私は、思いきって嘆願してみた。 「まあ、どなたかしら?」 派手かしい少年の母が、訝しげな声をあげる。 すねこすりの朝顔は、首の後ろをつままれて足をプラーンとさせていた。嫌がっている仕草を見ると、胸が痛む。 「えっと『銀紫の牙』の棟梁、風河の息子です」 「銀紫の牙? ああ、人も妖怪もいっしょに働くとかいう」 「そ、そうです。その子、捨てるなら私にくださいっ!」 「そうねえ」 すると少年が、母の十二単をキュッと掴んで懇願する。 彼もまた6、7歳くらいの姿であった。すねこすりをサッと母から奪うと、大切そうに両腕で包む。 「母上、捨てるくらいなら、この子に育ててもらいまするっ!」 「君……」 「待ちなさい、その妖怪はこちらで処分しますわ」 すねこすりを奪おうと、深緑色の十二単の袖が迫ってきた。冗談じゃない! 私はとっさに少年と、すねこすりの前に立ちはだかる。キッと睨むと、両手を広げた。 「絶対やだ! 君、いっしょに逃げよう!」 「わかった!」 少年と一緒に、部屋から逃げ出した。 朝顔は少年の腕に包まれて、丸まっている。その瞳に安堵の色が見えたので、私はホッとして地面を蹴った。早春の道を、2人と1匹で家路をたどる。 牛車で来たけれど、ここまでは川沿いの一本道だった筈だ。 逃げろ 逃げろ 走れ 走れ この子を守るために……!!! すねこすりを抱えて走る少年といっしょに、全速力で道を駆けていく。 追ってくるかと身構えたけれど、暗殺騒動でそれどころでは無いのかもしれない。誰一人として追いかけてくる人の気配はなかった。道の横を流れる川のせせらぎの音色が心地いい。 「はあ、はあ、ここが私の屋敷だよ」 「こ、ここまで来れば大丈夫だよねっ」 「ああ、でも念の為に馬小屋に隠れよう」 私は、とうとう自分の屋敷についた……! 誰にも見つからないように、馬小屋に案内すると、しばらく身を潜める事にしたんだ。すねこすりは、床の藁をチョイチョイしたり、ひざの上でゴロゴロ喉を鳴らしたりして、ご機嫌の様子だ。その無邪気な仕草に思わず、心がほころぶ。 「朝顔、かわいいね」 「ありがとう。己の名は、鈴丸」 「鈴丸、私の名は夕月夜だよ」 「夕月夜、急にす
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-28 อ่านเพิ่มเติม