All Chapters of 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした: Chapter 151 - Chapter 160

187 Chapters

第149話・二人は

 不安、恐怖、怯え。 全部ひっくるめて隠すため、僕は笑った。「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」 ナナが小さい声で泣いている。 ナナこそは、実験動物として扱われる存在。 コア監視員の目を逃れて学園内を行動できる能力を、知りたがる研究者はいるだろう。 この学校には、教師と教員と、研究員がいる。 教師は教師資格を持っている研究員、教員は生徒の能力を実験で伸ばすことを目的とした研究員。 ただ研究員と呼ばれるのは。生徒の相手をしない人たちだ。 学生の能力を伸ばすのではない研究……その中には、外部には出せない研究をしている研究員もいるかも知れない。 モルモットとは、つまり、そう言うことだ。 二度と土の地面に立てないかもしれない。二度とこの学園の敷地内から出られないかもしれない。それどころか、二度と地面を歩けなくなるかもしれない。 でも、あの二人をこれ以上巻き込まないように取り引きするには、僕が代償となるしかないんだ。「ナナ、コアの中に入ってて」「でも……」「あっちもまだ他にナナの存在に気付かれたくないはずだから」「はい……」 ナナはコアの中に滑り込んだ。異物感としか表現しようのない感覚がコアの中にある。 僕は黄烏の前に行った。 黄烏は翼ではなく浮いているとしか言えない飛び方で、僕の道を先導した。 学校棟に向かうまで、誰とも会わなかった。 多分、コア監視員が生徒をそこへ連れて行かないように誘導しているんだろう。学園長も一介の一年生がエレベーターに乗り来むところを見られたくないはずだ。 彼方くんと渡良瀬さんは?『随分余裕なのね』 エレベーターフロアに目を走らせて二人の姿を探す僕に、黄烏は言った。『まだあの二人の心配?』「それが僕の条件ですから」『そうね。まあ、安心なさいな。あの二人は今、隔離してある」「隔離?」『風紀委員会の懲罰牢にね』「約束が違いませんか?」 にっこり。 自然に僕の顔は笑みを作っていた。『あら怖い笑顔。仕方ないでしょう。コア能力を使って暴れるんだもの。大人しくしてもらうにはそれしかなかったのよ』 安心して、と烏の口を借りる創造主が笑う。『貴方がエレベーターに乗り込んだ時点で、二人は解放するわ。あまりお痛をするようだと追放処分にしなきゃいけないけど』 僕はほんの
last updateLast Updated : 2025-11-28
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第150話・地下へ

「はい……分かりました」 携帯を切って、八雲百は懲罰牢を見た。「二人とも、出られるわよ」「私たちを解放するってことは、丸岡くんが自分から向こうに行ったってことですよね」 震える声で瑞希は呟く。「あの、バカっ」 壮が吠える。「一人であんな化け物の所に行きやがったのか!」 百は息をついてから、風紀委員の一人から鍵を受け取ると、自ら二人の牢の鍵を開けた。 壮は飛び出そうとして……百に腕を掴まれた。「離せよ」「離せないわ」「離せよ!」 壮は百に怒鳴りつける。「あいつは風紀委員だぞ! 風紀委員ってことは、お前の手下じゃないか! それとも風紀委員ってのは偉いヤツに尻尾振る連中の集まりってのか!」「口を慎め!」 一人の風紀委員が怒鳴る。 だけど、その声は震えていた。「学園長命令でなければ、誰が、そんなこと……!」「はっ、どいつもこいつも学園長の手下ってことか」 風紀委員の殺気を、抑えたのは百だった。「私は風紀委員長。学園の風紀を乱す者を正すためにあるわ」「あいつは風紀を乱しちゃいないだろうが!」「だから」 百は言った。「私の話を聞きなさい」      ◇     ◇     ◇     ◇  エレベーターは、思わぬ動きを見せた。 ふわっと浮く感覚。 降りている? 前に乗った時は一階と最上階しかなかったのに、「F]がある。 ……地下階。 初めて聞いた。そんな階の存在、誰も知らなかった。多分知っているのは先生たちの中でも一部だけだろう。 なるほど、怪しい研究をするにはもってこいだ。 それに、屋上からは飛び降りられるけど、地下からは歩いて穴を掘るしかないし。 随分長い間降りている
last updateLast Updated : 2025-11-28
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第151話・コア生物

 エレベーターが開いた先は、何とも言えない不可思議な空間だった。 いや、空間自体は問題ない。無機質な、研究所っぽいホール。 問題は、そこにいるもの。 僕が想像していたのは、研究棟に時折出入りする白衣姿の男女の研究員たちが大勢いる場所、だった。 しかし、目の前は遊園地と言うかパレードと言うか。 様々な色をまとった、小さなカエルのようなものから象並みの大きさをしたものまで、風船を膨らませたようなたくさんのコア生物がいたのだ。「驚いたかしら?」 声に振り向けば、そこには学園長がいた。 僕の顔は瞬間的に笑いを刻んだ。 彼方くんの助言は完璧なまでにこの顔に叩き込まれている。 弱みを見せるな、奥の手があると思わせろ、と。「創造主……そうですね、勘違いしてました。創れるコア生物は一種類しかいないと。ここにいるコア生物を全部学園長が創ったのだとしたら、学園長は多分コア史最強の創造主だ」 「理解いただけて嬉しいわ」 学園長も笑みを刻んでいる。 僕は軽く首を竦めた。「その創造主が、敵対する創造主の存在自体すら知らないとか、そう言うことはあり得ないと思うんですけど」 「そうね、心当たりはあるわ。私に抵抗し、私に反抗し、私に追いすがる愚かな創造主」 黄烏がふわりと浮いて学園長の肩に止まった。「だけど、愚かではないんじゃないですか? コア監視員の目から位相をずらして見えなくさせる能力なんて、そうそう持たせられる能力じゃありませんよ」「ええ、ええ。能力においては、私と五分でしょうね。愚かなのはその心の在り方」 たくさんのコア生物が集まってくる。 もしかして。 この地下階にいる人間は、僕と学園長しかいないんじゃないのか?「大人しく私に従って小さくなっていればいいのに、もう弱ってほとんどできることもないはずなのに、悪あがきして、何とか私に一矢報いようとしている。全てを受け入れるというのも必要なのよ。今の貴方のようにね」「今の僕?」「私に勝てないと判断して、友達二人を逃がすために実験動物としての立場を受け入れた貴方みたいにね」「実験動物になるかどうかは分かりませんけどね」「こんな騒ぎになるなら、最初から貴方をこの階に連れてくれば
last updateLast Updated : 2025-11-29
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第152話・風紀委員にした理由

「やっぱり」「何がやっぱり?」「僕を風紀委員にしたのは、学園長、貴方でしょう」「理由は?」「透明コアとコピー能力は激レアかもしれない。でも、それだけで風紀委員にするなんておかしいと思ってたんです。渡良瀬さんのついでで入れた、と八雲委員長は言ってたけど、最初から僕が目当てだったんですね。僕のコアをコア監視員がより強力に見張れる場所に置いたんでしょう」「推理力はなかなかね」 学園長の笑みは余裕の笑みだ。僕の威嚇の笑みとは違う。だけど目的は同じ。相手をひるませること。「そう、風紀委員は権力を持つから、より強固なコア監視が必要になる。貴方を風紀委員にすれば、他の生徒よりコア監視員の干渉が多くても風紀委員だからで済む。別に誰も反対はしなかったわ」「誰が反対するんですか」「教師や教員と呼ばれる研究員よ。この学園は学校という形を取っているから、特定の生徒に干渉する時は教員会議にかけて相談するの」「学園長がいちいち生徒の監視について他の教師に相談するとは思えないんですが?」「相談しているわよ。教師や教員は研究員とは別だから」 ん?「教師や教員は研究員の一部じゃなかったんですか?」「ほとんどの研究員は私の下にいるわ。でも彼らは違う。教師や教員と呼ばれる研究員のほとんどは、私とは違う世界にいる。私という存在を知らない……教えないようにしているから、表立って手を出すと反発を受ける」 違う世界? 学園長が創造主だということを知らない、という意味か?「だから生徒に干渉する時は教員会議にかける。けど貴方の場合は楽だったわね、透明というコアを調べたい教師や教員だらけだったから、風紀委員という役職を与えてコア監視を強化しても誰も反対する者はいなかった」「で、僕をどうする気ですか?」「貴方のコアの中にいるコア生物を創り出した創造主を、私は「緋色」と呼んでいる」 緋色……ナナが言っていた。「緋色と繋がりを断たれたはずのコア生物なのに、再び繋がった、という話は聞いているわね」 そうだ。ナナが突然現れて、創造主のコアが弱っていると言っていた。 まるで、僕たちがナナの創造主についてある程度の情報を得た時に合わせたかのように……。
last updateLast Updated : 2025-11-29
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第153話・エレベーターホール

 …………。 まさか!「創造主とナナを再び繋いだのは、あなたですか?」「当たり。もっとも、半分答えをあげていたようなものだけど」 驚愕を隠すために微笑む僕に微笑み返す学園長。その笑みは獲物を目の前にした獅子のようだ。「つまり、ナナの創造主はこの地下階のどこかにいるということですね」「そうでもあり、そうでもなし」 余裕の笑みだ。「今日から貴方の住む場所だもの、存分に調べると良いわ。立入禁止の場所なんて、このエレベーターホールしかないんだし。存分に調べて、勝ち目がないと諦めて、私の被験者になりなさい。私たちは、貴方という存在が生まれるのをずっとずっと待っていたんだから」 私たち? 僕という存在が生まれるのをずっとずっと待っていた? だが、これ以上話は引き出せそうにない。「一つだけ、許してほしいことが」「何? 被験者君」「この地下階は、このエレベーターホール以外は行き来は自由なんですか?」「ええ。コア監視員もそのままつけておくから、この階のことは聞けば教えてあげるわ。もうそのコア生物の透明化は無力化したから、監視員が離れることもないしね」 そのまま、学園長は黄烏を残して、エレベーターに乗り込んだ。 エレベーターのドアが閉まる。 僕は、たくさんのコア生物の中に取り残された。     ◇     ◇     ◇ コア生物の真ん中に取り残された僕は、しばらくドアのしまったエレベーターを見ていた。 恐らく、ここで研究している研究員と学園長しか使えないであろうエレベーター……。 コア生物の一体、クマのようなのが、僕の腕を軽く引っ張った。「何」 コア生物は何度か僕の腕を引っ張った。 そこで思い出した。このエレベーターホールは立入禁止なのだと。「分かった。行けばいいんだね?」 こくりとコア生物は頷いた。 言葉は分かっている。理解している。だけど喋れないのか。 世界の常識では、通常コア生物は犬並みの知性が限度で、創造主の命令に従うしかできないものだという。 だけど、恐らく学園長が創りだしたコア生物は、学園長じゃない相手の言葉を聞き、自立行動をとれる。知能レベルがどれくらいかは分からないけど、人間並みにはあるんだろう。 そして、その研究を世間に発表していない
last updateLast Updated : 2025-11-29
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第154話・ナナ

 くい、と引っ張られる感覚。「あ……ああ、ごめん。行くよ」 もう一度コア生物は頷いて、僕は引っ張られるままに、エレベーターホールを後にした。 クマコア生物は、僕を一つの部屋の前に案内した。「ここにいろって、言うわけ?」 こくりとクマは頷いた。「出歩いてもいいとは言われたけど、それは?」 クマはもう一度頷いた。 そして、クマはのこのこと歩いて行った。 何だろう、あれ。 さっきまでいたコア生物たちは何だかみんなファンシーな造形をしているけど、学園長の趣味なんだろうか。ココたちコア監視員もあんな造形だし。 ……似合わないな、正直。 と、それよりも、だ。 やらなきゃいけないことがある。 この地下施設を調べること。 学園長は、自分と敵対する創造主がこの施設にいる可能性を語った。 大人しく従って小さくなっていればいいのに、と。 ナナの創造主がこの地下施設にいるとするなら、恐らくその人は学園長に囚われている。敵対する研究者を自分の研究施設に置いておくなんて、捕虜の立場でしかない。その中でも研究を続け、ナナを生み出したのか。 そして、学園長は言っていた。 僕が生まれるのを待っていた、と。 僕は普通の家に生まれ、普通にコアを使う両親と祖母と一緒に暮らしていた。十五歳の誕生日に無色のコアを手に入れた。 コアだけじゃないのか? 僕に何かがあるのか? 学園長が研究している何かに関わる秘密が、僕も知らない僕の内にあるのか? 学園長は、ただ教えるのがもったいないと言わんばかりに去って行った。 ここで調べて、自分で知れと言った。 なら、知らなきゃいけない。 学園長に都合のいい真実かも知れないけど、知っておかないと次の行動に移れない。「ナナ」「……はい」 緋色の服を着たナナが姿を現した。「君が生まれたのは……ここなのかい?」「……言えません……」「うん、そうだと思った」 コア生物は創造主には逆らえない。「じゃあ、これだけ。学園長が君と君の創造主とを繋げたって言ったけど、それは真実かい?」「……分かりません……」 そうだろうな。 自分の心臓がどうやって動いているかを知らなくても人間は生きていけるし、吸って吐いている空気の存在を気に止めなくても呼吸はできる。
last updateLast Updated : 2025-11-29
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第155話・自慢したい

「ただ……分かるんです。あの人に逆らえないって……」「学園長に?」 学園長はナナに何らかの干渉をしている。 創造主との繋がりを無理やり繋いだくらいだ、ナナの言動を縛ることもできるだろう。 じゃあ、彼女に頼むしかない。「ココ」 パッと、彼女は現れた。ナナの前でも。「丸岡さんー、浮気するからー、こんな目に遭うんですよー」 ……浮気て。「そこのコア生物のことをー、私に報告してくれればー、こんな所に放り込まれずに済んだのにー」「あー、そうだね」 僕は渋い顔をしているんだろう。「困っている人を見過ごせないって言うのはー、美点ですけどー。誰でも何でも助けようって言うのは無理があり過ぎますー。そこのコア生物を諦めればー、まだ学園の中でー、監視だけで済んだのにー」「でも、いずれここに来ることになっていた、そうじゃない?」「創造主のお考えは私には分かりませんけどー」 ナナはちらちら飛び回りながら言った。「先延ばしにはできたはずですよー」「三年以内には絶対来たんだろう?」「んー、まあ、そうなんですけどねー」 学園長のコア生物だから、学園長に不利なことは言わないだろう。でも、学園長はココを道案内に残した。「学園長が僕に見せたいものって、何だい?」「全部、でしょうねー」「全部」「だって、この地下研究棟は、創造主ご自身が創った創造主だけの宮殿ですものー。そこに久しぶりに来た新入りですからー、もう全部見せてあげるーって感じですかねー」「……要するに、研究結果を見せびらかしたい?」「そうでしょうねー」 なら自分で見せて回れよ。 突っ込みたくなったけど返してくれる人は誰もいないので喉の奥で飲み込んでおく。「じゃあココ、学園長が見せびらかしたいものが僕に理解できる順で案内してくれる?」「了解ですー。じゃあ順番に見て行きましょうー」 学校を案内するのと同じノリで、ココはふわふわと前進を始めた。「ダメ……仁さん……行っちゃダメ……」「ナナ?」「これ以上は知らない方がいいんです……これ以上を知ったら……仁さんも創造主と同じ運命に……!」「どんな運命?」 ナナは自分の首を絞めるような感じになった。いいや、絞めている?「ナナ、ダメだ、手、放して」
last updateLast Updated : 2025-11-29
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第156話・行くしかない

「ナナ、辛いんならコアの中に戻っていいよ」「ダメ、です、仁、さん。行ったら……行ったら……!」 不意に僕は古い物語を思い出した。 花嫁に鍵を渡し、絶対開けてはならないと言い残して旅に出る青髭と。 学園長しか知らないという研究施設に僕と案内人だけ残して消えた学園長。 開けてはならないドアの向こうにいたのは、物言わぬ花嫁たちの死体だった。 では、コア生物しかいない研究室にある、ナナが僕に見せたくないものとは? ……死体、ではないな。 もっと僕がショックを受けると思うもの、ここに来なければよかったと後悔するようなもの……。 ちょっと想像がつかない。 そうであるからには、行ってみるしかない。 自分の意志で行って、何があるかを確認するんだ。「ナナ」 涙でぐしゃぐしゃのナナに声をかける。「君が悪いんじゃないし、君が責任を感じることでもない。僕が自分で決めたことだから。だから、後悔したとしても、君のせいにだけはしない」「……でも……!」「諦めるんですねー、コア生物さんー」 ココはうんざりと言った感じで喋った。「あなたなら、ここに何があるか知っているでしょうー? だから見せたくないんでしょうー? でもー、もう終わっちゃってるんですよー。あなたが丸岡さんと出会ってそのコアに潜り込んだ時点で、あなたと丸岡さんの運命は定まっちゃったんですよー」「ココ、言い過ぎ……」「じゃあ、これだけはー」 ココはナナの前に行って、そして言った。「もう、あなたにできることは、ないんですよー」 僕を励ましてくれたあの時のココとは別人のような顔で、言った。「あなたにできるのはー、この場所でー、創造主にお仕えすることー。あなたが大人しくさえしてればー、丸岡さんの待遇はー、随分違うと思いますよー?」 ぐしゅ、と顔をしかめて、ナナは僕のコアの中に戻って行った。「僕の待遇って……」「それはー、この施設を回ったら分かりますよー。少なくとも丸岡さんはこれまでの中でもスペシャルゲストらしいですからねー。どうなるかは創造主次第ですー」 何もかもが、か。 すべてが学園長の掌の中なのが腹立たしい。 学園長に意趣返しするには部屋で寝っぱなしって手もあるだろうけど、それだったら無理やり見せられるのが目に見えているから、僕はココの後ろにつ
last updateLast Updated : 2025-11-29
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第157話・伏魔の地下施設

 廊下を歩いていて、すれ違うのはみんな風船からできたゆるキャラのようなコア生物ばかりだった。 それぞれもたもたと歩いて、僕に気が付くと、僕を見る。 そして、頭を振ったり天井を仰いだりしてすれ違っていく。「このコア生物は、何のために創られて、何のためにここにいるの?」「このコア生物はー、みんなー、用済みなんですー」「用済み……? ナナみたいに、学園長に見捨てられた……?」「それだったらコアに戻しますよー。ここにいるコア生物は、みんなちょっと特殊でしてー」「特殊なコア生物なら、何故外に出さないんだい。学園長が今まで生み出したコア生物を表に出せば、学園の格もあがるし世界からも注目を集めるだろう」「あの創造主がー、注目程度で嬉しがるお方とでもー?」「……確かにね」「ここにいるコア生物はー、まだ外に出せないんですー。時が来たら表に出してやると言われて、それだけを希望に生きてるんですー」「表に、出す?」「あー、この説明はちょっと早すぎましたかねー。順番に説明していきますしー、質問にはいくらでも答えますのでー、それはその時にー」 ココはふわふわと飛んで行って、一つの扉を指した。「まずはー、ここからー、ですかねー」「普通、研究室とか実験室とか、書いてあるもんじゃないの?」「創造主とその僕しかいないのに、部屋の内容を書いておいても意味がありませんよー? 説明は私がしますのでー、御心配なさらずー」 僕はココに促されるままにドアに手をかけた。 鍵がかかってるんじゃ、と思い、学園長と関係者しか入れない施設に鍵なんか必要ないと思い直し、ドアを開ける。 薄暗い部屋。 薄暗いと思ったのは、電気設備がないからだった。 真っ暗じゃないのは、まるで神殿のように建っている無数の柱が、一本ずつ色を発光しているからだ。 赤、青、緑、茶、黄、紫、オレンジ、それから、それから……。 無数の発光色を持った柱が、ずらりと並んで、それが部屋を薄暗く照らしていた。「さあーさ、どんどん入って行ってくださいー」「いやな予感しかしないのは僕の気のせいかな?」「気のせいじゃないと思われますー」 そうだろうなあ。 発光する柱の中を覗き込む。 ぼんやりと見えるのは。 ……人影?「まさか」「はいー、この柱の中にあるのはー、みんな人間
last updateLast Updated : 2025-11-29
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第158話・コア結晶

「はいー。成長したコアですー。創造主はコア結晶と呼んでいますー」 成長した……コア……。「コアって成長するの?」「しますともー。生きてるんですからー」 ココの当たり前のような言葉に、僕は青ざめた。「コアは……生き物?」「生命を生み出すのはー、生命のほかないでしょうー?」「じゃあ……コアを強化するって言うのは……コアを成長させて……」「コアと肉体の立場が逆転するんですよー」 僕は息を飲み込んだ。 聞いたことがある。 強いコア能力の持ち主は失踪するという噂を。「行方不明になった強いコア主は……ここに辿り着く……?」「全部が全部そうじゃないですけどねー」 ココは当たり前のように言う。「コア主が全員行方不明になっているわけでもないでしょうー?」「そうなんだけど……」 目を細めて柱……コア結晶を見ると、ぼんやりと、人の形が見えた。「この人たちを出してあげるわけにはいかないの?」「御影先生のー、最初の授業で聞いたことー、忘れましたー?」 ココはニコニコと言った。「人間から切り離されたコアはー、もう誰にもくっつかないってー」「それって、つまり……」「はいー。丸岡さんが最初の授業で見たあのコアたちはー、死んでいるんですよー」 喉が鳴った。「じゃあ、この人たちをこのコアから出したら……」「生命的につながっていますからー、死んでもう二度と生き返れませんねー」 これが……学園長の見せたかったもの?「いいえー。まだまだありますよー」 僕の問いに、ココは言った。「これ以上のものが、まだ、あるって……?」「はいー」 本気で逃げ出したくなった。 コアを鍛え、強くして、立派になろうとしている人間の末路は、これなのか。「末路じゃありませんよー」「末路じゃない? じゃあ、これで終わりじゃないの?」「はいー。この更に先がありますー」 そしてそれは、中に取り込まれた人間にとって、決してマシな事じゃないだろう。 逃げ出したくなって、逃げ場がないことを思い出す。「コアは……寄生生物ってこと?」「そうですねー。町やあちこちで見かける俗に野良コアと呼ばれているものは、コアの卵ですー。コアが成長するのにいい人間に触れたらー、コアは人間に寄生しますー」 これが、学園長の見せたかったもの? いや、きっと、まだまだある
last updateLast Updated : 2025-11-29
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