「お……っ」俺のほうを見て、花嶺辰治は口をつぐむ。俺が、”お前”と言うなと言ったからか。学習能力はあるようだが、理解度はよくない。「……む、娘のくせに……」いまさら娘扱いするな。桔梗は、そう思っている。 娘。花嶺辰治に、吐き気がする。怒りは、ある。だが、それ以上に、花嶺辰治の理解不能なほどの鈍感さに苛立つ。桔梗の力を、時間を、全てを搾取していたという自覚がない。「……娘、か?」「そう、です……」花嶺辰治の目が泳ぐ。「確かに、怒りに任せて勘当などしてしまいましたが、桔梗が私の娘であることに違いは……」「娘だから、勘当されたことなどなかったことにしろと?」花嶺辰治は、口をつぐむ。「娘なのだから、それを受け入れるのが当たり前だとでも?」全身を、冷たい怒りが包む。
Last Updated : 2026-02-04 Read more