جميع فصول : الفصل -الفصل 20

67 فصول

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けれど、路地に逃げ込んだのが失敗だった。 行き止まりだわ。 引き返そうと踵を返したちょうどその時、路地へ入りこんで来た義姉とバッタリと鉢合わせをした。 意図せず義姉と対峙する形になった。 「ソフィア!!」 「あ……お、お嬢様」 「まさかとは思ったけど、やっぱりあなただったのね。まさかこーんな所で会うなんて。 ソフィアのくせに、この私を走らせるなんて、随分と生意気になったじゃない。 どうしてくれようかしら、ねぇ?あなた、まさかこの私から逃げおおせるとでも本気で思っていたの? あははは! 絶対に逃すものですか! 自分がどんな罪を犯したのか、分かっていないようね? あの時は、よくも恥をかかせてくれたわね! 」 義姉の目は血走っており、憎しみの感情が込められている。 怖い……。 怯える私にズカズカと近づいて来たかと思うと、勢いよく肩を押された。 「っ!!」 突然のことで対処できずに、そのまま突き飛ばされて倒れ込んだ。 「いいこと? これは、あの時あなたが私を突き飛ばした分。 いいえ、まだまだぜーんぜん、足りないわよ」 私は思わず義姉の顔をきつく見上げる。 「なによその顔は! あなた、自分の立場が分かっているの?」 義姉は私を見下ろしながら、不適な笑みを浮かべる。 「うふ、頭が悪くて分からないのね? あの後、随分と捜させたのよ。 なぜかお父様は放っておけとおっしゃるから、表立って動けないし。本当にお父様がうるさくて……。 うふ、でも、偶然会うなんて、私は神様にも愛されているのね。あなたと違ってね、あははは! ねーえ、ソフィア? 逃げ出すなんて許される訳ないでしょ、ねぇ、そうでしょう? あなたは死ぬまで、一生私の奴隷なんだから」 身体中に染みついた数々の痛みや恐怖が、フラッシュバックしてくる。 「あ……あ……」 早く逃げなければと思うのに、恐怖のせいで手足が鉛のように重く動かない。 口元からは、ガチガチと歯がぶつかりあい音が漏れ出ている。全身が震えているせいだった。 ただ黙って、義姉を見ることしかできない。 義姉はそんな私の様子を見て、まるで楽しむように目の前を行ったり来たりする。 「どうしてくれようかしら〜?」と呟きながら。 ふと、何か閃いた様子で
last updateآخر تحديث : 2025-11-24
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周囲の好奇の眼差しに耐えられず、ずっと両手で顔を覆っていた。 恥ずかしいからというのも勿論あるけれど、自分の血で騎士様を汚さないようにという気持ちもあった。 騎士団の本舎に到着すると、抱き抱えられたまま医務室へと案内される。 「歩けます、大丈夫です」と伝えても、結局下ろしてはくれなかった。 騎士様と触れ合っている部分だけでなく、身体中が火照っている。 これは、お姫様抱っこではない……そう、きっと、騎士様にとっては日常の仕事の一部の出来事なだけ。荷物を運んでいるのと同じくらいの感覚なんだわ。 だから、何も意識することなんてない。 こんなに照れていたら、騎士様に失礼になる。 分かってはいるのだけど、こんなにも男性と密接したのが初めてだから、どうしても意識してしまう。 一人であわあわと百面相をしているうちに、ベッドに辿りついていた。そして、ゆっくりと丁寧にベッドに腰掛けさせてくれた。 「あの……」 お礼を伝えようと騎士様に呼びかけたけれど、控えていた医師がカーテンを引く音でかき消されてしまった。 騎士様は、静かに退室する。 「何も心配いりませんからね、怪我の手当てをさせてくださいね」 一人取り残され、心細くなっていた私に、女性の医師が、優しい言葉をかけてくれる。 手際よく手当てをしてくれたので、あっという間だった。 診察を終えたのを見計らったかのように、扉がノックされる。 「失礼する。終わったか?」 先程の騎士様が入室してくると、医師は騎士様と共に入口付近へと移動した。 「グレッグ様、はい。傷口は消毒して手当てを致しました。お顔の怪我なので、傷痕が残らないといいのですが、心配ですね。それと気になることが──」 周囲に聞こえないように、医師は声を落とす。そして一礼して退室した。 騎士様は、私の視線に気づくと、ベッドまで近づいてくる。 「少し話を聞きたいが、気分は大丈夫か?」 「は、はい。先程はありがとうございました」 私の返事を聞くと、ベッド脇にあった椅子を少し離れた位置に移動してからゆっくりと腰かける。 私を怖がらせないようにしているんだわ。 一人の女性として接してくれたことが嬉しい。 外の世界では、ダンさんやルイーザさん以外にも、お客様や、医師の先生や騎士様まで
last updateآخر تحديث : 2025-11-26
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グレッグ様と共に騎士団を後にした。 「先程も名乗ったと思うが、私はグレッグ・ハモンドだ。良ければ、君の名前を聞いてもいいか?」 「私は、ソフィアです。ソフィア・エリオットです」 エリオットは、母の姓。あの邸に引き取られてからは、名乗ることは許されなかった。 ずっと、口にすることができなかった大切な名前。 久々に声にだすと、なんだかむずがゆい。 嬉しいような、恥ずかしいような、不思議な感覚。大切な母が残してくれた名前だもの。 もう、父や義姉に何も奪われたくない。私は、もう、あの二人とは関係ない。 ソフィア・エリオットとして生きていくのだから。 「エリオット嬢か」 「エリオット嬢だなんて……。どうか、ソフィアとお呼びください騎士様」 「ならば、私もグレッグと呼んでくれ」 「は、はい……、では、グレッグ様……」 名前を呼ぶ許可をいただけるなんて、思ってもいなかった。騎士様は、私にとっては遠い存在の方。 こんな風に気さくに接してれるなんて、恐れ多い。 これ以上、迷惑をかけないように、失礼にならないように、何を話したらいいのかしら? ど、どうしよう、何も思いつかない……。 そのまま、ただ黙って歩いていた。 困惑する私を気遣うように、グレッグ様が口を開く。 「三日月亭に、ソフィアが働いていたとは知らなかった」 「え……?あの、私、三日月亭のこと話しましたでしょうか?」 「いや、ソフィアが言っていただろう? ダンさん、ルイーザさんと。二人の名前を聞いてピンときた。三日月亭のことだなと。あそこの食事は美味いと、騎士の間でも人気があるんだ」 会話の中で、自然とソフィアと呼ばれて、頬を染める。 なんだか、妙な気分。私、どうしたのかしら? 落ち着かないと。 「グレッグ様も、三日月亭に泊まることがあるのですか?」 「あぁ。宿屋として利用することはないが、食事をしに時々利用している。最近は利用してなかったな。」 「そうだったのですね。それなら、ご存知なくて当然かもしれません。私が働き出したのは、数ヶ月前ですから」 「数ヶ月前?」 グレッグ様は、急に足を止める。 「グレッグ様?」 どうしたのだろうと、グレッグ様へ顔を向ける。 不思議そうな顔をする私に、グレッグ様は真面目な顔で問いかける。 「ソフィア? 数
last updateآخر تحديث : 2025-11-28
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グレッグ様と共に三日月亭に戻ると、ルイーザさんが駆け寄ってくる。 「ソフィア、どうしたんだい⁉︎ 何があったんだい? おや、あんたは、確か……、 あっ、これは、これは、ハモンド家のグレッグ様ではないですか! こちらへ、どうぞお座り下さい」 「邪魔する、私のことよりもソフィアを」 「私は大丈夫です。グレッグ様、どうぞお掛けになってください。今、お茶をお出ししますのでっ」 「ソフィア、お茶なら私が一一」 「いえ、ルイーザさん、私にさせてくださいっ」 グレッグ様が椅子に腰をおろすのを見届けると、キッチンに向かう。 「ダンさん、遅くなってすみませんでした」 「おぉ、ソフィア、どうしたんだ? その怪我は?」 誤魔化すように、なんでもないですと微笑み、お茶を淹れる。 ダンさんから逃げるようにキッチンを出ると、グレッグ様の前にお茶を置く。 ルイーザさんとグレッグ様が何やら話し込んでいた。 私の姿を見ると、グレッグ様は言葉を続ける。 詳細は伏せて、事の成り行きを説明してくれた。 トラブルに巻き込まれて怪我をしていた所を、治安部隊で保護したと。 ダンさんも慌てて奥から出て来て、「大丈夫なのか」と声をかけてくれる。 ダンさんにも説明した後、「しばらくは、安静にするように」と言い残してグレッグ様は去って行った。 グレッグ様が見えなくなるまで、見送ると、二人に改めて説明する。 「本当にご心配をおかけしました」 「ソフィア、心配したよ、痛かっただろうに……本当にグレッグ様には感謝してもしきれないよ。本当に、災難だったねぇ」 そう言うとルイーザさんは、ぎゅっときつく抱きしめてくる。 「ルイーザさん、心配かけてごめんなさい、あの……く、苦しいです……」 「あぁ、ごめんよ、苦しかったかい、さぁ、もう、ゆっくりとおやすみ」 「どこのどいつだ! うちのソフィアに怪我をさせたのは!」 「あんた、気持ちは分かるが、後はグレッグ様にお任せしよう、騎士様達で捕まえてくれるさ」 「だって、そんな悠長にしてられるか?」 「私だっておんなじ気持ちだよ、でも……とりあえずソフィアを休ませてあげようじゃないか。ねぇ、ソフィア、しばらくはしっかりと休息をとるんだよ? 宿屋の仕事は気にしなくていいからね」
last updateآخر تحديث : 2025-11-29
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「あの、そろそろ失礼します。お仕事中にお邪魔しました」 いつの間にか、こんな時間になっていたなんて。 名残惜しいけれど、お暇しなければ。 きっと、もうお会いすることもないはず。 私なんかにも、嫌な顔ひとつせずに時間を割いてくれて、本当にグレッグ様は優しい人だわ。 「宿まで送ろう」 グレッグ様は上着を羽織る為に奥へと向かう。 「え?大丈夫です。まだ、明るいですし、一人で帰れますからっ、本当にありがとうございました」 これ以上甘えてはいけない。 別れがつらくなる。今でも、寂しいのに……。 どうしてこんなにグレッグ様のことが気になるのかしら。 きっと、優しい人と過ごすうちに精神が弱くなったのね。 こんなことではいけない。三日月亭にだって、いつまでいられるのか分からないのに。 こんなことでは、一人で生きていけない。強くならなければ。 だから、もう、グレッグ様のことは忘れよう。 「失礼しました」 逃げるように退室する。 出口は 多分こちらの方向だったと思う。 来た道を早足で歩いている時だった。 「ソフィア」 「?」 呼びかけられて、振り返る。すると、グレッグ様が慌てて追いかけてきた。 「きみは、せっかちなのだな。宿まで送る。それとも迷惑か?」 「迷惑だなんてそんな!こちらこそご迷惑ではありませんか?」 「断られる方が迷惑だ……。いや、言い方が適切ではないな。ちょうど巡回に出ようと思っていたところだ。一緒に三日月亭までどうだろうか? ソフィ……いや、皆の安全を守るのが騎士の務め。職務を全うする手伝いをしてくれないか?」 「そういうことでしたら……」 巡回と言われたら断れない。 「では、行こう」 「⁉︎」 ニコリ、と微笑みかけられた気がした。 あ、まただ。胸がドキリとして、鼓動が早くなる。 それに、なんだか頬も熱い。 なんだろう、この気持ちは…… グレッグ様? 歩くのが速いわ。 颯爽と歩いているグレッグ様を追いかけるように小走りになる。 門を出ると、頭からすっぽりとスカーフを被った。 グレッグ様は、何かに気づいたように、速度を落として横に並んで歩き出す。 何か言いたそうな視線を感じる。 「あの、これはですね、えっと、知り合いに見
last updateآخر تحديث : 2025-11-29
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◇ ◆ ◇ 今日は、グレッグ様とお出かけの日。 ルイーザさん達には、グレッグ様に護衛をお願いしたと伝えている。 この間、治安隊へ一人で行ったことを伝えたら、かなり心配されてしまった。 買い物に行くと伝えたら、自分も一緒に行くと言って大変だった。 そうなると、必然的にダンさんが一人になる。 さすがにそんなことはできない。 だから、グレッグ様に護衛をお願いしたと伝えたのだ。 それを聞いて、二人とも安心していた。 そう言えば、何時ごろに来られるのかしら。 時間を聞いていなかったわ。 なんだか落ち着かなくて、ものすごく早起きしてしまった。 そろそろ外で待っていようかな。 「ダンさん、ルイーザさん、表でグレッグ様を待っていようと思います!行ってきます」 「あぁ、気をつけてな。変な輩がいたら俺がぶっ飛ばしてやるからな!」 「グレッグ様がついてて下さるんだ。あんたの出番はないよきっと。ソフィア、気をつけて行っておいでよ」 「そらそうだな。行っといで」 「はい」 二人に見送られて扉を開ける。 周囲を見回すと、ちょうどグレッグ様の姿が見えた。 「グレッグ様」 グレッグ様のほうへと歩いて行く。 「おはようソフィア。もしかして待たせたかな」 「おはようございます。いえ、私も今来た所です」 「そうか。では、行こうか」 「はい。今日はありがとうございます。お願いします」 グレッグ様の装いは、騎士服ではなく私服姿だった。 何を着ても似合うのが羨ましい。 目的のお店を決めているわけではなかったので、街中をぶらぶらと一緒に歩いていた。 「グレッグ様、今日はいつもと雰囲気が違いますね」 「おかしいだろうか?」 「いいえ、とてもお似合いです。 ただ、護衛と伺ってたので、騎士服で来られるのだと思ってました」 私は素直に疑問に思ったことを口にする。 「護衛か……そうだな」 グレッグ様の返答は、歯切れが悪い。少し思案してから、続ける。 「そうだな……護衛というのは、口実というか……。いや、そう、あれだ。護衛は、あまり目立たない方がいいと思ってな。何かあった時に、相手を油断させることもできるし……かもしれない……と、思う。多分」 グレッグ様は、珍しく言い淀んでいた
last updateآخر تحديث : 2025-11-30
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「グレッグ様、お待たせしてすみません」 グレッグ様の元へ小走りで向かい、軽く頭を下げる。 「いや、待ってないから大丈夫だ。気に入ったものは見つかったか?」 「はい」 笑顔で答える私を見て、グレッグ様も満足そうに微笑みながら立ち上がる。 「そうか、それは良かった。では次は……スイーツ系の店だったか。決めた店があるのか?」 「いえ、特にどのお店とは決めてなくて。 あの辺りのお店を見ながら考えてもいいですか?」 気になる方向を手で指し示す。 「あぁ。では行こうか、荷物を」 「いえ。これは、大丈夫です! ありがとうございます」 さりげなく、私の荷物を持とうとしてくれるグレッグ様は、本当に優しい。 持っていただくのは申し訳ないし、それに、この中には手袋が入っている。 自分で持っていたい。 受け取っていただけるかな……。 スイーツ系のお店が立ち並ぶ通りは、人も多くて賑わっていた。順番待ちで並んでいる人も多かった。 「わぁ。甘い匂いがしますね!こんなにお店があると、悩んでしまいます」 「そうだな」 「行列ができていますね。うーん、あまり人が並んでない所はないでしょうか」 「人が多いお店の方が人気があるのではないか?」 「えぇ。そうなのでしょうけど……」 グレッグ様を付き合わせてしまうのは気が引ける。 「ソフィア? 何か気になることでもあるのか?」 「グレッグ様は……お時間は大丈夫ですか?あの……」 「ハハ、ソフィア、私を気遣ってくれたのか? 何を悩んでいるのかと思えば、そんなことか。 前にも言ったと思うが、今日は休みだ。それに、ソフィアに付き合うと言ったのは私の方だ。いや、ソフィアを悩ませてしまったのは、私の落ち度だな。すまない。 さぁ、行こう」 「!!!」 グレッグ様は、私の手を取り歩き出す。 大きくて温かい。でも、これって、これって、手を繋いでる? 誰かに見られたら、誤解を招くのでは……。それに、私も……。 まるで、デートみたいだと勘違いしてしまう。 私は驚いて、自分の手とグレッグ様の顔を交互に見る。 「では、この店に並ぼう」 動揺しているのは私だけで、グレッグ様は何事もなかったように言葉を続ける。 あぁ、きっと、迷わないように手を取っただけなのね。 「こ、
last updateآخر تحديث : 2025-12-02
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ベンチへと腰掛け、荷物を横に置く。ケーキには保冷の為に氷を入れてもらっている。 辺りを見回し、行き交う人々を眺める。 みんな楽しそう。 私も……、他の人からは、楽しそうに見えているのかな? 父や義姉の目をいつも気にしていた。常にビクビクしていたあの頃と違って、今はとても自分らしくいられる。 ルイーザさんと出会えて、グレッグ様にも親切にしてもらって、恵まれすぎてる。 澄み切った空を見上げて、正面に顔を戻すと、グレッグ様がちょうどこちらへと歩いて来る所だった。 「ソフィア」 「ありがとうございます。あのおいくらでしょうか?」 差し出されたカップを受け取る。 「大丈夫だ」 「いえいえ、そんな訳にはいきません!」 お財布を取り出し、慌てて金額を尋ねる。 「では、次回はソフィアが奢ってくれたらいい」 「え?」 グレッグ様はそれ以上何も言わずに、ドリンクを飲んでいた。 手渡されたドリンクは、アセロラジュースだった。上にスライスしたレモンが乗っている。この辺りではごく一般的な飲み物だ。 私は、コップを見つめて、一口飲む。 いつもより、ほんのり甘酸っぱく感じるのはどうしてだろう。 また、一緒に買い物に付き合ってくれるということだろうか。 グレッグ様とまた会える。 嬉しい。 でも、私なんかがグレッグ様の休日を奪っていいのかな……。 よくない。これ以上甘えてはいけないわ。 「では、もしも、そういう機会があれば、ご馳走させてくださいね」 きっと、その機会は訪れないだろうけど。 「あぁ。楽しみにしてる」 グレッグ様はなんて優しい方なんだろう。 ブルーグレーの瞳に見つめられて、つい魅入ってしまった。 心まで綺麗な方。 「ん? 私の顔に何かついているか?」 「いいえ! す、すみません」 いけない、失礼なことをしてしまった。 「いや、謝らなくていいんだ。ソフィア、一緒にお昼はどうだ?」 グレッグ様に問われて、私は大事なことを思い出す。 「あ!すみません! そうでした! 今日は、午後から三日月亭のお仕事をお手伝いしようと思っていたのでした。誘っていただいたのに、すみません」 私は軽く頭を下げる。 「もう大丈夫なのか?」 「はい。怪我もほとん
last updateآخر تحديث : 2025-12-02
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グレッグ様とはあれから毎週のように、一緒に護衛という名目のお出かけをしている。 最近では三日月亭にご飯を食べに来られたり、頻繁に顔を合わせるようになった。 あの手袋をしてくださっているのを見た時はとても嬉しかった。 なぜ私なんかを気にかけてくれるのかは分からないけど、深く考えないようにしている。 そして今日は週に一度のグレッグ様とのお出かけの日。 「ソフィア、行こうか。」 「はい。今日もお願いします」 私達は街中へと歩き出す。 「ソフィア、先日は手袋をありがとう。 暖かくて気に入っている。その、良ければ、手袋のお礼をさせてくれないか?」 「えぇっ?そもそもあれは、私のお礼の気持ちですし。お礼だなんて」 「ソフィア……、では言い方を変えよう。 私のお願いを聞いてくれないか?」 「お願いですか?」 「あぁ。私は、その、20になるのだが、周りがそろそろ結婚をとうるさくてな。 そもそも隊員は職業柄、適齢期過ぎても独身が多い。私もまだ結婚するつもりはない。 ただ私は兄達とは15も歳が離れているからか、独身が私だけだからか、母がうるさくてな。 私が女性と一緒にいることがないので心配らしく、候補者リストが大量に送られてくるのだ。」 「ふふ。大変そうですね」 「それで、私が誰か女性を連れて行けば少しは安心するのではないかと思い、良ければその役目をソフィア、引き受けてもらえないだろうか?」 「ええっ?私がですか? そんな、私なんか……グレッグ様とは釣り合いませんし…そもそも身分が違いすぎます」 「私は家を出て別邸に住んでいるし、隊に所属してるので身分など関係ない。 ソフィアは……だれか心に決めた方がいるのだろうか?」 グレッグ様が真っ直ぐに見つめて尋ねる。 「いいえ。そういう方は……」 「ソフィアの名誉を傷つけることはしない。私が親しくしている女性として、母に紹介してもいいだろうか?」 何の身分もない私なんかでお役に立てるとは思えないけど…。 それでも、グレッグ様と親しい女性と言われるのは嬉しい。 うーん。一緒に行くだけなら…。 「……私では力不足かと思いますが、私で良ければ」 グレッグ様は満面の笑みを浮かべた。 「引き受けてくれるか。ありがとう。ならばお礼をしなければ
last updateآخر تحديث : 2025-12-02
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本日はグレッグ様よりお茶会に誘われた日だ。お茶会と言ってもグレッグ様と私だけなのだけど。グレッグ様のお母様に私を紹介したいとのことで…緊張する。 先日グレッグ様に選んでいただいたワンピースを着て鏡の前に立つ。 スカートの下部には小花模様が施してあり、控えめにフリルがある可愛らしい装いだ。 私なんかに似合うのか不安だったけど、グレッグ様が選んでくださったものなので、多分おかしくはないと思う。 以前に比べると、体つきは全体的に人並み程度にふっくらしてきたと思う。 「うん、大丈夫」 私は自分に言い聞かせて、鏡の前で子供みたいにクルッと回った。 あの日義姉と再会した事で、しばらく恐怖と不安で精神的に不安定だった。 グレッグ様にもいずれ、私の過去の事は話さなければいけない…でも、とりあえず今日はグレッグ様のお願いでもあるし、何とか気持ちを切り替えて、頑張ろうと思う。 「ソフィア、用意はできたかい?」 ルイーザさんが呼ぶ声がする。 私は急いで階下に降りる。 「ルイーザさん、グレッグ様が来られました?」 「あぁ、外で待っているよ。ソフィア、そのワンピース、可愛いソフィアによく似合っているよ。グレッグ様と仲良くね。楽しんでおいで」 私は似合っていると言われたのが嬉しくて、気分が良くて、ルイーザさんに思わず抱きついた。 「ありがとうございます。ルイーザさん、行ってきます」 「あぁ」 奥からダンさんの声もする。 外へ出るとグレッグ様が待っていた。 「よく似合っている。馬車を待たせてある。行こうか」 「はい!」 私は笑顔で差し出されたグレッグ様の手に自分の手を重ねる。 グレッグ様のエスコートで、馬車に乗り邸宅に向かった。 馬車は乗り心地もよくて、快適だった。前を向くとグレッグ様と目が合う。私達は思わず、お互い微笑む。 「ソフィア、今日は母のご友人も来られるそうだ。母の古くからの友人なので、何も緊張することはない。ソフィアはいつも通りでいてくれればいい」 「はい」 なんだか緊張してしまう。平常心を保とうと心を落ち着ける。 「着いたようだな。」 ハモンド邸は、ノーマン邸とは比べ物にならないくらいにら壮観だった グレッグ様のエスコートで、私達は中へと向かう。廊下の窓から中庭を伺うと、グレッグ様とよく似たご婦人とご友人と思われる方が談
last updateآخر تحديث : 2025-12-03
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