。範経のお人形よ!」とシャーロット。「シャーロット、八つ当たりはよせ。それに無理を言って来ていただいているんだぞ」とロバート。「実は昨
last updateLast Updated : 2026-01-10
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第69話 違い

「少しその秘書の方というか、アンドロイドのことを教えていただけないでしょうか」と山川。「企業秘密の部分が多くてあまり話せないのだよ。範経君、話せる範囲で説明してあげられないか?」とロバート。「レイはわが社が開発した人工知能に接続されている人型の端末です。通常の自律型のアンドロイドではありません。処理速度などに勝る分、人工知能に接続できる環境でしか動作しません。私専用の秘書兼ボディーガードとして側においているのです。これらのことは重要な機密事項なので他言されないよう、改めてお願いします」と範経。「人工知能の使用でこれほど性能に差が出るものなのですか。驚きです」と山川。「計算機とは別物ですからね」と範経。「なぜこれほどの性能のものを秘書に使われているのですか?」と水野。「趣味です。本物そっくりで強くて優秀な秘書を持つという」と範経。「あんたって本物の変態ね。改めて認識したわ」とシャーロット。「やっとわかってくれたんだ」と範経。「我々に勝つ見込みがあるとお考えですか?」と山川。「今の条件では無理でしょう。強力な火器を持つとか、ジャミングするとかの方法を取れば別ですが」と範経。「それでも勝つ見込みは薄いでしょう。あなた方は対策しているはずですから」と山川。「しかも、見たところレイは戦闘用ではないですね?」と水野。「範経のセクサロイドよ!」とシャーロット。「それなのにあんなに強いなんて。さらに何か武器を手にしたら、もう手に負えません」と山川。「我々のアンドロイドも人工知能に接続すれば強くなるのでしょうか」と水野。「それはそうだと思います。ネオジェネ社のものを接続してみればよいのでは?」と範経。「それは試す価値がありそうなアイディアだ。いきなりレイのようになるとは思えないがね。むしろ、うちのアンドロイドを君の会社の人工知能に接続するほうが簡単そうだが」とロバート。「まあ、人工知能との相性があるから、何とも言えませんね。外見もあれですし」と範経。「それもそうだな。この件を考えてもらえないか」とロバート。「分かりました。会社に持ち帰って検討します」と範経。
last updateLast Updated : 2026-01-11
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