教会の自室でサティアは目を覚ました。少し酒気が残ってはいるものの、自分の殻を破った高揚感で心は満たされている。彼女はベッドから起き上がると身だしなみを整え、いつもの聖女のローブを身に纏った。「帰国する前にこの部屋は片付けないとね……」 散らかった室内を見渡し、サティアは溜息を吐く。物臭な自分の性格が恨めしい。普段は清廉な聖女として振舞っているが、素の彼女はカリナ達と同年代のVAOを楽しんでいた一プレイヤーに過ぎないのだ。「まあ、いざとなったらアイテムボックスに突っ込めばいいかな」 サティアは半ば諦めるように気持ちを切り替え、部屋を後にした。昨夜は遅くまで祝勝会だったため、今日は遅めの起床である。聖堂に着くと、既に参拝客達が女神像に祈りを捧げており、シスターや神父達が業務をこなしていた。「おはようございます、サティア様。今日は遅かったですね」「ええ、昨日は夜更かしをしてしまったから。ごめんなさいね」 挨拶をしてきたシスターに答え、他の人々にも声を掛けてから、近くの神父に尋ねる。「マシュー神父長はどこかしら?」「えー、そうですね、今は書類関係の業務で事務室にいらっしゃるかと」「そう、ありがとう。行ってみます」 居住区とは逆に位置する、礼拝堂の裏手にある事務室へ向かう。ドアをノックすると、中から老神父の威厳ある声が返ってきた。「サティアです。入りますね」 入室するとマシューは事務仕事の手を止め、立ち上がってサティアを迎えた。「おはようございます、サティア様。さすがに今朝はゆっくりでしたな」「ごめんなさい。それとお礼を言いに来ました。昨日はありがとう、マシュー。あなたの御陰で、私は大切な友人を失わずに済みました。あなたの厳しい言葉がなければ、私はきっとまた後悔していたでしょう」「さてさて、何のことでしょうかな? 私は少し背中を押しただけです。立ち上がったのはサティア様ご自身の意志。それに遺跡の悪魔も討伐された。結果的に良ければそれで良いのですよ」「あなたはあんなに幼かったのに、これほどまでに成長していたのですね。私はずっと自分の時を止めていたのでしょうね……」「ふふ、私にとっては今でも貴女は実の母のような存在です。それはこれからも変わらないでしょう」「母と呼ぶのは止めて下さいね。姿が変わらないとはいえ、私はまだ若いつもりですから」
Last Updated : 2025-12-24 Read more