不安、恐怖、怯え。 全部ひっくるめて隠すため、僕は笑った。「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」 ナナが小さい声で泣いている。 ナナこそは、実験動物として扱われる存在。 コア監視員の目を逃れて学園内を行動できる能力を、知りたがる研究者はいるだろう。 この学校には、教師と教員と、研究員がいる。 教師は教師資格を持っている研究員、教員は生徒の能力を実験で伸ばすことを目的とした研究員。 ただ研究員と呼ばれるのは。生徒の相手をしない人たちだ。 学生の能力を伸ばすのではない研究……その中には、外部には出せない研究をしている研究員もいるかも知れない。 モルモットとは、つまり、そう言うことだ。 二度と土の地面に立てないかもしれない。二度とこの学園の敷地内から出られないかもしれない。それどころか、二度と地面を歩けなくなるかもしれない。 でも、あの二人をこれ以上巻き込まないように取り引きするには、僕が代償となるしかないんだ。「ナナ、コアの中に入ってて」「でも……」「あっちもまだ他にナナの存在に気付かれたくないはずだから」「はい……」 ナナはコアの中に滑り込んだ。異物感としか表現しようのない感覚がコアの中にある。 僕は黄烏の前に行った。 黄烏は翼ではなく浮いているとしか言えない飛び方で、僕の道を先導した。 学校棟に向かうまで、誰とも会わなかった。 多分、コア監視員が生徒をそこへ連れて行かないように誘導しているんだろう。学園長も一介の一年生がエレベーターに乗り来むところを見られたくないはずだ。 彼方くんと渡良瀬さんは?『随分余裕なのね』 エレベーターフロアに目を走らせて二人の姿を探す僕に、黄烏は言った。『まだあの二人の心配?』「それが僕の条件ですから」『そうね。まあ、安心なさいな。あの二人は今、隔離してある」「隔離?」『風紀委員会の懲罰牢にね』「約束が違いませんか?」 にっこり。 自然に僕の顔は笑みを作っていた。『あら怖い笑顔。仕方ないでしょう。コア能力を使って暴れるんだもの。大人しくしてもらうにはそれしかなかったのよ』 安心して、と烏の口を借りる創造主が笑う。『貴方がエレベーターに乗り込んだ時点で、二人は解放するわ。あまりお痛をするようだと追放処分にしなきゃいけないけど』 僕はほんの
Last Updated : 2025-11-28 Read more