「俺とあんたは違う」颯斗は低い声で言った。 「何が違うって?」 「あんたと練の付き合いはどれくらいだ?俺と練の付き合いはどれくらいだ?」 そこまで言うと、颯斗はたまらず胸が締め付けられるように痛んだ。 「元の練だろうと今の練だろうと、あんたは両方知ってるし、どっちとも深い関わりがある。俺があんたと同じ土俵に立てるわけないだろうが!」 颯斗が一気にそこまでまくし立てると、二人の間には長くて重い沈黙が降りた。 「陽の当たる場所を歩く人間が、闇を羨むことがあるのか?」 哲が唐突にそんな言葉を口にしたため、颯斗は一瞬呆然とし、どういう意味だと尋ねた。哲は苦渋に満ちた笑みを浮かべ、静かに伏し目がちになった。 「もし俺が、過去にレンのために人を殺したことがあると言ったら、それでも君は俺を羨むかい?」 真夏のような暑さだというのに、颯斗は突然背筋がゾッとするのを感じた。 哲が人を殺したことがある。そのこと自体には、颯斗はさして驚きはしなかった。 しかし、哲が言ったのは、練のために人を殺したということだ。そうなると、事の重大さが全く変わってくる。 哲が私刑によって自分なりの正義を貫こうとするのをどうしても受け入れられなかったからこそ、練は彼と袂を分かったのだ。もし本当に哲が練のために人を殺したのだとしたら、練は間違いなくそのことを気に病み、もしかすると一生消えない罪悪感を抱えて生きていくことになるかもしれない。 その時、突然哲のスマホが鳴り響き、颯斗の思考を断ち切った。 哲は通話ボタンを押して電話に出ると、相手と小声でしばらく言葉を交わし、そのまま電話を切った。
Last Updated : 2026-10-17 Read more