窓の外で荒れ狂う嵐を眺めていると、脳裏に鮮烈なインスピレーションが閃いた。ホテルには独立したギャラリーが併設されている。紬は手元の画材をまとめると、そのままギャラリーの作業エリアへと足を運んだ。窓を叩く雨音に呼応するかのように、紬の筆から生み出される絵には、どこか異質で、終末的な退廃美が漂っていた。ふと筆を止め休憩に入ると、いつの間にか数人の子供たちが周囲を取り囲み、制作の様子を見つめていることに気づいた。「お姉ちゃん、すごい!この綺麗な人たちが着てる可愛い服、私も欲しいなぁ。でも私、絵なんて描けないし」一人の少女が、少し肩を落として呟いた。紬は少女のふわふわとした髪を優しく撫でた。「難しくなんてないよ。もし興味があるなら、お姉さんが教えてあげようか?」子供たちは瞳を輝かせ、元気な声を揃えた。「うん!」そのまま紬は午後になるまで、子供たちと絵を描いて過ごすことになった。そこへ突然、招かれざる客が現れた。両手いっぱいに紙袋を抱えた雅美が、ギャラリーへと足を踏み入れたのだ。紬の顔を見るなり、抱えた荷物をその顔面に叩きつけてやりたいという衝動に駆られたようだが、彼女はそれを必死に抑え込んだ。――この女、こんな場所で優雅に絵なんか描いて……「紬さん、少しお話ししましょう」雅美は手土産を持ち直し、声に滲み出そうになる憎悪を懸命に隠した。紬は視線を落としたまま、子供の一人に筆の運び方を教えることに集中し、返事一つしない。もし紬の気まぐれな性格を知らなければ、耳が聞こえていないのではないかと疑うほどの無視ぶりだ。雅美はどうにか怒りを飲み込み、殊勝な面持ちを作った。「謝りに来たの。もう怒らないで。前に言ったことは本心じゃないわ、ただ感情的になって口走ってしまった暴言だから……」紬はようやく手を止め、雅美を見上げた。「分かったわ。でも今は手が離せないの。あそこのラウンジで待っていて」雅美は安堵に胸を撫で下ろした。だが、すぐさまどす黒い不満が鎌首をもたげる。――ガキ共に絵を教えることと、この私の謝罪を聞くこと、どちらが大事か分からないの?本当に空気の読めない女だわ。――「紬さん、こっちへ来て。話があるの」次に現れたのは凛花だった。ギャラリーに入ってくるなり、その秀麗な眉を固く
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