「一度目は覚ましたんだが、精神的にかなり不安定でな。今はまた眠っている」 颯斗は緊張した面持ちで哲を睨みつけた。 「不安定だって?あんた、あいつに何かしたんじゃないだろうな?」 練は哲に対してわだかまりを抱えており、普段から敬遠している。だが今回はよりによって、自慰の最中に気を失ってしまったのだ。あんな無防備で惨めな姿を、練が哲に見られたくなかったであろうことくらい、火を見るより明らかだった。 もし哲が意地悪をして、練の目の前で何かを言ったり、刺激するようなことをしたりしていたら…… 駄目だ、これ以上は考えられない。 哲は颯斗をちらりと一瞥した。 「何かとは何だ。俺がこいつを見つけた時、どういう状態だったか、君も知らないわけじゃないだろう?こいつの体を隅から隅まで綺麗に拭きあげるだけで、丸一時間もかかったんだぞ」 颯斗は一瞬言葉に詰まったが、その惨状を想像して罪悪感がこみ上げ、返す言葉が見つからなかった。 「その後、車で病院へ連れて行き、全身の精密検査を受けさせた」 「結果はどうだった?」 「大したことはない。連日の徹夜と、極度の興奮が引き金となって、迷走神経反射による失神を起こしただけだ」 颯斗は眉をひそめて尋ねた。 「迷走……神経反射による……失神?何だよそれ?重症なのか?」 「命に別条はないよ。ゆっくり休ませれば、たいていは自然に治る」 哲の言葉を聞いて、颯斗はようやく胸をなでおろした。だが、ほっと一息つく
Last Updated : 2026-10-07 Read more