ダメ男との結婚をやめたら、運命の恋が始まりました のすべてのチャプター: チャプター 71 - チャプター 78

78 チャプター

11_5.新たなる始まり

江藤くんとお付き合いを始めて、デートをしたり、お互いの家に行ったりと、楽しく日々が過ぎていった。 一緒にいて、楽しい。一緒にいて、嬉しい。一緒にいて、幸せ。 好きな人と一緒に過ごすことが、こんなにも心満たされるものなんだと、私は初めて知った。むしろ初めての気持ちが多すぎて、今までの恋愛は何だったのかと、疑問になってしまう。 比べるなんて、おこがましいと思う。だけど、無意識に比べてしまう自分がいる。心が満たされることに喜びを覚え、報われた気持ちになる。 だけど、江藤くんへの気持ちが大きくなるにつれて、私の心は荒波にのまれるように揺れ動くのだ。 江藤くん、本当に私なんかでいいの? そんな問いが、ふと胸の奥に浮かんでしまう。幸せなのに、なぜか不安になる。 それはきっと、彼のことを本気で好きになった証なんだと思う。 何度もデートをして、わかったんだ。江藤くんの優しさや気遣いが、私を包み込んでくれるの。言葉や態度で、私を大切にしてくれているのがわかる。 そんな彼に、私はどんどん惹かれている。すごい速さで、江藤くんへの気持ちが大きく膨らんでいるのを実感しているのだ。 だからこそ、情けない自分が江藤くんに釣り合わないんじゃないかと不安になる。江藤くんにはもっと素敵な人が似合うんじゃないかって、そんなことばっかり考えてしまう。  
last update最終更新日 : 2026-02-08
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11_6.新たなる始まり

いつもデートの時は、見つめ合って、キスをして、抱きしめて。そんなスキンシップに、甘くてとろとろな気持ちになってしまうのに―― 江藤くんは、それ以上のことをしようとしない。 そんな素振りすら見せない。もういい大人同士なんだから、そういうことがあってもおかしくないと思っている。 思ってはいるけれど……。でも、こちらから積極的に聞くことは憚られた。だって、もし迫られたら、私は受け入れられるんだろうか、自信がないのだ。 それがまた、私なんかが江藤くんの彼女でいいのか、不安になる一因だ。どうしてか、いつも自信がない。 それに、私はまだ正広を引きずっている。未練とか、そういうのではない。心のどこかで、正広との嫌な思い出が渦巻いていて、なんでもかんでも比較しようとしてしまうのだ。 もし、江藤くんも避妊をしない人だったら?もし、自分本位なエッチだったら? そんな暗たんたる思いが、慎重になれと常にブレーキをかけている。 私の恋愛経験といえば、正広しかない。それを基準にするのも、おかしな話だけれど。 江藤くんは、どう思っているの? いい雰囲気になるたびに、正広が頭をよぎるのだ。そんな想いを見透かしたかのように、江藤くんとは何もなく終わる。それが、ほっとするようで、どこか寂しくも感じられる。 今日も、そんな想いを抱えたまま、江藤くんと別れた。デート自体は、とてもとても楽しかった。惜しみなく優しさを与えてくれる彼に、ドキドキしたし、幸せを感じた。 それなのに―― なぜ、こんなにも心がざわつくのだろう。優しさの中に答えが見えないことが、不安になってしまう
last update最終更新日 : 2026-02-09
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11_7.新たなる始まり

珍しく、仕事中の江藤くんが渋い顔をして考え込んでいた。 私は社内配布物を配り歩きながら、彼のデスクの前で足を止める。「どうかした?」声をかけると、江藤くんは腕組みをして、椅子ごとこちらを向いた。「取引先の会社がシステムに繋がらないって言うんだけど、調べても異常が見当たらなくてさ。あと考えられるとしたら向こうの機器の問題なんだけど。それはどうやったら調べられる?」突然のなぞなぞのような質問に、私は「うーん」と考える。「その会社に出向くとか?」 「だよね。この会社、成田市なんだよね」 「成田かぁ~」うちの会社は横浜市にある。 取引先の会社は、千葉県成田市。 そこまで遠くはないけれど、近い距離でもない。江藤くんは少しだけ眉をひそめたまま、「日帰りで行けるかな」とぼそりと呟いた。「出張?」 「現地行ったほうがいいかなーって」 「行くならお土産よろしくね」 「お土産ねぇ。成田のお土産って何だろう?」 「さあ、わかんない。でもいいなー。仕事とはいえ、出張ってなんか憧れる。私の業務じゃ、出張なんてないもの」 「そんないいものでもないけどね。トラブったら帰れないから」 「そういうもの?」 「そういうものなんだよ」江藤くんと顔を見合わせて、ふふっと笑い合う。 仕事中なのに、少しだけ二人の空気が流れた気がして、嬉しくなってしまった。
last update最終更新日 : 2026-02-16
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11_8.新たなる始まり

ふと、江藤くんが真顔になった。 さっきまで軽口を叩いていたのに、急に表情が変わったものだから、思わず首を傾げてしまう。「どうせ行くならさ、直帰にしてディズニー行って、翌日は東京観光で浅草とか回ったりして帰ってきたいね。当然、その翌日は休暇ね」あまりに真剣な声で言うものだから、思わず吹き出してしまった。「それいいなー。そんなんだったら私も行きたいよ。でも、絶対課長の許可下りないよね」 「辻野さん、頼み込んできて」 「いやいや、無理だし」二人でクスクス笑い合う。 仕事中だというのに、こんなふうに空気を軽くしてくれるのが、江藤くんらしい。そういえば―― 仕事中の江藤くんも、プライベートの江藤くんも、驚くほど変わらない。 誰に対しても同じ調子で、気取らず、裏表がない。 そう思うと、胸の奥がじんわり温かくなる。 都合よく解釈しているだけかもしれないけれど、それでも、彼の言葉や仕草の端々ににじむ優しさに触れるたび、安心してしまうのだ。特別なことなんて何もない。 ただ、いつも通り勤務中の、いつも通りの会話。江藤くんと交わす何気ない会話が、こんなにも心を和ませてくれるなんて、少し前の自分なら想像もしなかった。二人で笑い合うその瞬間、彼の存在が、ほんの少しだけ愛おしく見えた。
last update最終更新日 : 2026-02-17
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11_9.新たなる始まり

  「よし、とりあえず旅行でもするか」 「はいはい、仕事してくださいねー」   冗談で仕事を放棄し出した江藤くんを、私も冗談で軽くあしらう。 私は残りの配布物を配りながら、今のやり取りが嬉しくてたまらなくなっていた。  自分の席に戻ってから、モニターの隙間をぬってこっそり江藤くんを覗き見る。さっきまでふざけていたのに、あっという間に仕事モードの渋い顔に戻っている。そんな顔を眺めながら、先ほどのやり取りを頭の中で思い出しながら反芻する。  本当に、江藤くんと一緒に旅行したら楽しいだろうなと思う。  江藤くんといると、話が絶えない。たとえ沈黙があったとしても、それは全然嫌じゃない。むしろ、空気感が心地いい。そういうのって、何かいい。安心できるし、ここにいていいんだなって、思わせてくれるから。  だからこそ余計に、江藤くんと旅行したらどんなに楽しいだろうかと想像するのだ。  ディズニーランドなんて、何年も行っていない。 もし二人で行けたら、どんな風にはしゃぐのだろう。 江藤くんはミッキーのカチューシャ、付けてくれるのかな?  そんな光景を妄想して、ひとり微笑んだ。 パソコンのモニターに映る自分の顔が、にやけているのがわかる。 いかんいかん、気を引き締めねば。  でも、そんな妄想ができることも、何だか嬉しかったりするのだ。 
last update最終更新日 : 2026-02-18
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12_1.出張からの夢旅行

その日は、突然やってきたのだった。「俺、金曜日出張なんだけど、辻野さん定時で上がれる?」 「うん、今、仕事落ち着いてるし、大丈夫だと思う」 「じゃあさ、舞浜駅で落ち合おう」 「……どういうこと?」江藤くんの言っている意味が、さっぱりわからなくて、私は首を傾げながら疑問の声を上げる。「なんと、直帰を獲得しました!」 「……はい?」胸の前でピースサインをした江藤くんは、得意げにニッと笑ってみせた。どうやら江藤くんは、例のトラブル対応で取引先に出張に行くことが決まったようだ。そして、その出張日は金曜日。終わり次第、直帰したいという希望を課長に直談判して、見事に獲得できた模様。先日、仕事中に二人で妄想したディズニー旅行を、この機会に本当に実行すると言うのだ。 ただし、二人揃って月曜を休暇にするわけにはいかないので、一泊のみの弾丸旅行だけれど。それを聞いた瞬間、私の頭の中は大騒ぎになった。えー! 本当に? 本当に旅行に行くの? めっちゃ楽しみだし、わくわくするー!胸が躍るとは、こういうことなのだろうか。 夢みたいな話が、現実になろうとしている。 急にドキドキが止まらなくなってきた。金曜の夜、舞浜駅。 その先に待っているのは、きっと魔法みたいな時間に違いない。 想像をしただけで、嬉しくてニヤけてしまう。そんなはやる気持ちを抱えながら、金曜日まで機嫌よく過ごした。 日に日に高まる鼓動は、抑えられる気がしない。
last update最終更新日 : 2026-02-23
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12_2.出張からの夢旅行

 江藤くんは出張先の成田市から、私は会社のある横浜市から、それぞれ電車に揺られて、舞浜駅を目指す。 普段のデートは、どちらかの家に迎えに行くことが多い。だから、待ち合わせをすること自体が新鮮で、初めてみたいな気持ちになった。 電車に揺られながら、目的地に近づくにつれて、私の胸は高鳴っていく。ドキドキが止まらなくなっていく。こんな風に旅行に行くのは、初めてのことだから。 なんだか、すごく嬉しい。すごく恋人感がある。気持ちが高まる……! 舞浜駅に着くと、すでに江藤くんが待っていた。遠くからでもわかってしまう、彼のシルエット、佇まい。嬉しくなって、すぐに駆け寄る。すぐに気づいてくれた江藤くんは、ふっと目尻を落とした。 「おー、ちゃんと一人で来れて偉いね」 そう言って、頭を撫でられる。子供扱いされてるような感じなのに、何故か嬉しい私。だけどそれを悟られたくなくて、「大人なので」と、ツンと反論する。そんな私を見て、江藤くんは朗らかに笑った。つられて私も笑顔になる。こんな些細なことでも、嬉しくなっちゃうなんて、私ったらテンション上がりすぎだろうか。 駅のざわめきの中で、ふたりだけの空気が流れる。それが妙に優しくて心地良くて、心があたたかくなった。 
last update最終更新日 : 2026-02-24
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12_3.出張からの夢旅行

  江藤くんは、出張先に着ていったスーツ姿のままだった。  夕暮れどきの光りに照らされて、ネイビーの生地がわずかに光を返している。その姿がいつもより大人の男性に見えて、思わず見惚れてしまった。  「どうかした?」 「え? ええっと、江藤くんスーツのままなの? それでディズニー行くの?」 「ああ、これ? 急いで来たから着替える暇なかったんだよ。でもまあ、いいじゃん。ディズニーならなんでもありでしょ? なんならこの格好のまま、耳付けてもいいよ」  そう言って、頭の上で手を開いて、ミッキーの耳の真似をする。 普段見慣れない、きちんとしたスーツ姿に惚れ惚れしていたのに、そのジェスチャーで一気に笑いが込み上げた。  「ぷっ……」  思わず吹き出してしまう。 こういうギャップがまた、江藤くんの魅力なんだよなぁ。  そう思った瞬間、また彼に惹かれている自分に気づく。 意識したら、勝手に熱を持ち出した頬。 焦って、とっさに両手で隠した。  江藤くんは、そんな私を見て、ニヤリと笑う。  「なんか、照れてる?」 「いや、照れてません」  ツンと返したけれど、実際のところ照れている。 スーツ姿の彼と、耳付きの彼。 どちらも、私の心をくすぐる存在に間違いない。   これでときめかないなんて、ありえない。 むしろ、ときめきしかないじゃない
last update最終更新日 : 2026-02-25
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