すべてが終わり、プランナーさんへお礼を告げて、結婚式場を出た。 ようやくこれで、終わりなんだ。 そう思うと、ほっとしつつもどっと疲れが押し寄せてきた。ずっと、罪悪感があった。付き合っていた二人が別れるだけなのに、結婚の話まで進んでいたために、両家を巻き込んでしまったこと。周りに心配と迷惑をかけてしまったこと。私が招いた種だけど、ずっとずっと心苦しかった。「正広、最後までいろいろありがとう。これでお別れだね」ありがとうなんて、相応しくなかったかもしれない。正広との思い出は嫌なことで埋め尽くされている。でもきっと、楽しかったこともあったはずなのだ。思い出せないけれど、そういう感情があったからこそ、付き合ったはずなのだ。正広は無言で私の腕をすっと引いた。抵抗するまもなくきつく抱きしめられ、焦りを覚えて胸を押し返す。でも、びくともしない。「気にするな」 「え、……うん」耳元で囁かれたかと思うと、体が解放され、ほっと息付く間もなくそのままキスをされてしまった。衝撃のあまり、抵抗することも声を上げることもできなかった。きっと罪悪感に苛まれていたから、その気持ちが彼を強く拒むことができなかったのだ。これで本当に最後だから。 そう自分に言い聞かせて、じっと耐えた。 なんでこんな事になっているんだろう。抵抗できない自分が惨めで悔しくて、胸が苦しくなる。じわっと視界が揺らいだ。頭の片隅に、江藤くんの顔がよぎる。 新たなる罪悪感に苛まれ、胸が潰れそうになった。そんな私の気持ちを知らない正広は、自分に向けられた涙だと勘違いしたのか、気を良くして笑顔になった。「俺たち、いつでもやり直せるよ」私は、力なく首を振って否定する。 やり直す気なんて、まったくない。 もう、これで終わりなんだから。
Last Updated : 2026-01-20 Read more