一人で思案に耽ってしまった玲斗はブツブツと呟いている。昔から熱中すると周りが見えなくなる所はあったがこういう時でもそうなのかと優斗は呆れるばかりだ。以前の優斗なら仕事の事だからとそっとしていた。しかし、もう容赦はしない。力の限り横腹をドつくと、呻き声を上げ体がくの字に曲がった。「い、痛い! 優くん何するの!?」 それを冷めた目で見遣りながら顎で続きを促す。「うぅっ。なんか父さんの扱い酷くなってない?」 抗議の声に再度拳を振りあげれば慌てて手で制す。「ごめん! ごめんなさい! えぇっと、そう! 仕事の話だったね。普段なら様々な状況に対応するために戦力を組むんだけど、優くんの任務は激しめだからね。バディも五位のりっちゃんなんだ。歳も一緒だしやりやすいでしょ?」 こてんと首を傾げてにこやかに告げる父。四十のおっさんがしても可愛くない。白けた視線を送る優斗にもめげずに両手の人差し指を頬に当て、ニッコリ笑う。「今すぐ必要な情報はそれくらいかな。優くんには明日から教習を受けてもらうよ。先生は美人なお姉さん! あんまりキレイだからってよそ見ばっかりしちゃダメだからね」 頬から指を離すとそのまま優斗の鼻をちょこんと触る。ドつかれたばかりだというのに懲りない父に溜息を吐く。 そこに律の声が上がった。「先生って幸乃さんでしょ? 俺も久しぶりに会いたいな~。アレは健在なんだよね?」 ムフフといやらしい笑みを浮かべる律に、玲斗も応じる。「勿論だよ。アレは最早歩く凶器だね。あ、でも僕は奥さん一筋だから興味ないもーん」 コソコソする二人に訝しむ優斗の視線に玲斗は焦ったように言い繕う。終いには鳴らない口笛で誤魔化した。そして律に向き直る。「それからりっちゃんは別の仕事があるからね。教習の間は別行動だよ」 それに律は泣きそうな顔をしながら駄々を捏ねた。「え~。やだやだ! 優斗と一緒がいい! 俺も教習受けるから!」 しかし、玲斗は首を振る。
Последнее обновление : 2025-12-17 Читайте больше