All Chapters of 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした: Chapter 121 - Chapter 130

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第119話・相談できない

「学園と……敵対?」「コア監視員に姿が見えないなんて、それしか考えられないだろうが。この学園にコア監視員の目の届かない所はない。それが、監視を外し、近寄らせない能力を持ったコア生物がいるなんて、学園と敵対している創造主に決まってるだろうが」 やっと、彼方くんの言いたいことが腑に落ちた。「ナナは……僕に何かをさせるために学園に送り込まれた?」「コア生物は基本的に嘘をつけないって言うから、最初の出会いは偶然だったんだろうな。だけど今は違う。創造主に捨てられたと判断したコア生物は自分からお前の所に来た。お前と同化した。学園の中でそれを知っているのは俺たち三人だけだ」「先生に相談した方がいいと思う?」「やめとけ」 彼方くんは渡良瀬さんの恐る恐るの提案を一蹴した。「俺たちはともかく、コア監視員に認識できないそいつと同化した丸岡がどういう目に遭わされるか分からない。透明ってだけで教員共が大騒ぎしたのに、コア生物の影響で二色を同時コピー使用できるなんて知れてみろ。下手すりゃコア監視員の創造主のお出ましになる。コア研究はコアだけじゃなくコア主まで研究対象だ。創造主程の研究者がどんな実験をするか、想像したくもないぜ」「……丸岡くんとナナちゃんのことを考えると、今は黙っていた方がいいってこと?」「今はな。そのうちあっちから接触があるはずだ」 彼方くんは腕を組んだ。「研究に夢中になるタイプの教師や教員には話さない方がいい。カピパラ……長田のヤツなら、まだ相談できる可能性がある。あいつは気に入った生徒には力を貸したくなるタイプだから、気に入りの丸岡がそう言うことに巻き込まれたと知ったら協力してくれると思うが……他のヤツは厳しい。……教師を見る目を変えた方がいいな。味方になってくれるか、くれないか」 彼方くんは、予想以上に強力な味方になってくれた。 僕と渡良瀬さんだけだったら辿り着けなかった解答を解いて見せた。「彼方くん、ありがとう」「俺がお前に勝つためだ。そんな
last updateLast Updated : 2025-11-27
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第120話・自分が勝つまで、負けるな

 とりあえず、この秘密は今のところは三人だけのものとしておくことで意見は一致した。 ナナに悪意はない。だけど、ナナの創造主が学園に悪意のある人間だった場合、ナナと同化した僕を利用して何かをするかもしれない。だけど、そんなことを例えば御影先生に相談したら、コアからナナを切り離す手段を考えてナナを調べ尽くそうとするだろう。それじゃ気持ちが落ち着かない。 コア監視員を遠ざける能力を持ったコア生物と同化している、と話せる相手は少ないことが否応もなく分かった。 僕の知っている先輩、八雲一、百先輩は信頼できる人だろう。でも、一先輩はともかく、百先輩は風紀委員長だ。コア監視員を使って学園を守ることを任務としている百先輩に話したら、学園に何かが仕掛けられていると判断して生徒会なんかに報告するだろう。あの先輩はそう言うところ真面目だから。 彼方くんが唯一挙げたのが、長田先生だった。カピパラ呼ばわりしている割には、自分の担当教員である和多利先生より信頼しているらしいのが意外だったけど、確実に自分を強くしてくれているのを認めているんだろう。 他の心当たりは……というと、ない。 一年生三人じゃ、信頼できる上級生や教師、コア医、教員はなかなか判断できない。それも、学園を狙っているかもしれない陰謀に巻き込まれているなんて知ったら。「……渡良瀬」 考え込んでいた彼方くんは言った。「お前、風紀委員の任務中はできるだけ丸岡に貼り付いてろ」「……どうして?」「お前の能力は他者鎮静化、問答無用で無力化することができる。例えばコア生物に精神をいじられて丸岡が暴走しそうになった場合、お前の力が絶対に必要になる。同じ風紀委員だから貼り付いているのも可能なはずだ」「でも、それ以外の時間は?」「俺が貼りつく」 真顔で言った彼方くんに、僕も渡良瀬さんも言葉を失った。「変な顔している場合じゃないだろう。寮内と追加授業は同じだ、お前より貼り付く時間は長いだろう」 「でも、彼方くんがそこまでする必要は……」「お前は俺に勝った」
last updateLast Updated : 2025-11-27
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第121話・手助けできない

「わたしが……仁さんを頼ったせいで……私の創造主がわたしを追い出した理由をちゃんと聞いてれば、わたしが仁さんを頼らなければ、皆さんがこんなに悩む必要なんてなかったのに……」「全くだ」「ちょ、彼方くん!」「でも、お前たちコア生物は創造主に逆らえないんだろうが。別にそのことでお前を責める気はない。俺が文句を言ってぶん殴りたいのはお前じゃなくお前の創造主だ」「何を考えてナナを追い出したか分からないものね……」「ついでに言えば毎日こいつの調整をしていたって言うがどんな能力を付与していたのか分からない。今のところ丸岡に害はないようだが、いつそれが出てくるかもはっきりしない。事情を知っている誰かが傍にいなきゃヤバいだろう」 何だか僕を置いてけぼりで話が進んでいるような……。「で? お前はどうするんだ」 それまで置いてけぼりだった僕に話を向けられ、僕は一瞬言葉を失った。「俺たちはこれだけやる気でいる。残るは一つ、お前のやる気だ」「ぼ、くの?」「彼方くん?!」「そうだろう、こいつが俺や渡良瀬に一緒にいられるのが嫌だって言うなら、今まで俺たちが考えていたことも撤回だ。お前がどうなろうが、お前が助けてくれって言わない限り助けないし助けられない。それは分かるだろうが」 分かる。渡良瀬さんや彼方くんがどれだけ僕のことを心配してくれているか。僕の為にどれだけの手間をかけようとしてくれているのか。どれだけ厄介ごとに首を突っ込もうとしてくれているのか。下手をすれば学園を巻き込むような波乱の中に飛び込もうとしてくれているのか。 だけど……。「僕は……」 ……それ以上、言葉が出てこない。 僕はどうしたいのか? 僕は何ができるのか? 僕は何をしたいんだ? 分からない。「ごめん、答え、ちょっと待ってくれるかな」「丸岡くん……」「チッ、コア戦闘以外じゃ腑抜けなんだな」 彼方くんは忌々しそうに舌打ちした。「時間はほとんど、いや、ほぼないぞ。分かってんのか?」「分かってる。だから、考える。このまま流されれば、きっと決断の時にそれを決められないと思うから」「ふん」 彼方くんは鼻を鳴らして立ち上がった。「決めたら俺の黄色いのに連絡寄越しな」「覚えてて、丸岡くん」 背を向ける彼方
last updateLast Updated : 2025-11-27
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第122話・コア

 渡良瀬さんも去って行って、残ったのは僕とナナ。「ナナ、コアに戻ってて」 僕は声をかけた。「仁さん」「あんまりコア監視員の目がないと疑われるから」「はい。……あの、ごめんなさい」「謝る必要はないよ」 僕の笑いは苦かった。「多分、何処かで考えなきゃいけないことだったから」  子供の頃は、コアを手に入れたら順風満帆な未来が待っていると思っていた。 憧れは炎の赤。でも太陽の黄色もいいなと思っていた。青もカッコいいし緑も素敵だと思っていた。 そして十五歳の春。その時はベージュ色だと思っていたコアを手に入れた。絶望した。これで僕の未来は終わりだと、夢も何もかも消えたと、そう思っていた。 受験。それまでうんともすんとも言わなかったコアが急激に発動して、僕は受験に合格した。 コアが手に入れば望むものは何でも手に入ると思っていた。 レアとも呼ばれる原色のコア。強いコアを手に入れて、弧亜学園でそれを鍛える。そうすれば一生安心だと思っていた。 そして、今。 みんなが僕のコアは特別だという。激レアだという。 そして、コア戦闘には強いと思っている。 だけど、僕自身は何一つ手に入れていないことを思い知らされた。 体力には多少自信はついたけど、コピーしなければ何も使えない、謎のコア生物が宿ったコアがなければ、僕には何にもない。 コア。 コアって一体何だろう。 研究者すら未だ生物なのか物体なのか分かっていないモノ。 現代社会はコアを中心に回っていて、その研究をする弧亜学園は国にも発言権を持っている強力な組織でもある。 そんな組織に関わるかもしれない大きな渦が出来ていて、僕はその真ん中、ちょうど台風の目の中にいる。 今は無風だけど、それは一時の安心でしかない。空気が動き出せば一番その影響を受ける場所。 その場所に一緒に立っ
last updateLast Updated : 2025-11-27
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第123話・問いかけ

「お悩みですかー?」 彼方くんも渡良瀬さんも去った中庭。いつココが現れたか覚えてない。多分、考えすぎて気付かなかったんだろう。「悩み……悩みだね」「私に話せる話ですかー?」「いや」 否定して、もしかして気を悪くさせたかをココを見る。 渡良瀬さんそっくりの顔は、今は表情もそっくりだった。 僕を気遣って、心配している顔。「……ごめん、心配してくれてんのに」「お気遣いなくー。私は丸岡さんの監視員ですからねー、監視員には話せないことがある、そう言うことは理解していますー」 ……コア監視員だけには知られては困ること。監視の目から逃れるコア生物。 一瞬自分のコアに目を走らせる。ナナはまた眠っている。だからこそココが現れたんだろうけど。「丸岡さんのお悩みは重症ですねー」「どうしてそう思うんだい?」「だってだってー、入学した時はあんなに夢と希望にあふれた一年生でー、風紀委員として活躍したのを認められてー。好きな子とも接近できてー、ライバルがいてー、体力不足だって長田先生の追加授業で問題ないレベルから更に上へ行こうとしているんですよー? 学生としてはやりたいことが続々出てきてたまらないはずですー。なのにー、こんな所に一人で悩んでれば、そりゃあ重症のお悩みをお持ちだと思いますよー」「ココは賢いね」「そりゃあ丸岡さんの監視員ですからー」「ココは……」 聞いてはならないと思った。だけど聞かなきゃと思った。「僕がもういらないって言ったら、どうする?」「それは学園を物理的に去るということですかー?」「う~ん」「元々、学生につけられるコア監視員は三年の命しかありませんー。監視対象が卒業して学校を離れた時点で用済みですからー」 用済み、と言った時、一瞬ココの表情に陰りがあったように見えたのは気のせいか?「
last updateLast Updated : 2025-11-27
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第124話・立ち向かうために

 長くて三年しか生きられないコア監視員は、きっぱりと言い切った。「もしも、とか、なぜ、とか。考えるだけ無駄なんですよー。過去は仮定しても変えられないしー、未来は仮定するしかないー。もしもあの時、こうしていたら……それは素敵な夢物語ですけどー、現実になることはないでしょうー? もしも未来がこうだったら……それも素敵な未来のお話ですけどー、現在を生きなきゃ望む未来は与えられないでしょうー? 結局、生命は今を生きるしかないんですー。目の前のことを一生懸命やって、未来を引き寄せるしかないんですー。その為に時には立ち止まって考えることも必要ですけどー、もしも、とか、なぜ、とかを考えるんじゃなくて、今何をすれば望む未来が引き寄せられるか、それを考えるのが一番建設的だと思いますよ私はねー」「今、何をすれば望む未来が引き寄せられるか……」 僕はココに聞いた。「なら、望む未来が見えない時は? 八方ふさがりでお先真っ暗、そんな未来しか見えない時は?」「それを何とかするための思考でしょうー?」 そうだ、 僕は忘れていた。 あまりにも次々色々なことがあり過ぎて、載せられた荷物が重くって、立たされた場所が泥沼だったので、動くことをやめていた。 だけど、僕以外の全ては動いている。周りは未来を見据えて物凄いスピードで移動している。泥沼から這い上がり、刃の道を走り、手に入れたいものを求めて。 そんな彼らにおいて行かれないためには、僕も動くしかないんだ。方向は見えなくても、まずは泥沼から這い上がり、周りを見渡して少しでも明るい方へ。途中にどんな困難があっても乗り越えるしかない。 幸い、僕には助けてやるって言ってくれている人がいる。 渡良瀬さんは僕の力になりたいと言ってくれた。彼方くんは自分に負けるまで負けるな、と言ってくれた。 力を借りるのは恥ずかしいことじゃない。恥ずかしいと思って泥沼に沈んでいく方がよっぽど恥ずかしい。 僕が、今やりたいこと。 それはまだ見つからない。
last updateLast Updated : 2025-11-27
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第125話・やる

「ココ」「はーい?」「彼方くんと渡良瀬さんに、やる、ってだけ伝えて」「やる」「それだけで通じると思う」「よかったー」 ココのほっとしたような声に、僕はそっちを見た。 ココが笑ってる。「どうしたの?」「丸岡さんの顔が変わりましたー。ちゃんと顔をあげて私と目を合わせてくれましたー。さっきまでー、私が下がらなきゃ何も見えなかったのにー」「それは……」「何かやるのを決めたんですねー? はい、分かりましたー。私には言えないことでも、私は応援しますー」「応援していいの? 君たちに話せないことだよ?」「丸岡さんの今の目はー、真っ直ぐ未来を見た目ですー」「え……」「まだ見える未来がなくてもー、真っ直ぐ未来を見た目ですー。だからー、私は応援しますー。丸岡さんが望む未来が見える日が来るのを、丸岡さんが望む未来を引き寄せることをー」 おしゃべりで、おせっかいで。 僕を監視するためだけに生み出されたコア生物は、僕に未来を教えてくれた。「ありがとう、ココ」 僕は見上げて言った。「君が僕のコア監視員でよかった」「こっちこそー。丸岡さんの監視でよかったって思ってますー」 ココは全開の笑顔をした。「三年で、どれだけ丸岡さんが変わっていくのかー。この一ヶ月で丸岡さんは既にたくさんたくさん変わりましたー。これからどれだけ変わって行けるのか、見守らせていただきますー」「うん、ありがとう」「じゃあー、伝言を伝えに行ってきますねー」 ココが消え、僕は立ち上がった。 そうだ。まずは多分向こうから接触してくるだろうナナの創造主を相手にしなければならない。  コア戦闘になるかどうかは分からないけれど、そうなったら立ち向かえるようにしておかなきゃだし、体力もまだまだだし、コアの使い方も覚えたいし。 何だ、目の前にやることがいっ
last updateLast Updated : 2025-11-27
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第126話・創造主

「長田先生は、創造主に会った事はありますか?」 追加授業の時、僕は長田先生に聞いた。「はい、クリエイターと言えど色々ありますが……弧亜学園でクリエイターと言えば、はい、俗に創造主と呼ばれる、はい、コア生物をクリエイトするコア能力者のことですか?」 向こうから、「何余計なこと聞いてんだ」という彼方くんの視線が痛い。 でも、正しい知識は手に入れておきたい。 僕の創造主に関する知識は、他の高校一年生と大差ない。複数コア持ちで超強力なコア能力の持ち主というだけだ。 いずれ出くわすなら、少しでも情報が欲しい。 ただ、御影先生は創造主の話を始めると、空の向こうへ意識が飛んで行ってしまい、何やら僕には分からない専門用語を連発して感激してしまうから聞けなかったんだ。「その創造主です」「はい、難しい話ですねえ」 ラジオ体操は終了し、筋トレとヨガの組み合わせの練習中。 水分補給の休憩時間に、相変わらずぬぼーっとしながら長田先生は答えてくれた。「創造主と呼ばれるコア能力者に会った事があるかどうか、ということについては、分からないというしかありません」「分からない、ということは、会ったことがあるかも知れない、というわけですか?」「はい、そうです」 長田先生は遠い目で話を続ける。「コア監視員というコア生物がいる以上、この学園の関係者に創造主がいることは間違いありません。しかし、君たちも知っての通り、その正体は明らかではありません」「先生にも秘密なんですか?」「はい。知っているのは恐らく学園長と、創造主本人しかいないと言われています」「学園長なら知っている?」「恐らく、知っていると思われます、はい。ただ、学園長がそのことを他者に漏らすことはあり得ないと思いますし、一年生が学園長に会う機会があることは珍しい
last updateLast Updated : 2025-11-27
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第127話・コア監視員の生まれ方

「おや、はい」 長田先生のぬぼーっとした目の奥で、何かが光ったような気がした。「コア監視員の交代を要求ですか、はい。でもそれは、無意味だと思われます、はい」「無意味ってどういう意味だよ」「コア監視員は、はい、どうやって君の所に来ましたか?」「合格届と一緒に入ってた紙にコアを触れさせたらあいつが出てきた」「はい、その通りです」 先生はそのまま続ける。「はい、コア生物は特殊な生まれ方をするのは、君たちは何処まで知っていますか?」「何処までって」「コアの力で作った肉体にコア周波数って言うエネルギーを吹き込むんだろ?」 彼方くん? 驚きの目を送った僕に、彼方くんの視線は明らかに「これくらい知っておけ」と言っていた。「はい、その通りです。それから考えると、コア監視員は珍しい産まれ方をしていると、はい、そう思いませんか?」「珍しい……生まれ方」「一枚の紙のように見せたコア生物の肉体と精神と生命の素を、コアに接触させる。それだけで、コア監視員が生まれる。はい、創造主がその場にいないのに、対象のコア周波数だけでそれらを構成しなおす。……ですから、監視対象の動揺や好悪で俗にアバターと呼ばれるパーツが変換されることはありますが、君のコア監視員は君の内から生まれてきたのだから、もう一度同じことをやったとしてもそっくり同じなコア監視員が生まれるものと思われます」「チッ、チェンジできねえか」「コア監視員と言えば、はい。私は思ったことがあります。この学園の入学には、コア監視員が必要なのではないかと、はい」「?」 首を傾げてしまった僕に、彼方くんはしばらく考え込んでいたけど、こう答えた。「コア監視員を生まれさせるほどに強いコア周波数を持っている生徒を選ぶ。って意味か?」「はい、そう言う意味です」 長田先生が肯定する。「いくら偽造生命の素となる、あのコアをく
last updateLast Updated : 2025-11-26
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第128話・バカかお前は

 こくりと一つ頷いて、長田先生は続けた。「監視とは言いますが、はい、このような異端思想を君たちに語っている私が、今まで追放されたことはありませんでした。もし、コア監視員が本当の意味で学園の為に我々を監視しているのであれば、はい、以前の彼方君であればあっと言う間に追い出されたでしょうし、異端的考えを持つ私も追放されたでしょう、はい。コア監視員が誰の為に、何を見張っているのか、知っている人間は学園長と|創造主《クリエイター》の二人……いえ、下手をすればどちらか片方しか知らない可能性だってあります」「……先生は、そんなことを僕らに話して、いいんですか?」「何人かの生徒に話したことはあります、はい。卒業した生徒もいましたし、記憶消去・追放された生徒もいました。私の言葉がどう影響したかは分かりませんが」「……先生は創造主をどう思っていますか」「この学園の、ですか」 長田先生は表情を変えず(と言うかあんまり表情がない)訥々と続ける。「非常に驚いたのは、コア生物、その肉体と生命を、紙のようにして、コアを接触させるだけで、肉体と精神と生命を発動させるというコア能力者が存在していたということでした、はい。恐らく有史以来最強のコア主だと、そう思っています、はい」「バカかお前は」 追加授業を終えて、彼方くんの第一声がそれだった。「長田は確かに信頼できそうだと俺は言ったよ。だけど、創造主《クリエイター》についての質問なんて、不審に思われても仕方ないぞ」「情報は、仕入れとかなきゃって思って」「まあ、な。確かに情報は入ったよ。この学園には人間と同じ数のコア監視員がいる」 そう思うとなんだか急に息苦しくなってきた。「そうだよね……コア監視員は僕を見張ってる。コアを見張ってるって思ってたけど、監視員を秘密警察って言い換えたらこの学校について疑問に思ってる人を見つけて追い出すことだってできるはずだ。長田先生のように」 彼方くんはんー、と考えていたが、顔を上げた。「だったら、今以上にヤバい橋を渡る度胸はあるか」「え?」「俺は学園長を知っている」「えええ?!」 彼方くんは苛立った顔で言った。「受験の時、お前と出会ったろ。俺が空気圧殺でお前を吹き飛ばそうとして逆襲食らった時。あの時、止めに入った女がいたのを覚えているか?
last updateLast Updated : 2025-11-26
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