「円香、オーディション頑張ってね!心から応援してるよ!」ベッドの上から、杏奈が満面の笑みで声援を送った。円香はよっこらしょと立ち上がりながら、すでに魂が半分抜け出たようなげっそりとした顔を見せた。「もう『頑張れ』なんて禁句よ。今の私はね、後悔の塊なの。オーディションの合宿がこんなに地獄だなんて知ってたら、おとなしく家でごろごろ寝てた方が百万倍マシだったわ……」「はいはい、今さら泣き言を言わないの」不意に、頭上から大きな手が降ってきて、円香の頭をガシッと掴んだ。それから、有無を言わさぬ凄まじい力で無理やり後ろへ振り向かされる。一見ぞんざいな扱いだが、下手をすれば鞭打ちになりかねないほどの容赦のなさだった。「いったぁっ!祐一郎!?」円香は痛む首を両手で押さえながら、いつの間にか背後に現れていた祐一郎を恨みがましく見上げた。「ちょっと、首の骨を折る気?!」すると、祐一郎のすぐ後ろについてきていた朝登が、その言い回しにこらえきれず「ぷっ」と吹き出した。円香の高性能な探知機のような鋭い視線が、即座に彼を捉える。「何ヘラヘラ笑ってんのよ!後ろにいるなら、一言『来た』って教えてくれてもよかったじゃない!」しかし朝登という男も、これまた一筋縄でいくような人間ではなかった。すかさず、これ以上ないほどの真顔を作って言い返す。「あー、兄貴は神出鬼没なんで、俺から告げ口なんてとてもできませんって。それに、確かにちょっと顔の筋肉が緩んじゃいまして」円香がスッと目を細めた。おや、ずいぶんと手強いのが来たじゃない?二人の視線が空中で激しく交錯し、ばちばちと火花が散る。一触即発の空気が、病室の入口にむんむんと漂い始めた。このまま「毒舌バトル」が勃発しようとした、まさにその時である。「ごんっ!」祐一郎が容赦なく、二人の額に一発ずつ、重いデコピンを食らわせた。「お前ら、ここで睨み合いでも始めるつもりか?入るならさっさと入る、出るならとっとと出る!入口を塞ぐな!」円香が赤くなった額を押さえながら叫ぶ。「出る出る!今すぐ出ますぅー!」朝登もまた頭をさすりながら声を上げる。「入る入る!ただいま入ります!」二人が示し合わせたかのように声を揃えたその奇妙な息の合い方に、さしもの祐一郎も呆れたように片眉を吊り上げた。この歩くエ
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