カンタレラ〜毒公爵の甘い愛に溺れる〜의 모든 챕터: 챕터 61 - 챕터 70

86 챕터

61 植物園

 エドの屋敷の庭を歩いて案内された先は、噂の植物園だった。 そこはドーム型の屋根がある大きな建物で、いわゆる温室になっている。透明な屋根と、透明な壁で外からも中が見えた。 扉を開けて中に入ると春先みたいな感じで温かい。 そして、通路の左右に広がるたくさんの緑たち。「うわぁ、すげえ」 俺は声を上げながら見たこともない植物たちを見回した。 まるでジャングルみたいにたくさんの木が生えていて、花壇にも草花が植えられている。 すげえ。としか言えない。 俺にわかるの、バラとユリとスズランぽいやつだけだ。でもなんか違う感じがするけど。 あれ、ユリって毒あるんだっけ。そう思って俺は前を歩くエドに声をかけた。「なあ、ここにある植物ってみんな毒あるの?」 「毒あるのもあるけど、そこまで危ないものはないよ。そういうのは別の区画の、鍵がかかった部屋の中にある」 って言って、エドは前方を指差す。 その先にあったのは、三角屋根の小さな小屋だった。そこも透明な屋根で温室になっているみたいだけど、何か異様な雰囲気を感じる。 壁は金属の網が張られているみたいで、ここの開放的な壁とは全然違う。遠目でよくわかんないけど、あれじゃ中、見えねえんじゃないかな。 俺はそれを見て思わずぶるっと震える。 その小屋から目を離さないで、俺はエドの腕を掴んで言った。「なあ、何か怖いなあれ」「あの中には毒の材料になる植物があるんだよ。トリカブトとかドクゼリとか」 その植物の名前は俺でも知ってる。やべえやつじゃね? そう思うとその小屋がすっげーやばい呪物に見えてくる。「まじかよ……」「まあ使うことなんてないだろうけど。他にも魔法薬の材料とかも育ててるんだよ。ほら、前にルカに飲ませた媚薬とか」 エドは俺の腰に手を回しながら言い、俺に笑いかけてくる。 それは夏休み、エドの別荘に行った時の話だよな。 そのことを思いだすと俺は身体の奥がジン、と熱くなるような気がした。さっき散々シたばっかだって言うのに。きれいに舌から残ってるはずのないエドの精液が、中に残ってる気がして腹が疼きだす。 目を泳がせつつ俺はエドを見つめると、彼は俺を引き寄せて唇が触れるか触れないかくらいの距離まで顔を近づける。 エドの紫色の目に俺の戸惑った顔が映ってる。 楽しそうな笑みを浮かべ、彼は言った。「
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62 もうすぐ文化祭

 エドと一緒に過ごす時間はすごく楽しい。 でも俺の中で常に不安がくすぶっている。ゲームが終わるまであと二年半。その先があるように祈るばかりだった。 もうすぐ文化祭がやってくる。 俺のゼミは出店でフランクフルトを売ることになっていた。 エドと一緒に当番の日があって、 それは三日目の十二時頃からってなった。それって混むんじゃねえかなぁ。 十月の半ば。俺は大学の構内に貼られたポスターの前で足を止めた。「前夜祭……」 俺は呟いてそのポスターを見つめる。 それは前夜祭にやるイベントについて知らせるポスターだった。 午後五時から大学の講堂を使って大きなパーティーをするらしい。 それはマリアから聞いて知ってはいたけど詳細を知ったのは初めてだ。 高校ならプリント配られるんだろうけど、大学じゃあそういうのあんまりねえからなぁ。なんか高校と合同らしくって、パートナーどうしようとかなんとか、マリアは言っていた。 この学校は高校も大学も貴族や商人の子女が多いから超派手だろうなぁ。 でもドレスコードはないらしい。何でもオッケーって書いてあるけど、こういうのって私服で行ったら行くんだろうな、きっと。 そんなことを思いつつポスターを見つめていると、背後から声がかかった。「ルカ君」 その声はマルコさんだ。 まじないや呪いについて研究している大学院生。 何回か家に行ったりしてるし海にも行ったから、ちょっと仲いいかもな人。 大学院は別棟に研究棟があるから食堂で姿を見かけるくらいしかなかったけど、こんな風に構内で顔を合わせるのは珍しかった。「マルコさん、おはようございます」「おはよう。あぁ、文化祭の前夜祭のお知らせ見てるんだ。もうすぐだもんねぇ」 マルコさんも前夜祭のお知らせポスターに目を向ける。「そうなんです。俺、初めてだから全然想像できないんですけど」 言いながら俺は、服装自由の文章を指差す。「これ、本当に自由なんですか?」 俺の問いかけにマルコさんはにこっと笑って頷いた。「うん、自由だよ。だって文化祭の準備で着替える時間のない子もいるしね。何着ても大丈夫なパーティーだよ。それにこのパーティー、色んな貴族や商人からの差し入れ合戦あるからすっごく豪華だよ」 満面の笑みを浮かべて言われ、俺は苦笑を浮かべる。 そうなんだ。そんな実態あるんだ。
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63 前夜祭へ

 十一月になると一気に寒さが増してきて、コートを着るようになった。 文化祭が近づくにつれて学校内の装飾が増えていき、なんとなく皆浮足立っているような気がした。 前夜祭が明日と差し迫って来た日。お昼を食べつつ俺はエドに尋ねた。「なあエドは前夜祭出るの?」「パーティーは好きじゃないから出ないつもりだよ」 そう答えて、彼はサンドウィッチを掴んでそれを口に運んだ。 それを聞いて、俺は思わず固まってエドを見つめた。「まじで?」 驚く俺にエドは不思議そうな顔になる。「そこまで驚くことじゃないと思うけど」 言われてみればそうだ。全然意外じゃないけど、どうしよう。俺は行くつもり満々だったのに。 俺の様子を見て、エドは首を傾げた。「もしかして、ルカは行くつもりなの?」「あぁ、うん。だって妹がいるし。マリア、相手が見つかんなかったみたいで俺に付き合ってほしいって言って来たから」 言いながら俺は苦笑を浮かべ、カップのカフェオレに手を伸ばした。 マリアは一緒に行く相手が決まらなかったらしく、俺に付き添いを頼んできた。 だからパーティーに参加するしかねえんだけど、そっか…エドいねえのか。そう思うとすっげー残念。 それが顔に出ていたらしく、エドがちょっと慌てだす。「えーと……いや、俺はいかないつもりではいるけど……でも、ルカがいるならどうしようかな」 って、焦った顔をして下を向く。 いや、そんなに慌てなくもよくね?  俺はその様子をみて首を横に振った。「いや、別にエドがいないのは残念だけど仕方ないし。パーティー苦手なのは俺もわかるからさ」 そう俺が言うと、エドはぶつぶつと呟き始める。 「パーティーは好きじゃない、っていうか嫌いだし……でもルカが、いや……でも……」 いやそこまで悩むんなら別にいいんだけど?「俺は大丈夫だって。前に知り合った大学院の先輩も来るって言ってたからひとりじゃねえし」 マルコさんの事を思い出しながら言って、俺はカフェオレを飲んだ。甘くっておいしいなぁ。なんかケーキとか食いたくなってくる。 なんかあったっけ? って思って食堂のメニューを思い出していると、エドが呟くのが聞こえた。「……行く」「え?」 何言われたのかわかんなくって、俺はカップを持ったままきょとん、とエドを見つめる。 エドは、じっとこっちを見つめ
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64 前夜祭

 高い天井に、白くて太い柱。 普段は殺風景な講堂は飾り付けがされていて、ノリのいい音楽が流れてる。 ステージに弦楽団がいて演奏してる。 俺とマリアたちはきょろきょろとあたりを見回す。 すっげー広い講堂は、制服姿の高校生や私服姿の大学生、スーツや身体にぴたっとしたドレス姿の学生たちと、様々だ。 「すごぉい」 って、マリアが声をあげる。 確かにすげぇ。 彫像みたいなの置いてあるし、絵も飾られてる。「ねえねえ、あっちに料理あるよ」 弾んだ声でキアラちゃんが言い、俺たちはそっちに向かった。 いくつもの長テーブル。 濃い赤のテーブルクロスが掛けられていて、いくつもの料理が並んでる。 パンにサンドウィッチ。唐揚げやウィンナー。ケーキにクッキー。まるでバイキングみたいだ。 見ているうちに料理が増えていくけど、どっかでつくってるんかな。 よく見ると、どの料理はどこどこの家からの差し入れとか書いてある。「何食べようー」 言いながら、マリアはお皿を手に取り俺に差し出してきた。「ありがとう、マリア」「うん! 何食べようかなぁ」 声を弾ませ言い、マリアはパンを取って皿にのせた。 パスタにグラタンがあって、冷めないように小さなろうそくみたいなので温められてる。 ダンスパーティーっていうけど踊ってる人はそんなにいなくて、食いながらおしゃべりしてる人のほうが多かった。 マリアはパートナー探さないとって頑張ってたけど、別にいらなくね? ていうくらい、皆好きなように過ごしてる。 俺、別にマリアと一緒じゃなくてもよかったような…… でもマリアいなかったら来なかったかもだしな。 そう思いつつ、俺はマリアたちとおしゃべりしながら料理を食べた。 にしても料理がすっげー日本ぽい。 西洋系の料理が多いけど、唐揚げって日本的だよな。ナポリタンもあるし。 食べてると、ミレーヌさんが話しかけてきた。「ルカ様は、前夜祭におひとりで参加される予定だったのですか?」「え? あぁ、はい。そうですよ」 そう答えて俺は唐揚げを口に放り込んだ。やっぱ唐揚げっておいしい。 俺の答えにミレーヌさんは驚いた顔になって口もとに手を当てた。「そうなのですか? この前夜祭って大学生の皆さんは男女で参加するものかと思っていました」「そんなことないですよー。皆、文化祭の準備が
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65 夜の学校

 マリアにくるくるされた後、キアラさん、ミレーヌさんの相手をすることになった。 それはそれで楽しかったけど、正直エドのことが心にあって気が気じゃなかった。 何度か辺りを見回したけど、エドの姿は見ていない。 見られてねえよな? 浮気したわけじゃないのに、すっげーエドを裏切った気持ちになってしまう。 三人と踊ったのなんて大した時間じゃないと思う。 マリアたちは高校の友だちに声をかけられ、ご飯を食べながら談笑している。 まあこうなるよな。すっかり手持無沙汰になってしまった俺は、パンを食べつつ一息ついた。 若い子の相手ってけっこう疲れるなぁ。 そう思っていると背後から声をかけられた。「ルカ君、こんなところにいたんだ」 マルコさんだ。 振り返ると、パーカーに綿パンっていうすっげーラフな格好をしたマルコさんがいて、ニコニコ笑ってこっちに近づいてきた。「マルコさん、こんにちは」「こんにちは。妹ちゃんは?」 言いながら彼は辺りを見回す。「マリアは同級生と一緒に喋ってます」「あぁ、だからひとりなんだ」 そう納得した様な声で言って、彼は俺を見つめる。 なんかその目が妖しい光を放っていたような気がするけど……気のせいかな。 不思議に思いつつ、俺はグラタンを皿に取った。 そんな俺に、マルコさんは言った。「友だちは一緒じゃないのかい?」「えぇ。まだ会ってないんですよねぇ」 どうしたんだろう、ルカ。いるのかもしれないけど、人が多いしよく分かんねえんだよな。「そうなんだ。じゃあ僕に付き合ってくれないかい?」 って言って、マルコさんはそっと俺の腕を掴む。「……付き合うって何にですか?」 食べてたグラタンを何とか飲み込んで答えると、彼はにやっと笑う。「せっかく夜の学校にいるんだし、探検してみないかい?」 夜の学校。探検。 そんな事言われると確かに心が揺れる。 そうか、合法的に夜の構内を探検できるのか。いや、特別なことなんてねえだろうけど。 でもここ、魔法とかあるし幽霊の噂とかあるのかな? ひとりわくわくする俺に、マルコさんが畳み掛けてくる。「学校って呪いの話や幽霊の話が多いんだよね。理科実験室の標本が動くとか、絵画の幽霊の女性が、絵から出てくるとか。そういう噂の中には本物があるらしいんだけど、なかなか確かめる機会ないからせっかく
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66 校舎へ

 庭を抜けて何とか校舎に着いた時、俺は思わず大きな息をついた。 玄関から庭を振り返り、暗闇を見つめる。「何なんですかあれ」「若い男女が暗い場所ですることなんて決まっているよねぇ。男女とも限らないけど」 笑いを含んだ声でマルコさんが言う。 いやそれってどういう……いや、考えるのやめよう。 俺は顔が引きつるのを感じながら言った。「ここ、学校ですよね?」「そうだよ。今日は前夜祭。男女が夜一緒にいても誰にも咎められないからねえ」 と、マルコさんは喉を鳴らして笑う。 確かにそうだけどさ。 家でやれよ。いや、家でできないからここでしてんのか…… いやでもホテルとかあるよな? いわゆるラブホみたいなのねえのかよ? 残念ながら俺の知識じゃそんなのわかんなかった。 俺はげんなりとして、庭の方に背を向けて言った。「早く行きましょう」「あぁ、うん。そうだねぇ。のぞきをする趣味はないし」 いやマジで何起きてるんですか、学校の庭で。 気にはなるけど気にするわけにはいかなくて、俺は想像を振り払おうと首を振り校舎内へと進んで行った。 夜の大学構内と言っても、文化祭の準備でまだ学生がいるみたいで中はわりと明るかった。 カツカツと、俺たちの足音が妙に大きく響いてる。 結局エドと会えなかったな。その事が気がかりだったけど、今は好奇心の方が強かった。 俺はきょろきょろと辺りを見回しながら進んで行く。 そんな落ち着かない俺とは対照的に、マルコさんは淡々と言った。「まず生物室行こうか。そのあと魔法科学室でしょ? 大講堂にも行ってあと」 それ、構内の特別室全部じゃねえかな、ってくらいマルコさんは部屋の名前を上げていく。 さすがにそんなに時間、なくね? と思って俺はマルコさんに向かって言った。「それだいぶ時間かかりませんか? 迎えの時間もあるし……」  それに俺、エドと会わないと。 するとマルコさんは、ハッとした顔になる。そして苦笑いを浮かべて言った。「言われてみればそうだねえ。んー……」 と、顎に指を当てて呻った後、ぱっと何かを思いついたように言った。「じゃあ行けるだけ行こうか!」 そして彼は俺の腕をがしり、と掴むとガンガン歩き出した。「ねえ、君が行っていた学校に七不思議ってあった?」 などと言い出す。 七不思議? なんか子供の頃、学
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67 三階へ

 マルコさんがこちらへゆっくりと目を向ける。 ここは暗いからその表情まではわかんないけど、なんか笑われているような気がした。 マルコさんは笑いを含んだ声で言った。「怖いの?」「え? あ……う……」 即座に否定できなくって、震えた声が出てしまう。 だって怖いし。 「あはは、そっかー。やっぱりルカ君って可愛いよねぇ」「お、俺男ですし、二十歳超えてるし、可愛いとかそんなん無いですよ」 否定してみたものの、出た声はなんか上ずっていて説得力の欠片もない。 思わず目をそらすとマルコさんが言った。「僕もひとりだったら怖かったと思うよー。ルカ君がいっしょだから大丈夫だけど」「え? マジですか?」 マルコさん、怖がってる様子全然ないけど。どう見ても普通だし。 驚く俺にマルコさんは大きく頷く。そして俺の手をそっと引っ張った。「怖いよ、ほらー」 と言い、俺の手を自分の心臓の上にあてた。 マルコさんの鼓動が手を伝ってくる。 普段が分かんねえけど、けっこう早く感じるかも。「ね?」 と言い、マルコさんはくい、と俺の顎をとって上向かせた。 さすがに至近距離過ぎてマルコさんの表情がよく見える。彼は笑っていた。なんかすっげー妖しい顔をして。 その表情がすごくなまめかしく見える。なんていうか……そうだ、俺を誘惑するときのエドの顔みたいな。 なんか恥ずかしくなって俺は目を背けたくなる。だけどマルコさんに顎を掴まれているから、俺は顔を動かせない。 なんだろう。マルコさん、なんか企んでるのかな。 俺、もしかして知らないうちになんかハメられてる? いや、そんなわけねえか。いったい何にハメるんだよ? そんな戸惑いが顔に出たのか、マルコさんはくすくす笑ってさっと俺の顎から手を離して言った。「ほら行こう。あんまり遅くなるとしまっちゃうからね」 そしてマルコさんは、俺の手をぎゅっと握りしめて階段を上り始めた。 三階にたどり着き、噂の絵の前に立つ。 よくあるドレスを着た女性の絵で、微笑んでこちらを見ている。昼間見ても何とも思わない、金髪の女性の絵なのに夜見るとなんかこう、異様な絵に見える。 なんかじっとこっちを見ている感じがするし。 怯える俺と違って、マルコさんは冷静だった。 彼は小さく首を傾げて言った。「残念だなぁ。絵からは出ていないみたいだね
last update최신 업데이트 : 2026-02-02
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68 何があったの?

 全力で走った後なうえ恐怖で足腰立たない俺は、廊下に座り込んだままエドをみあげた。「エド……」 息を切らせて彼を見ると、隣で呟く声が聞こえた。「君のナイトか」 それはマルコさんの声だ。 ナイトって何? て思ってマルコさんの方を見るけど、彼は俺の方に目を向けてにまぁっと笑う。 その笑顔がなんか怖くって内心ひいてると、彼は俺の肩をぽん、と叩いて言った。「今日は付き合ってくれてありがとう、ルカ君。また遊ぼうね」 と、妙に爽やかな笑顔で言って立ち上がる。 そして彼はエドを一瞥して校舎の外へと向かって言った。 そんなマルコさんの背中を、エドが睨んでいたような気がするけど気のせいかな。 ちょっと怖いんだけど? エドはマルコさんの背中を見送った後、俺の方に歩み寄ってきて目の前にしゃがみ込んだ。 なんか怒っているような、心配しているようなちょっと複雑な顔をしているような気がするエドは、俺の肩にそっと手を置く。さっきマルコさんが触れた俺の肩に。「捜したよ、ルカ」「あぁ、うん、ごめん」「学生に聞いたら、校舎の方に向かうのを見たって聞いたから来たんだけど……」 そこで言葉を切って、エドはチラッとマルコさんが消えて言った方を見る。「あの人、誰?」 なんか声が冷たいんですけど? 俺はドキドキしながら言った。「あの人は大学院の先輩。前に妹と宿題で博物館に行った時に会ったんだ。マルコ……」「ローウェル。たしか伯爵家の」 俺の言葉を受けてエドが言ったから、俺は驚いて彼を見る。「お前、知ってんの?」「貴族の名前くらいは知っているよ。でも顔までは全部知らないからね」 そう淡々と答える。 貴族の名前覚えてんのすげえな。俺、全然覚えらんないのに…… 俺は思わずエドに顔を近づけて言った。「すげえなエド。俺、マルコさんの名字まで思い出せなかったのに」 そんな俺の言葉に、エドは苦笑を浮かべる。「ほんと、ルカは危なっかしいよね」 なんて言って、俺に手を差し出してくる。「ほら、行こう、ルカ。何があったのかあとで教えてね」 言葉は優しく聞こえるけどなんか声、怖い。 怒ってんのかな。エドおいて校舎探検に来たこと。 俺はおそるおそる差し出されたエドの手を掴んで言った。「エド、怒ってる?」「うん、怒ってる」 そう答えて俺の手を引っ張り、俺を起き
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69 見たもの

 ここはゲームの世界だ。幽霊くらいいてもおかしくないだろうし、絵から飛び出してきたっておかしくないかもしれない。 でも怖いものは怖いんだ。 何も答えず震えていると、エドはいぶかしげな顔になる。「ルカ? 何か見たの?」「え、あ……えーとその……」 言い淀んで俺は、見たものを何とか話した。「ほ、ほら、あのさ、校舎にけっこう絵、飾られてるだろ?」「あぁ、そうだね」「そのひとつ……三階にあるドレス着た女性の絵なんだけどさ……」 そこまで言うと、エドはあー、と呻る。「もしかして、絵から出てきた女性が躍るっていう噂の?」 そのエドの言葉に俺は黙って何度も頷く。 「そんなの迷信だろ?」 容赦のない、まっすぐな言葉に俺は首を横に振った。「い、いやだって俺見たんだってば。あの絵の中の女性が出てきて廊下で踊ってるの……」 恐怖を思い出して俺は、ぶるぶるっと震えて声が細くなってしまう。 だって怖かったから。 エドは疑いの目を向けていたけど、俺が震える様子を見てちょっとは信じてくれた……かな?「そんなことあるんだ」 と言い、校舎の方を振りかえる。「ほ、ほんとだって。俺だって信じちゃいなかったけど……まじでなんかいたんだって」「そう言われると興味わくけど……なにかの魔法がかかってるのかな。そういう感じはしたことないけど」 あぁ、そうか。魔法、あるもんなここ。 いやでも絵から飛び出してくる魔法なんてあんの? 俺の知識の中でそんな魔法は存在しない。そういう絵を描ける絵具があるとか? いやそれも知らねえし…… 悩む俺に、エドが笑いを含んだ声で言った。「そんな魔法、聞いたことないけどねえ」「だよな? そうだよな? そんな魔法ないよな?」 確かめるように俺が言うと、エドは笑って頷く。「うん。でも俺たちが知らない古の魔法かも知れないし。幽霊の仕業かも知れないし。俺にはわかんないけど」「ゆ、ゆ、ゆ……」 やっぱり幽霊いるの? 貴重なもの見られたけど怖い。 俺はエドに抱き着き震える声で言った。「なあ、呪われるとかないよな? 憑りつかれるとかないよな?」 必死な俺に、エドが不思議そうな顔になる。「呪われるとか憑りつかれるとか、そんなことないでしょ。だって絵から出てきて踊ってただけでしょ? 追いかけられたわけじゃないんだよね」 冷静に
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70 仲いいよね

 夜とはいえここ、学校なのに俺たち何してんだろう。 そう思うけど一度上がった熱を下げる方法なんて、俺わかんねえんだよ。 俺はエドにしがみ付いてうっとりと彼の顔を見つめた。 暗いけど、顔近いからエド表情がすっげーわかる。 笑って俺を見つめるエドの表情がなんかなまめかしく見えた。「エド……」 名前を呼ぶとエドは俺の頬を撫でて笑う。「なあに、ルカ」 俺の名前を呼んだかと思うとエドはまた、唇を重ねてきた。 「やめ……エド、ここ学校……」 キスの合間に抗議するけど、エドは全然やめてくれなかった。 でも俺、本当にやめてほしいんかな? 学校だからよくなって思うのにもっと欲しいって思ってる。「ん……ここでやめたらお仕置きにならないでしょ? ルカ」 甘い声で言って、エドは俺にキスを繰り返した。 そんなにされたら俺、我慢できなくなる。履いてるズボンが超きついのに、エドは全然そこには触ってくれなかった。 エドは意地悪だ。 外だからきっと、これ以上なんかするつもりなんてないんだろうな。なんていうか蛇の生殺しじゃねえか。 すっかり欲情しきった俺はエドにしがみ付いて自分からもキスを求める。 だけどエドはそんな俺の唇に指を当てて、「ここは外でしょ? だからこれ以上はダメ」 なんて言って離れていってしまう。 エドは意地悪だ。 いやお仕置きだって言っていたから仕方ねえんだろうけど。でも俺はもっと欲しいからエドに言った。「ごめん、エド。もう勝手にいなくなったりしないからぁ」 そう甘えた声で言うけど、エドは触ってくれないしキスもしてくれなくなってしまった。「今日はもうおしまい。だって、そろそろ前夜祭が終わってみんな迎えに来るからね」 まじかよそんな時間? 言われてみればなんか騒がしいかもしれない。 思わず俺は上目づかいにエドを見るけど、彼は笑って俺から離れてしまう。 そして立ち上がると、俺に手を差し伸べて言った。「ほら行こう、ルカ。続きはまた今度」 わかってる、だってここは外だからこれ以上はダメっていうのはわかってるんだ。 そう自分に言い聞かせて俺は、エドの手を掴んで立ち上がった。 この熱、どうにかしねえとマリアにバレたらやべえ。 俺は胸に手を当てて大きく息を吸って吐く。 「ルカをめちゃくちゃに抱きたいけど、外じゃねえ」 な
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