号令と共に、カリナ、カグラ、セリスの三人は、重力の枷を解き放った鳥のように空を駆けた。 上級歩方技術『空歩』。虚空を足場として蹴り、神速の勢いで谷底へダイブする。風切り音が耳元で唸りを上げ、眼下には禍々しい紫色の霧が晴れたばかりの敵本拠地が迫る。「着地するわよ! 派手にいきなさい!」 カグラの愉しげな声と共に、三人はタワー前広場の石畳へと、両足に魔力を集中させ隕石の如く着地した。 ズドォォォォォンッ!! 凄まじい衝撃波が広がり、敷き詰められた石板が波打つように砕け散る。もうもうと舞い上がる土煙の中、三つの影がゆらりと立ち上がった。 その轟音に、広場を埋め尽くしていたヴォイド・リチュアル・サンクトゥムの防衛部隊が、何事かと一斉に振り返る。「な、なんだ!? 空から降ってきやがった!」「ば、バカな……谷の結界はどうした!? あの絶対防御が破られたというのか!?」「どうやってここに入り込んだ!? 警報も鳴らなかったぞ!」 敵兵達は驚愕と混乱に包まれていた。絶対の自信を持っていた砦の入り口が、音もなく突破されたことが信じられないのだ。 だが、彼らの不幸はそれだけではなかった。迎撃しようと構えた武器――精霊の力を歪めた『反転精霊装備』が、まるでただの鉄屑のように黒煙を上げていたのだ。「う、うわぁぁぁ! 武器が……勝手に爆発したぞ!?」「反転精霊砲が全滅だ! 魔力を込めた瞬間に暴走しやがった!」「強化外骨格も動かねえ! ただの重りだ!」 先程、カリナが発動した『精霊王の加護』。その絶対的な権限によって、精霊の力を歪めるシステムは存在そのものを許されず、内側からショートし、既に爆散していたのだ。武器を失い、動かない鎧に閉じ込められた彼らは、ただの烏合の衆と化している。 狼狽する敵兵達を見渡し、カリナは不敵に笑った。彼女の体から溢れ出る虹色のオーラが、この空間の精霊法則を完全に支配している。「無駄だ。貴様らのその不愉快な玩具は、精霊王の御名において排除した。もはや貴様らは、ただの重い鎧を着た案山子に過ぎない」 その言葉が合図だった。カグラが扇子をパチリと閉じ、冷徹な瞳で敵を見下ろす。その口元には、獲物を前にした捕食者のような艶然たる笑みが浮かんでいた。「へえ、武器が壊れてお困りのようねぇ。……なら、遠慮なく掃除させてもらうわ。私の可愛いカリナ
Last Updated : 2026-02-05 Read more