All Chapters of 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした: Chapter 141 - Chapter 150

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第139話・過去から今へ

「それで、大変だったってのはどういうこと?」「美丘羽根初代学園長はー、GHQに根回ししたりとかー、コア研究者を集めて平和の為にコア研究をするとかー、色々していたらしいですよー。何よりー、私たちコア監視員の存在を隠すのが大変だったとかー」「どうして?」「そうじゃないですかー。コア生物をたくさん生み出せるだけじゃなくー、個人個人に作り分けてー、その上でコアの調子を見るー。これってー、独裁国家とかだったら国民を監視できることになりますよねー。気付かれたら初代学園長はどうなっていたか分からないって言ってましたー」 確かに。千人近い学園関係者全員にコア監視員がいるのなら、独裁国家では反乱やクーデターを真っ先に察知できる。それを逆手に取ることだってできる。そんなコア能力があると知られれば、アメリカ軍は初代をどうしていたか分からない。「コア監視員ってのは、初代の頃から変わらない?」「難しいですねー。まず私は三年しか生きられませんからー、教師や教員から聞くしかないですがー、さすがに七十年近く前から学園にいる人間なんていませんしー」「それもそうか」「ただー、基本は変わってないと創造主は仰ってましたー。コア周波数から監視対象の状態を把握してー、創造主にお伝えするー。私たちが監視対象に好意を抱きやすい外見になるのも変わってないとかー」「…………」 美丘家と言うのは、創造主の才能を持っている一族なのか。「そうですねー。少なくともー、先代が次代にコア監視員の作り方を教えているのは確実かと思われますー」 コア能力は遺伝しない。そこらに転がっているコアと同化して、その色に合わせた能力を得る。ただ、近い色とコアキャパシティがあれば、訓練によってコア能力を引き継げることがあるという。「ものすごーく大変だったって、創造主は言ってましたー」「え?」「だって丸岡さん、もう創造主の存在知ってるじゃないですかー。必要なことは
last updateLast Updated : 2025-11-28
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第140話・三人の学園長

「羽根初代の次、二代目の学園長は?」 「美丘燕ですー」 ココの言うとおりページを開くと、そこにはやっぱり初代と当代にそっくりな女性の写真があった。彼女は額の真ん中に黒いコアを宿している。「研究員を教員・教師としてー、実験対象を学生としてー、完璧に表向きは学校という形を作り上げましたー。コア研究施設とコア能力開発施設を学園という隠れ蓑に隠してー、日本トップクラスの研究施設としたのが二代目ですー」「二代目もコア監視員を創れたの?」「はいー。コア監視員の作り方は古い言葉で言うと一子相伝ー、次代にしか伝えられないー、極秘の技術と聞きましたー」 ん? ふと、疑問が浮かんだ。「初代学園長のコア色は?」「黄色と聞いてますー。もちろん創造主だからそれ以外のコアを持っていると思いますがー、さすがにそこまではー」「二代目は黒だね」「はいー」「で、三代目は黄色……」 同じコア生物の創り方でも、コアの色が最低でも相似色でなければ同じような監視員は作れない、はず。「今の学園長のコアの色は、黄色と、何か分かる?」「すみません-、分かりませんー」 ココは申し訳なさそうな顔で言った。「私たちコア監視員はコア生物と言っても創造主以外の周波数に合わさってるんですー。創造主が周波数を合わせようとしない限りー、私たちには創造主のコア色は分からないんですー」 う~ん。 コアはあちこちに転がってて、相性のいいコアだけが人間に宿る。 僕の血統はコア色はバラバラ。 血統で相性のいいコアが決まることはないというのは常識だ。 なのに、三代続けて同じ能力を持っている?「二代目、三代目の学園長に兄弟はいる?」「さあー。創造主はご自分のことについてはあんまり語らない方ですしー」「そうか」
last updateLast Updated : 2025-11-28
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第142話・意外な情報通

「チェンジ! ほんとにチェンジするぞ! 情報共有許可出たんなら俺にも教えろ!」「ミャル~……教えていいことは教えてよ……」 そこから一気に情報分析は加速した。 僕ら三人のコア監視員は生まれて一年経ってないけど、情報は全てのコア監視員が共有している。そして、創造主……学園長の許可があれば出してよい情報と言うのも、もちろんある。 僕がココを頼って情報を探したから、ココは情報を提供した。一方最初っからコア監視員を信用してない彼方くんやこの一件でちょっとコア監視員不信になっている渡良瀬さんは、本の場所以外の情報……つまり、調査内容について聞く、ということをしなかったから、二人のコア監視員は情報提供しなかった。そう言うわけ、らしい。  全世界に散っていた学園の敵は、十分の一以下にまで絞れた。 各国の研究機関が知っている、弧亜学園のコア生物研究は、「弧亜学園は一般に知られるコア生物より、更に高い知識と複雑な思考回路を持ち合わせる有用性のあるコア生物を生み出すことに成功している」というだけで、それだけは各国がいくら情報料を弾んでも脅してもなだめても透かしても出てこないらしい。本拠地である日本の総理大臣にすら伝わっていないという。 そして、学園の歴史。 軍の研究施設から、私立の学校兼研究機関となるまで。 そして学園が学園の形をとる前から、美丘という姓を持つ女性がコア監視員を作り出せたこと。 「本当の、本当に、学園長がこの情報を出していいって許可したんだよね?」 再確認する僕に、ココは大きく頷いた。「はいー! 創造主はー、本当のー、本当にー、これらの情報を三人で共有してもいいと仰っていましたー!」「だって」「……お前なあ」 彼方くんが呆れ声を出した。「よくこんな状況で、コア監視員を信用できたなあ&hel
last updateLast Updated : 2025-11-28
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第143話・内部の敵

「学校の本気で敵になりそうな勢力はある程度絞れたし」「中は?」 思わず出した僕の言葉に、彼方くんと渡良瀬さんはきょとんと僕を見た。「学園長の敵に絞れば、学園の中にもいるんじゃないかな、敵」 少なくとも学園長は長田先生を警戒している。 なら、他の研究員を警戒していてもおかしくはないはず。「そっか、内部の敵……」「そっちの方が可能性としては大きいな」 彼方くんは唸る。「コア監視員のことが学外に漏れていないなら、コア監視員の網をかいくぐる能力なんてのを作り出せるのは内部の人間だけだ。弧亜学園の生徒、教師、教員、コア医、研究者」「記憶消去の上の追放処分なんて、極端な罰則だと思ってたが、コア監視員のことを外部に知られないようにするため、とすれば納得できるわね」「でも、どの研究者が怪しいかをココたちに聞くのは難しいと思う」「なんでですかー?」 ココは聞いてきたし、彼方くんと渡良瀬さんも一瞬虚空を見てから僕を見たので、コア監視員の意見を聞いたことが分かった。「だって、相手はコア監視員の目を反らせる研究を実用にまで持ってきた研究者だよ? 当然、自分付きのコア監視員の目を逃れる方法を先に編み出してると思う。コア監視員の目のない所で研究できる人が、コア監視員にそのことを気付かせるはずがないよ」「確かにな……」 その時、不意にココが消えた。「ココ?」 虚空を見るが気配もない。 右手の甲に熱が宿った。「ナナ?」 一瞬透明のコアが緋色に染まって、それまでとは違う、緋色の服を着たナナが現れた。「ごめんなさい、皆さんのコア監視員を追い払うようなことをしてしまって……」「何かあったの?」「……はい」 ナナはしばらく躊躇していたが、やがて顔を上げて言った。「わたしの創造主《クリエイター》を探してください」「今絶賛捜索中だろうが」「そうじゃなくて、|創造主
last updateLast Updated : 2025-11-28
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第144話・SОS

 ナナの言葉に、僕らは顔を見合わせた。「ナナ……君、創造主と接続が切れたって言ってたじゃないか」「分からないけど……急に、来たんです。創造主との繋がり……切れたと思ってたのに、急に。創造主の緋色が……」「切られた接続が、突然、繋がった……?」「はい……まるで、創造主が、助けてって言ってるみたいに……」 助けを、求めてる? 創造主は、一旦切った接続をつなぎなおすことができるんだろうか。 いや、もしかしたら、切れたんじゃなくて、スイッチを切り替えたのかもしれない。電源をオンオフするように。 とすると、追い出したコア生物とのつながりを再び戻したということは、ナナが必要な事態になった……?「でも、僕のコアと同化しているのは間違いないんだよね。繋がりがないと消えるから、って」「はい、繋がりが切られて消える寸前だったから……今のわたしは、仁さんと深く深く同化しています。仁さんが動かないと、わたしも移動できないんです」 だから、創造主を、助けて、とお願いしたのか。 自分一人で飛んでいけないから。 いや、もしかして、最初からそれを見越して? ナナが僕と一緒に自分の下へ来るように? だけど、ナナは創造主の個人を特定するようなことを言うことを禁じられているはず。「その服の色も、接続の影響か?」 彼方くんの言葉に、ナナは自分の服を見た。「……多分」「多分かよ」「わたしのことは、わたしにも分かってないんです……。創造主が何のためにわたしを創っ
last updateLast Updated : 2025-11-28
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第145話・襲われる

「いや、今すぐじゃ無理だ」 僕は期待を込めて見つめるナナに、首を振った。「まず、君は自分の創造主のことを言うのは禁じられている」「……はい。居場所も、お姿も、お名前も、言ってはいけないと言われています。創造主に何か起こったと思われる今でも、それは禁じられています……」「何者か分からない、何処にいるかも分からない人を助けに行くのは物理的に難しい」「はい……」「そして、今、僕らは君の創造主のことを学園の敵と見ている。どうしてかは分かる?」「……わたしの能力……コア監視員を遠ざける能力ですね……」「そう。学園の内部か外部かは分からないけど、君の能力は間違いなく学園と敵対してる。……それを創った創造主が、何故君を追い出したのか。この学園に何をしようとしているのか。それが分からない」「でも……創造主は……」「君が創造主のことを、追い払われても大事に思っていることは分かってる。君が本当に素直でいい子だとも思ってる」 僕は真剣に言った。「でも、僕は君の創造主のことを何も知らない。敵かも知れない人を助けてくれって言われても……」「そう……ですよね……」 小さな目に小さな涙を浮かべて、ナナは落ち込む。「でも……創造主は……創造主は……」 その時。  ぎゃあ、ぎゃあ、ぎゃあ! 叫ぶ声が聞こえてきた。
last updateLast Updated : 2025-11-28
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第146話・黄烏

「何よ、こいつっ!」 渡良瀬さんがコピー用紙の束で烏を追い払おうとするけど、紙もコア生物をすり抜ける。「どいてろっ」 彼方くんが空気弾を放って威嚇した。 烏が一瞬ひるむ。「やっぱりか! コア生物ならコア攻撃が効く!」「ナナ、今のうちにコアの中に!」 怯えて震えるナナに声をかけるけど、コアの中に逃げ込むことすら考えられないらしい。「丸岡! 空気膜だ! 急げ!」 そっか! コア攻撃が効くコア生物なら、空気膜を突破するのは難しいはずだ!「コピーさせてもらうね!」「早くしろ!」 白藍色のコアをコピーして、周りに空気の膜を張る。 黄烏が突っ込んでこようとするけど、空気の壁に阻まれて、一瞬ひるんだところに彼方くんが空気弾を叩き込む。「丸岡くん! バリアを強化して!」 渡良瀬さんは叫んで、白い光を集中させ、立て続けに烏に向かって放つ。 荒れ狂う黄烏が、大人しくなる。「強制他者鎮静化……すごい……」 明らかにナナを狙ってきた黄烏を大人しくさせて、渡良瀬さんは息をついた。「よかった……コア生物にも効くんだこれ」「コア能力だから人間相手より効くな」 彼方くんが黄烏を取り押さえようとしたけど、すかっと手がすり抜ける。「くっそ、ナナの逆バージョンか」「まずい、かも知れない」 僕は思いついてしまった事態に、声が震えるのを無理やり押し込めながら言った。「もしこれが学園長のコア生物なら……学園長は僕らがコア監視員をスルーできるコア生物をかくまっていることを知ってしまっている。……あの人がそれを見逃すとは思えない」「どうするんだ」「二人とも、ここから逃げた方がいい。もしこれが学園長のコア生物なら、あの人は見逃さない」「俺たちが逃げて……お前はどうするんだ」「僕は残る」 声が震える。足が竦む。 あの学園長をもう一度相手にしなければならないという恐怖が過ぎる。 でも。「ナナと同化している僕が逃げられるわけないし、巻き込んだのは僕だもの。今なら僕一人が勝手に君たちを巻き込んだって言える」「バカかお前は! あの女が一連托生だと思ってる俺たちを見逃すはずがないだろ!」「だから……交渉する」 つばを飲み込んで、僕は言った。「今更交渉が通用する相手かよ!」「
last updateLast Updated : 2025-11-28
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第147話・一人

「今、僕は一人です」『そうね。二人は貴方が追い出したものね』「二人はこの件の中心人物に見えましたか」『自主的に協力しているようには見えたけど……中心人物ではないわね』「取り引きしませんか?」『あら、まだ取引できると思ってるの?』「ええ。学園長は敵対勢力のコア生物と同化した一年生って言う興味深い存在を見逃すとは思えないので」 ナナを取引に使いたくはなかった。 だけど、学園長がナナを見逃すはずはない。 学園のトップシークレットであるコア監視員の目から逃れることができるコア生物。しかもその創造主は不明。創造主と呼ばれる人間がどんなことができるかは分からないけれど、コア生物から情報を取り出すことはできそうだ。 ナナだけを引き渡すのではなく、興味をこっちに引き込めば。『コア生物と同化した、コア色のない一年生ね』「仁さん……」 怯えるナナにちょっとだけ笑い返して、僕は黄烏に真っ直ぐ視線を向けた。「彼女を庇ったのは僕一人。あとの二人は突然襲ってきたコア生物から身を守っただけです。そう言うことに、なりませんか?」 くつくつと学園長の声が笑う。『そう言うことに、したいの?』「したいですね。それが一番平和じゃないですか」『あの二人がどういう行動に出るか、考えたことはあるの?」「そうですね、もしかしたら、記憶消去・追放。でも、この学園からは出られます」『自分はここに留まる。だからあの二人を見逃せ、そう言うのかしら?』「悪い取引じゃないでしょう?」 背筋に冷たい汗が幾筋も伝っているのが分かる。学園の歴史を調べていて、学園の前身が結構無茶な実験を繰り返していたことを知った。研究者という人間が、興味深い研究対象を目の前にして、どうするかもわかっている。 だけど。 ナナを一人にしない。 これ以上あの二人を巻き込まない。 この二つが、僕の数少ない勝利条件だった。 これを一つでも逃せば、きっと僕は後悔する。「コアと同化するって言うコア生物と、同化された人間。良い研究材料になると思いますけどね」『モルモットになるというの?』「ナナと引き離さない、あの二人を見逃す、その二つを守ってくれるなら」 彼方くんが聞けば、バカじゃないか、というような取引。 渡良瀬さんが聞けば、何でそんなことをするの、というような
last updateLast Updated : 2025-11-28
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第141話・情報源

 学校の本は持ち出すことが禁止なのでコピーをもらって、中庭で待っていると、彼方くんと渡良瀬さんもやってきた。 で、集めた情報を集めると。「学園の敵は国内にも国外にもたくさんあり過ぎて絞れねえ」「コア生物を生み出す研究に関しては、やっぱり弧亜学園が一番ね。ていうか、弧亜学園が全世界に研究結果を放出してるみたい」「で、七〇年前の初代学園長から、コア監視員の作り方は三代目の今まで受け継がれてきたみたいだ」 弧亜学園がとんでもないのはよくわかったけど、情報は絞れないというのが正直なところ。「各国のコア生物研究機関は軍関係に近いところにいるけど、弧亜学園に勝る所はないわ」「コア監視員って言うコア生物を生み出せるってだけでコア生物研究のトッパーではあるな」「いいや、元は学園は軍の施設だったみたいだけど」 彼方くんと渡良瀬さんは一斉にこちらを向いた。「ちょっと待て、どういうことだ」「戦時中にコア生物研究をしてたって」 学園史のコピーを引っ張り出す。「本当ね……日本軍の研究施設として、コアの軍利用を研究してた……」「何でも初代が散々苦労して軍と切り離して、若人のコアを平和利用しようって言うことにして学園って形で再建したとか」「元は軍施設だったわけか」「うん。でも、初代学園長はそれ以前からコア監視員を創ることができたって」「何?」「いやだから、それがバレると独裁国家とかに利用されると厄介だからってGHQとかには秘密にしてたらしい」「お前、そんな情報、どの本の何処に書いてあった?」「いや、ココが」「おい、待て」 彼方くんは真剣な目で言った。「お前のコア監視員が言ったのか?」「? ……うん」「なんでお前のコア監視員はそんなことを知ってるんだ」「え? もう創造主のことを知っているから、黙っていなくてもよくなった、だけど僕の口からは出すなって」「丸岡くん、監視員から何を聞いたの?」「え? 学園の歴史とか」「俺のコア監視員はそんなこと言わなかったぞ」「私のコア監視員も、そんなこと一言も……」 ???「ココ?」 呼んだら、ココはすぐに現れた。「聞いてたんだろ、どういうこと、ココ?」「聞かれたから答えただけですけどー」「聞かれたから答えただけだって言ってる……」「……確かに、私は聞かなかったわ」「ていう
last updateLast Updated : 2025-11-28
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第148話・エレベーター

 学校棟の一階、一番奥に、常にコア生物が見張っているエレベーターがある。 そこは、普段降りてこない学園長のいる最上階へ行く唯一の乗り物で、教師・教員でもそのエレベーターに乗った者はほとんどいないという。 そのエレベーターにもう一度乗れということは、もう一度学園長と対峙しなければならないということ。 今度は彼方くんはいない。渡良瀬さんもいない。 でも、二人がいちゃいけない。 一対一……ううん学園長の周囲には学園長の創ったコア生物がいるから、更に分の悪い対戦だ。 対戦……。 僕は考えてしまっている。学園長と戦うことを。 ナナの力で、二色まで色はコピーできる。 だけど、創造主と呼ばれる程のコア主のコアを、コピーして、使えるのか。コア生物を生み出すことに特化したコアなら、その場で僕がコア生物を創れるか。 ……ダメだ。 コア生物を創るには相当な修練が必要だと長田先生は言っていた。ただコアをコピーして真似るだけじゃ勝てない。 何とかして、取引に持ち込めるか。 学園長は、僕に、「モルモットになる気か」と聞いた。 コア生物と同化した、無色コアの僕に、実験動物としての価値を見出している。 そうだったら、渡良瀬さんと彼方くんをこれ以上巻き込まないで済む可能性はある。 ナナは……恐らく逃げられない。 僕のコアと同化してしまっているのが分かる。僕から離れることもできなければ創造主の元に戻ることもできない。 ただ、彼女が自分の創造主の状況に気付いたように、創造主がナナの状態に気付く可能性もある。もしかしたらだけど、その為に繋がりをオンにした可能性もある。こちらの様子を伺うために。 ナナの創造主がナナの状態に気付いて、何か手を打ってくるなら……その時が、僕が逃げられる機会だ。 実験動物になったら何されるか分からないんだぞ。 ナナの創造主が僕の思うとおりに動くもんか。 僕が考えて上手く行ったことが一度でもあるのか。 弱音が次々と頭を過ぎる。 だけど。 僕を心配だと言ってくれた渡良瀬さん。 僕に勝ちたいからその時までは協力すると言った彼方くん。 その二人だけは、何としても、これ以上巻き込ませてはならない。 「今、行きます
last updateLast Updated : 2025-11-28
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