しかし、その想いは日が経つにつれて変わっていく。友ではなく、愛しい人へと変化していったのだ。それは頭塚で律の笑顔を願ってくれた時に決定的となった。 例えそれが自己満足から来るものだとしてもいい。優斗が好きで好きでたまらない。ひとつに繋がりたい。想いは募るばかりで、真っ当な恋愛などした事が無い律は強引に迫った。優斗は抵抗したが、体格はこちらが上。いとも容易く組み敷いた。だがそれは邪魔が入り未遂に終わる。それならば家でと楽しみにしていたのに。 深い溜息が漏れ、律の思考はまた巻き戻る。視線を移せば固く閉ざされた扉。すぐ近くにいるのに、触れる事さえできない。昼間は受け入れてくれた手も振りほどかれてしまった。その手をじっと見る。 ――暖かくて、小さくて、可愛い手だったな。 そして、手の甲、優斗が口付けた傷跡をなぞり、頬ずりする。優斗がくれた唯一のもの。自分の体だというのに愛しくてたまらない。 ――好き、好き。大好き。 なんと言われようと、律は優斗を離さないだろう。優斗と共切は一心同体。どちらが欠けても意味が無くなってしまう。どんな敵からも守ってみせる。盾になる事だって厭わない。優斗が生きていてくれる事が律の幸せだ。 しばらくは一緒にいる事は叶わない。明日も、仕事で早朝から出なければならなかった。でも、それもさっさと片付けて帰ってくるんだ。そして、ちゃんと好きだって伝えよう。何度も言えば分かってくれるはずだ。そうすれば繋がる事ができる。恋を知らない律にとって、それだけが愛情の全てだった。 ひとつ頷いて、心を強く持つ。時計を見れば十九時を回っていた。優斗を風呂に入れなければ。風呂もまた陰陽寮で働く者にとって貴重な時間だった。時に何日も化け物狩りに明け暮れ、風呂に入れず過ごす事は少なくない。とてとてと優斗の部屋へ足を運び、扉をノックする。すると返事が返った。「優斗、お風呂空いたよ~。いいお湯だったよ。汗もかいたから気持ち悪いでしょ? ︎︎さっぱりしておいでよ。今度は一緒に入ろうね」 務めて明るく振る舞う律の声に、しかし返ってきたのは短い返事。折れそうになる心を笑って誤魔化した。「タオルとかは
Последнее обновление : 2025-12-27 Читайте больше