謝罪を受けた円香はそれ以上追及しなかった。ふんと鼻を鳴らしただけで、まあ分かればいいわ、という空気を漂わせる。杏奈の方へ向き直ると、まだ少しむくれた口調で言った。「杏奈、ここは国内でしょ。外国人に好き勝手させるわけないじゃない」「とにかく、怖がらなくていいの。いざとなったら正面からぶつかればいいだけの話よ」鈴木家と三浦家、それにルミエールの三社連合に加え、玲子のテレビ局における影響力まで考えれば、確かにそれほど恐れる必要はない。しかし杏奈が真に恐れているのは、正面切っての衝突ではなかった。アルバートソンズが裏から手を回してくることが問題なのだ。国際的な武器商人ともなれば、配下に殺し屋や傭兵を当然のように抱えているだろう。自分の命は惜しくない。でも、身近な家族や大切に思う人たちが巻き込まれるかもしれない――そう考えると、胸がざわついた。眉を寄せながら、やはりもう少し様子を見るべきかと思い始めた時、翔真が静かに口を開いた。「もしかしたら、僕がお役に立てることがあるかもしれません」その一言に、その場にいた三人の視線がいっせいに向いた。テレビ局のエース司会者というだけあって、彼には地元で相当な影響力がある。しかし、裏社会の武器商人であるアルバートソンズに対抗できるほどの力があるかといえば、さすがに話は別だろう。円香はとっさに「何を大げさな」と言いかけたが、その前に翔真がゆっくりと続けた。「改めて自己紹介させてください。僕は、濱海の寒川家の、寒川翔真です」「寒川家」という名が、まるで雷に打たれたような衝撃を全員に与えた。心臓が一瞬激しく跳ね、喉元まで飛び出しそうになる。短い静寂を、円香の素っ頓狂な声が破った。「寒川家の人なの!?」「そうです」「私が知ってる、あの寒川家?」「はい」「代々政治家を輩出し、一族から何人もの高官を出していて、濱海市で絶大な影響力を持つ、あの寒川家?」「うーん……」翔真は思わず頷きかけたが、彼女の言葉の危うさに気づくと、浮かびかけた笑みに困惑が混じった。「鈴木さん、その表現はさすがにまずいですよ。本当に噂が広まったら、明日には特捜部が動くことになってしまいます」円香も言い過ぎたと気づき、慌てて両手で口を押さえた。「ご、ごめんなさい」杏奈が苦笑しながらフォローに入
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