悠真はひっく、としゃくりあげながら、静かに、しかし拒絶を込めて首を振った。「曾おじいちゃん……僕の家は、ここなんです。どこへも行きません」亮は怒りに肩を震わせ、二人の前に立ちふさがると、雷を落とすかのように怒鳴りつけた。「紬さんが、よりによってお前たちのような恩知らずを育てていたとは……!」絵美は愛する孫たちの悲嘆に暮れる姿に耐えかね、二人を力強く引き寄せると、毒の含んだ視線を正造と亮に投げつけた。「いい加減になさい!この子たちが、あんなしょぼいボロ屋敷になど行きたくないと言っているのが聞こえないの?誰もあんな場所を求めてなどいないわ。これ以上無理強いをするなら、法的な手段に出る用意もあるのよ!」「もういい、お前は少し黙っていろ」崇が冷徹な眼差しで絵美を制し、重々しく口を開いた。「正造さん、紬の行方も未だ知れぬこの状況で、子供たちの去就を急いで決めるのはお控えいただきたい。たとえ母親を失ったとしても、我々天野家がこの子らを疎かに扱うような真似は断じていたしません」正造は答えを返さず、ただ悲しみに沈む二人の幼子をじっと凝視していた。やがて、絞り出すような声で最後にもう一度だけ問いかけた。「芽依、悠真。本当に、曾おじいちゃんと共に来る気はないのか」「嫌!私は絶対にママの実家になんて行かない!」芽依は、突き放すように言い放った。一瞬でもためらえば、そのまま連れ去られ、苦難の道を歩まされることを本能的に恐れているかのようだった。悠真は葛藤に身を焼きながらも、静かに首を振った。「曾おじいちゃん……今度お休みになったら、会いに行きます」正造は押し黙った。長い沈黙の末、彼はあえて何事もなかったかのように薄く微笑んだ。「そうか。お前たちがついて来ないというのなら、私も余計な気苦労が減るというものだ」言葉とは裏腹に、その濁った瞳には深い悲哀が湛えられていた。亮は、そんな祖父の姿を直視できなかった。祖父は、天野家という泥沼の底に置かれた二人の子供を案じ、紬が遺した最後の形見として引き取り、慈しもうとしていたのだ。それなのに、この子供たちは、幼い身でありながら権力に媚び、これほどまで冷徹に損得を計るのか。「……やはり、蛙の子は蛙か。恩知らずの親からは、恩知らずの子供しか育たないということだな!おじ
Baca selengkapnya