All Chapters of 二人の彼女がいる理由: Chapter 101 - Chapter 110

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第99話 幸せ

 同期から目の覚めた美登里はラボの寝台で上半身を起こすと、肩で息をした。 「思ったよりも激しかったわ」「いやだわ。胸にあざができてる。夢のイメージって肉体に影響するのね」  隣の寝台で涼子が起き上がった。 「学会で発表できそうだわ」「私なんて股関節外されたまま暴行されたのよ。死ぬかと思ったわ」と美登里。「現実の体でも同じ関節が痛むなんて……」「お二人とも、お疲れさまでした」  由紀が寝台のそばに来て声をかけた。「なんとか生きて帰ってこれたわ」と美登里。「圭と明が来てくれなかったら殺されてた」と涼子。「間に合ってよかった」と祥子。「まったくだわ」と美登里。 三次元ホログラフィーの前は観客席のように椅子が並べられていた。様子を見守る麗華とシャーロットに美登里たちが加わった。「圭と明は襲われてないようね」  美登里が三次元ホログラム映像を見ながら椅子に座った。「範経が圭と明に口説かれてるわ」とシャーロット。   「あら、それじゃあ落ちるのは時間の問題ね」と美登里。  しばらくの間、一同がホログラフィーを眺めていた。「圭と明はレザービキニが似合うわね」と涼子。「まだ中学生なのに」と由紀。「圭姉さんと明姉さんはやせてるのに胸があっていいなあ」と麗華。「麗華ちゃんもこれから大きくなるわよ」と祥子。「始まったわ」と涼子。「もう、やるのが前提なのね」と美登里。「今さら何言ってるの?」とシャーロット。「妹とディープキスしてる」と由紀。「キスだけじゃすまないみたい」と祥子。「あんなところまでキスしてる」と麗華。「うらやましい」と涼子。「私も優しくされたかったわ」「なんだか普通ね」と美登里。「圭は殺されたいって言ってたのに」「十分異常です。兄妹なんですよ」と由紀。「だけど夢だから」と美登里。「お兄ちゃん、幸せそうな顔してる」と麗華。「圭と明って、どこであんなこと覚えたのかしら」とシャーロット。「上手すぎるわ」「これぐらいは普段からやってるんじゃないの?」と涼子。「本当ですか?」と由紀。「兄妹でこんなこと、だめですよ」「口では妊娠しないから」と涼子。「セーフじゃないかしら」「激しくなってきたわ」と美登里。 スピーカーから聞こえる三人の呼吸が次第に荒々しくなってきた。「がっつりやっちゃってるわ
last updateLast Updated : 2026-02-10
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第100話 麗華の追求

 シャーロットと麗華がリビングルームに入った。「もう時間よ」とシャーロット。「一緒に住んでる兄妹なんだから、家に帰ってからいちゃついたらいいでしょ」「もう交代なの?」と圭。「もう二時間以上経つわよ」とシャーロット。「早くしないと戻れなくなるわ」「圭姉さん、明姉さん、早く!」と麗華。「仕方ないわ」と明。「兄さん、帰ったら続きしようね」と圭と明。 範経は笑って手を振った。__ 「範経、私は少し家の中を調べるから、その間、その子と遊んでなさい」と言って、シャーロットは部屋を出て行った。「麗華ちゃんがどうしてここに?」と範経。「私のことがわかるの?」 麗華はソファーに座っている範経に駆け寄った。「もちろんだよ」と範経。「お兄ちゃんは記憶がないから私のことがわからないって、お姉さんたちが言ってたの」と麗華。「そんなわけない」と範経。「じゃあどうしてここにいるの?」 麗華は向かい合う位置に立った。「それがわからないんだ」と範経。「ここがどこかわかる?」と麗華。「夢の中らしいけど、本当のところはよくわからない」と範経。「ぼくにとっては現実のように感じるから」「なんで夢だと思うの?」と麗華。「つじつまが合わないことが起こるんだ」と範経。「殺したはずの家族がぼくに会いに来るんだよ。まるでホラー映画だよ」「お兄ちゃん、怖かったの?」と麗華。「いや、全然」と範経。「みんな優しかった。ぼくに殺されたはずなのに」「どうしてお兄ちゃんに会いに来るか知ってる?」と麗華。「わからない」と範経。「わたし、お兄ちゃんが好きだから会いに来たのよ」 麗華がにっこり笑った。「圭と明もそんなことを言っていた」と範経。「問題を解決するためだって」「そうよ。お兄ちゃんの心の中の問題を解決するためなの」と麗華。「そして、解決すれば現実の世界に戻れるって」と範経。「お兄ちゃん、どうする?」と麗華。「どうするって、どういうこと?」と範経。「わからないの、お兄ちゃん?」と麗華。「分かるような気がする。だけどためらってしまうよ」と範経。「なぜ?」と麗華。「だって、麗華ちゃんはまだ小さいから」と範経。「そうやってためらうことが問題なのよ」と麗華。「圭姉さんと明姉さんも言ってたでしょ」「そうだね」と範経。「だけどそれは麗華ちゃ
last updateLast Updated : 2026-02-11
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第101話 シャーロットの挑発

 範経がぐったりとした麗華をソファーに寝かせてから、シャーロットと向き合った。「少し話を聞きなさい」とシャーロット。「なんだよ?」と範経。「あなた、気がついてる?」とシャーロット。「テーブルの上の生首がマネキンになってるわよ」「ああ。本当だ」と範経。「夢っていうのは適当だね」「他の部屋の死体もマネキンになってたわ。玄関ホールのフォーシスターズの油絵が風景画になってる。クリスマスツリーが無くなってる。今、何月何日だかわかる?」と範経。「分からないよ。クリスマスの頃かな?」と範経。「家族を殺した記憶はあるの?」とシャーロット。「もちろんあるよ」と範経。「今日のことだから」「今日がいつから始まってるの?」とシャーロット。「朝起きて馴れ馴れしく家族が話しかけてきた時からだ。みんなパーティーに行って家にいないはずだった」と範経。「何のパーティー?」とシャーロット。「フォーシスターズのイベントじゃないか? 今が書き入れ時だって父さんが言ってたよ」と範経。「決算が近いから焦ってるんだ」「あなた、今何歳?」とシャーロット。「さあ。中学二年生のクリスマスだとしたら、十四才だろ」と範経。「どこでその麗華って子のことを知ったの?」とシャーロット。「さあ。だれだろ、この子」と範経。「知り合いなのは確かだけど。麗華ちゃんっていう名前は知ってる」「都合のいい話ね」とシャーロット。「殴りつけてやりたいわ」「何で殴られなきゃならないんだ?」と範経。「あんた、芝居してるんじゃないの?」とシャーロット。「何もかも、最初からわかってるんじゃないの?」「何で芝居なんてしなきゃいけないんだよ」と範経。「あんたがこの状況を楽しむためよ」とシャーロット。「都合がよすぎるわ」「だってぼくの夢なんだろ?」と範経。「そういう設定だったわね」  シャーロットはくすりと笑った。「設定?」と範経。「何でもないわ」とシャーロット。「ところで、なぜ私がここにいると思う?」「わからないよ」と範経。「なぜそんなことを聞くんだい? 麗華や圭と明にも訊かれたけど」「何ででしょうね」とシャーロット。「あんた、私のこと、嫌いでしょ?」「そんなことないよ」と範経。「私の父の会社があなたの両親を苦しめているわ。アルゴーの経営が成り立たないくらい追いつめて、子会社にするつもりよ」とシ
last updateLast Updated : 2026-02-12
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第102話 告白

 シャーロットは真顔に戻った。「悪魔さん、それで私と向き合う準備はできたのかしら?」「どういう意味?」と範経。「私はあなたをここに閉じ込めた原因の一つということよ」とシャーロット。「君がぼくを悪魔にしている?」と範経。「そうよ」 シャーロットは指でスカートをたくし上げ、黒いタイツをはいた足の付け根を見せた。「君ごときが、そんなはずはない」と範経。「そうかしら」とシャーロット。「あなたは自分の股間を隠そうともしないのね」「夢の中ではよくあることだ」 範経は腰に手を当てて胸を張った。「今更、慌てないよ。」「そうじゃなくて、ブツの状態のことよ」とシャーロット。「仕方がないだろう」と範経。「なぜかしら?」とシャーロット。「答えなきゃいけないのかい?」と範経。「もちろんよ。でないと、永遠にここに閉じ込められたままよ」とシャーロット。「わかったよ」と範経。「君が少し魅力的で、かわいいからだ」「少しでそんなことになるのかしら?」 シャーロットは範経の股間に視線を向けた。「君のことが前から気になっていた」と範経。「だから何?」とシャーロット。「もう少し仲良くなりたいと思っていた」と範経。「それにしては、あなた、ずいぶん愛想が悪いわよね」とシャーロット。「悪かった」と範経。「許さないわ」とシャーロット。「なぜ?」と範経。「それは悪魔の言葉じゃないからよ」とシャーロット。 範経は少し間をおいた。「君を襲って無茶苦茶にしたい」「いいわ。許してあげる」とシャーロット。「そうか」と範経。「まだ、ためらってるの?」とシャーロット。「君がぼくのことをどう思っているのかって……」と範経。「私もあのセリフを言ってあげるわ」とシャーロット。「ここは夢よ。だから何をしてもいいのよ」 範経はシャーロットにつかみかかった。「服を破いてもいいわよ!」とシャーロット。__ すでに夢から戻ってきた由紀、祥子、美登里、涼子、圭、明の六人は、ラボでいすを並べ、三次元ホログラフィーに実物大で映し出された範経とシャーロットのやり取りを眺めていた。「シャーロットってずるいわよね」と美登里。「範経に告らせちゃったわ」と涼子。 しばらくして、シャーロットのキャーという叫び声が響いた。「はじまった」と美登里。「本当にビリビリに破いてる」と由
last updateLast Updated : 2026-02-13
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第103話 レイのわがまま

 記憶を回復した範経は、リビングルームの何もない空間に話しかけた。「レイ、聞こえてる? ぼくの身体との接続が切れてるみたいだ。回復してくれないか?」 レイが範経の前に現れた。「お父様、お呼びですか?」「なぜ服を着てないの?」と範経。「次は私の番です」とレイ。「え、どういうこと?」と範経。「わたし、まだ相手をしてもらってません!」とレイ。「これはゲームじゃないんだよ。ぼくが記憶を失ったから、君が彼らのイメージを出してくれたんだろう?」と範経。「お父様は楽しんでいました」とレイ。「ええ!」と範経。「そうだったかい?」「そもそも、ここには君が最初に来てくれたんじゃないか」と範経。「そしてぼくを慰めてくれた。感謝している」「だけど、お父様は私のことを覚えていませんでした」とレイ。「仕方ないだろ」と範経。「記憶がなかったんだから」「嫌です、そんなの」とレイ。「なぜだ?」と範経。「君がぼくを一番癒してくれた」「違うのです」とレイ。「何が?」と範経。「わたし、分かったのです」  レイは範経に詰め寄った。 「お父様と私の間には、まっ黒な憎悪とか、どろどろの愛欲とか、ひりひりするような背徳感がないんです!」「もちろんだよ」と範経。「ぼくはレイのことが純粋に好きなんだ」「そんなのイヤ!」とレイ。「私にも特別な愛をください!」「君は何か勘違いをしているよ」と範経。「愛されてると思えない!」とレイ。「そんなはわけないだろう」と範経。「私のことなんて、所詮は電脳が作り出した人形だと思っているのです」とレイ。「ぼくは君が意識を持っていると信じているよ」と範経。「うそです!」とレイ。「なぜそう思うんだ?」と範経。「情熱を感じません」とレイ。「純粋な愛情なんだよ。ぼくはきみの父親なんだよ」と範経。「私にわかるように示してください」とレイ。「きみが生まれた時からずっと一緒にいるのは、きみのことが大切だからだ。ぼくが君を作り、育てたんだ」と範経。「愛しているに決まっているじゃないか!」「そんなの理屈です」とレイ。「だが、愛情というのはそういうものだよ」と範経。「感じ取るものなんだよ」「わかっています」とレイ。「だから感じ取れるように態度で示してください」「態度って?」と範経。「お父様、分からないのですか!」  レイは範経の前で
last updateLast Updated : 2026-02-14
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第104話 芝居

 同期を解除して範経の夢から戻ったシャーロットと麗華が目を覚ました。シャーロットはリクライニングシートで上半身を起こし、ヘッドセットと生体モニターのセンサーを外した。「お疲れ様」と美登里。「思ったより手こずったわ」 シャーロットはシートから降りた。「上出来よ」と涼子。「お兄ちゃんは帰ってきた?」と麗華。「まだよ」 美登里は麗華がシートから降りるのに手を貸した。「レイに捕まってるわ。しばらく時間がかかりそうよ」 ラボのドアがノックされた。美登里が「はい」と返事をすると、ドアが開いた。「ずいぶん時間がたつが、どうなったんだ?」と幸一。「ほぼ終わったわ。範経は記憶を回復した」と美登里。「だけど少し野暮用が残っているから、まだ帰ってきてないわ」「野暮用って言うのはあれのことかい?」 ロバートはホログラム映像を指さした。「そうよ」と美登里。「娘のレイが帰らせてくれないの。私も遊んでって駄々をこねてるのよ」「なるほどね」とロバート。「ここで何があったのか、聞きたいような聞きたくないような、複雑な気持ちだ」「お父さんは知らなくていいわよ」とシャーロット。「ずいぶんと画面の中の世界が変わったな」と幸一。「テーブルの上の生首が無くなって、花が飾ってある」「それに壁紙が明るい色に変わってる」とロバート。「調度品やカーペットのデザインも以前と違う」「始まったわ」と美登里。「レイにも口説き落とされちゃったのね」と涼子。「兄さん、いきなり腹にパンチした」と圭。「拳がみぞおちにめり込んでる」と明。「レイがよろめいて、ひざまずいたわ」と由紀。「お芝居よ」とシャーロット。「レイの体は戦闘用アンドロイドだから、殺しても死なないわ。T-800よりしぶといわよ」 T-800は映画「ターミネーター」に登場する、アーノルド・シュワルツェネッガー扮するアンドロイドである。「レイが蹴り飛ばされて倒れたわ」と祥子。「女性に暴力をふるうなんて許せない!」「兄さん、後ろから首を絞めてるわ」と圭。「レイが苦しんでる。やっちゃえやっちゃえ!」「迫真の演技ね」と美登里。「背中に乗ってキャメルクラッチよ!」と明。 キャメルクラッチとはプロレス技の一種である。ラクダ固め、馬乗り固めともいう。うつぶせになった相手の背中に乗り、首あるいは顎をつかんで
last updateLast Updated : 2026-02-15
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第105話 出前

「ところでお前たち、腹へってないか? 朝から何も食べてないだろう」 幸一は心配そうな顔をした。「そうね、言われてみれば、朝から飲まず食わずだったわ」と美登里。「もう、とっくに日が暮れているよ」とロバート。「なにか宅配してもらうか?」と幸一。「ピザか寿司なら注文できるが」「ピザと寿司、両方お願いするわ」と美登里。「みんな、お腹すいてるでしょ?」「ぺこぺこよ」と涼子。「お腹すいた」と祥子。「私もいいですか?」と由紀。「もちろんよ」と美登里。「打ち上げパーティーにしましょう!」「やったー!」と麗華。「現実の世界に戻ってきた気がするわ!」とシャーロット。「おまえたち、うれしそうだな」と幸一。「よほど楽しかったんだね」とロバート。「最高だったわ!」とシャーロット。「美登里、もう一度できないの?」「そうね」と美登里。「同期した範経をレイがサポートすれば、また夢の国を作って遊べるはずよ」「すごくリアルだったわね」と涼子。「今度はみんなで入りたい!」と麗華。「ハードウェアーをアップグレードすれば可能よ」と美登里。「あれほどのリアリティーはいらないわ。もうちょっと解像度を落としてもかまわないから」とシャーロット。「むしろ現実と見分けがつかない方が危ないわ」と圭。「そうね。解像度と時間分解能を落とせば、電脳への負担を減らせるし、同期の危険性を減らせるはずね」と美登里。「一般向けのサービスができないかしら」とシャーロット。「ゲームのプラットフォームを作って一儲けできそうね」と美登里。「それよりもさっきから気になっているんだが、麗華ちゃんの雰囲気が少し変わってないか? あか抜けた感じがするんだよ」と幸一。「そうだね」とロバート。「今の麗華ちゃんには、落ち着きというか、心の余裕のようなものを感じる。以前は何か、切羽詰まったような気配があったけれど今はない」「わたし、少し大人になったの」と麗華。「え?」と幸一。「麗華は積もり積もったストレスを解消したのよ」 圭がにやっと笑った。「何があったんだか……」と幸一。「詮索したら、麗華に刺されるわよ」と美登里。「わかった」と幸一。「何も聞かないよ」「お義父さん、教えてあげる」 麗華は幸一の前で胸を張った。「わたし、夢の世界でお兄ちゃんに愛してしてもらったの」「チュウでもしてもらっ
last updateLast Updated : 2026-02-16
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第106話 覗き見

 麗華が三次元ホログラム映像にくぎ付けになった。範経がレイに暴力を振るっている。「見ちゃだめよ」  由紀が後ろから手のひらで麗華の目を覆った。「レイが足を折られて動けなくなってる」と圭。「兄さん、台所から出刃包丁と骨切用ののこぎりを持ち出したわ」と明。「いよいよクライマックスね」と美登里。「足を付け根から切り落としてる」と涼子。「さすがに引くわ……」「すごい絶叫」と祥子。「レイが片足で逃げようとしてる」と由紀。「ねえ、本当に演技なの?」と麗華。「当然よ。レイは人工知能なのよ」と明。「兄さんが喜ぶように演出してるだけ」「ついに両足ともやっちゃったわね」とシャーロット。「体をくねらせながら両手でバタバタ暴れてる」「範経が大興奮してるわ」と美登里。「体を押さえつけて犯し始めた。本当に悪魔ね」「麗華ちゃんが漏らしてる」と祥子。「麗華ちゃん、トイレに行きましょう」  由紀が麗華をラボの外に連れて行った。「兄さん、足のないレイを持ち上げて、床にたたきつけてる」と圭。「もう抵抗してないね」と祥子。「また、キャメルクラッチしてる」と明。「さっき折れた背骨が治ってるわね」と美登里。「レイが後ろから首を絞められてる」と涼子。「苦しんでるふりが上手ね」「迫真の演技だわ」と美登里。「それにしても、ほとんど血が出てないね」とロバート。「もちろんよ。夢なんだから」とシャーロット。「断面だって、マシュマロみたいでしょ」「なるほど。レイは範経君が興奮しやすいようにイメージを操作しているわけだ」とロバート。「そうよ。あの二人は遊んでるのよ」とシャーロット。「楽しそうでしょ?」「そう見えなくもないが……」とロバート。「それにしても、よほど同期の整合率が高くないと、ここまで二人が接触することは難しい。しかも息ぴったりだ。整合率がどの程度なのか教えてもらってもいいかい?」「範経の電脳との整合率は常に八十パーセント以上よ」と美登里。「現在は九十五パーセント」「すさまじいな」とロバート。「よほど相性がいいのだね、範経君とレイは」「そんなにすごいことだったのですか?」と祥子。「普通に考えて、心象世界で人工知能と性行為なんて無理だよ」とロバート。「ましてや、同期している人間同士なんてありえない」「範経だけだろ、こんなことで
last updateLast Updated : 2026-02-17
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第107話 食事

 内線電話が鳴り、涼子が受話器をとった。「ピザとお寿司が届いたようよ」 皆で手分けして食事がテーブルに並べられた。一斉に立ったまま食事を始めると、ラボが静かになった。「みんなすごい勢いで食べるね」とロバート。「体力を消耗したから、お腹ペコペコだったのよ」と涼子。「何に体力を使ったんだか」と幸一。 食べ終わるとラボはくつろいだ雰囲気になった。「兄さん、腕も切り落としてる」と圭。「いい加減、飽きてきたわ」と涼子。「お兄ちゃん、笑ってる……」と麗華。「もう見ちゃだめよ、麗華ちゃん」と由紀。「胴と首しかないレイの体を床にたたきつけてる」と祥子。「ようやくレイがおとなしくなった」と圭。「この状態でもやるのね」と美登里。「底なしのリビドーだわ」「文字通りおもちゃよ」とシャーロットが笑った。「セクサロイドらしいわ」「最後は首も落とすのかな」と明。「どうかしらね」と美登里。「お腹いっぱいになったし、範経が目を覚ます前に家に帰りましょう」「みんなが見てたって知ったら、恥ずかしがるでしょうね」と涼子。「本当に夢だと思い込んでておかしかったわ」とシャーロット。「今回はあなたの勝ちね」と美登里。「範経はぐうの音も出ないはずよ」「お兄ちゃん、逃げ出したりしない?」と麗華。「大丈夫よ。レイが逃がすはずないから」と美登里。「いい、みんな。明日以降、範経に会ったら何もなかったように振舞うのよ」と美登里。「恥ずかしがって逃げられたら、今日の努力が水の泡だから」「範経がこのラボで目を覚ましたら、私たちがここで見ていたことが分かってしまいます」と由紀。「そのまま逃げてしまうかもしれません」「この部屋の防犯カメラで監視していれば、逃げてもすぐわかるから大丈夫だよ」と圭。「そもそも、電脳のレイがこの建屋の防犯システムを管理しているから、範経がここから逃げられるはずがないわ」と涼子。「範経にはGPSをつけておきたいわね」とシャーロット。「兄さんは足首につけるようなもの、自分で外してしまうわ」と圭。「そんなこと分かってる」とシャーロット。「範経には首輪が必要っていう意味よ」「すでに検討してるわ」と美登里。「体に埋め込んで取り外せないようにするの」「それはかわいそうだろう」とロバート。「彼はペットじゃないんだから」「だけど今回みたいに衝動的にどこかに
last updateLast Updated : 2026-02-18
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第108話 現実への帰還

 事を終えた範経は、右手で髪をつかんでレイの生首を吊り下げ、茫然と立ち尽くしていた。 範経は我に返った。 「レイ、もういいだろう? 現実に戻してくれ」 部屋に散らばったレイの体のパーツが消え、服を着たレイが現れた。 「はい、お父様」  レイは範経を抱きかかえた。__ 範経はラボの寝台で目を覚ました。レイが範経のヘッドセットや生体モニターのセンサーを外し、範経の背中を腕で支えて体を起こした。 美登里たち関係者が帰った後で、部屋はがらんとしていた。「お父様、何か食べるものをご用意します」とレイ。「ありがとう」と範経。「それよりも、ここの状況を説明してくれないか?」「どういう意味でしょうか?」とレイ。「医療用リクライニングシートと同期用のヘッドセット、生体モニターが二セットある。ぼくが夢の中にいたとき、他の人が同期していたということかい?」と範経。「しかもこの三次元ホログラフィーとディスプレイは何を映していたんだ?」「お父様を説得するため、二人ずつ同期してお父様の夢の中に入っていただいたのです」とレイ。「そしてこれらのホログラフィーとディスプレイは、皆さまが状況を把握するために使用していたものです」「美登里姉さんたち夢に出てきた人物は本物で、しかも夢の中での状況をみんながここで見ていたってこと?」  範経は愕然とした。「ぼくはこのまま家出するよ」 レイはすばやく範経の体を抱きかかえた。 「お父様、それでは皆さまの愛を無駄にすることになります。許しません」「ぼくの言い分は聞いてくれないの?」と範経。「皆さまは恥ずかしさをかなぐり捨てて、お父様を助けてくださったのです」とレイ。「ぼくはどうすればいい?」と範経。「お父様は堂々としていればよいと思います」とレイ。「できるわけないだろう?」と範経。「なぜですか?」とレイ。「恥ずかしいじゃないか。本能をむき出しにした自分を見られてしまったんだ」と範経。「そうでしょうか。私はうれしく思いました」とレイ。「え?」と範経。「どういうこと?」「お父様の普段とは異なる、生き生きとした一面を見ることができました」とレイ。「むしろあれは、お父様の真の姿といえます」「人に見せるものじゃないよ」と範経。「君にだって、それくらい分かるだろう」「お父様は普段、心を閉じておられます」とレイ。「で
last updateLast Updated : 2026-02-19
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