望美の背中を、言いようのない冷や汗がつうっと伝っていく。「――いや、もちろん君のことは信じているよ」そう言うと、成哉は望美へ向かって大きな手をそっと差し出した。その瞬間、望美の顔には再び花が咲くような笑みが戻る。彼女はその手に導かれるように歩み寄り、ベッドの縁へ腰掛けると、成哉の大きな手に自分の細い指を重ねた。「成哉、あなたなら分かってくださるって信じていたわ。やっぱり、今でも私のことを愛してくださっているのね。でも、あなたはあまりにも優秀で魅力的な方だから……放っておく女なんているはずがないでしょう?そう思うと、不安で胸が張り裂けそうになるの」そう言うと、望美は静かに目を伏せる。それはかつて成哉が最も好んでいた、儚げで守ってあげたくなるような無垢な女性を演じる仕草だった。自分の演技は完璧だと、彼女は微塵も疑っていなかった。「……君、その首筋はどうしたんだ?」何気なく放たれた成哉の一言に、望美の表情が一瞬で凍りつく。「え……?何のことかしら」困惑を装いながら、どうにか声を絞り出す。成哉はわずかに唇を動かし、その漆黒の瞳はさらに底知れぬ深さを帯びていった。「鏡で、自分の首元を見てみるといい」その瞬間、望美の胸の奥で警鐘が激しく鳴り響く。――まさか、あの時の……震える手でバッグからコンパクトミラーを取り出し、鎖骨のあたりを映す。そこには、赤々とした生々しい痕がくっきりと残っていた。――治の奴……あれほど痕を残さないでって言ったのに、わざとやったのね……!望美は怒りと恐怖を押し殺しながら鏡を閉じる。視線を上げると、そこにはやはり、陰鬱なまでに冷え切った成哉の眼差しが待っていた。心臓がどくりと重く跳ねる。望美は必死に頭を働かせ、苦し紛れの言い訳を口にした。「ああ……これね。きっと昨日の夜、寝ている間に蚊に刺されたのよ。夏は本当に虫が多くて嫌になるわ。あなたに言われるまで、自分でも全然気づかなかったの」しかし成哉は何も答えない。ただ品定めでもするような冷たい視線で、じっと望美を見つめ続けていた。望美はついに瞳を潤ませ、深く傷ついたような表情を浮かべる。「成哉……私たちには、もうすぐ新しい命が生まれるのよ。それなのに、あなたは私を疑うというの?」成哉の脳裏には
続きを読む