絶賛! あたしは今、夕月夜に抱っこされている。 「何故あたし、白猫になってるの?」 そんな疑問が脳裏をめぐるけれど、撫でられれば喉が自然に、ゴロゴロと鳴ってしまうのだ。うーそんな自分が歯痒いっ! 「どうした、雪椿。抱っこは好きであろうに。今日は暴れるねえ」 なんか夕月夜、先刻からあたしの事「雪椿」って呼ぶよね。 あたしは秋華! そんな名前じゃないし。 雪椿って、あの白銀の髪に、真っ白い着物の少女と同じ名前でしょうに。 どうして、そんな名前を──── 「あ、まさか……あの子も化け猫……?」 突然、腑に落ちる。 雪椿にかけられた呪術で、あたしはどうやら過去の世界に飛ばされたらしい。これは想像だけど、あたしは魂だけが飛ばされて、化け猫である「雪椿の過去の体」に「憑依した状態」なんじゃないかしら? 「それならば、納得できるわ」 これは声に出してみると 「にゃああぁぁ、にゃーあああああん」 と変換される。うーん、全然ヒトの言葉になってないよ〜っ!! もうーこれじゃあ、ただのカワイイ猫ちゃんじゃないよおぉぉ。 めちゃくちゃ困るんだけどっ。腕の中でジタジタしていると、夕月夜が神がかった美しい顔で、優しく告げたのだ。 「大丈夫だよ。君が怖いことから、どんな事をしても守るからね」 その笑みには、あまりにも清廉だ。 なんの毒気もなくて……あたしは思わず、呆気に取られてしまった。 ……何、この夕月夜? あたしが知っている夕月夜は、こんなに純粋そうな瞳で見つめたりしない。麗しいけれども、もっと苛烈だった。魔性の皇子みたいな、そんな雰囲気だったわ。 ここにいる夕月夜が光の皇子なら あたしが出逢ってきた彼は、闇の皇子。 どうして、変わってしまったんだろう? 喉をナデナデされながら、そんな疑問が駆け抜けていったの。 「大変です、夕月夜さまーっっっ!」 神社の玉砂利を踏みしめて、品のある着物を纏った女が、走ってやってきた。下仕(雑用をする)の女であろうか? その顔は切迫している。走ってきたのか、ゼイゼイと息を切らせていた。 「急いで、お屋敷にお帰りください」 「どうしたの。何かあったの?」 「桓武天皇の奥方様が、亡くなられました」 「え……っ!」 その言葉に、夕月夜の
Última atualização : 2026-02-19 Ler mais