「さて、妖魔について更に踏み込んでみよう。人には少なからず霊力が備わっているというのは話したな。虫の知らせ、第六感とも言う。だがそれを真に理解している者はごく僅かだ。世の中には霊能者は数いれどその大半は偽物。その他にも漫画や小説、映画でも人気の題材だろう。だからこそ問題だと言える。中途半端な知識があるからな。その最たるものは陰陽師として名高い安倍晴明か。奴は本物だった。それが後世に伝わり虚実の入り交じった知識が蔓延している。しかし、霊力は実際に存在し、目には見えないが日常的に体から無意識に漏れ出しているものだ。気を使う、気力が無くなるなどと言うだろう? ︎︎気とは即ち霊力の事だ。いわば人の原動力だな。それは感情が大きく動く時に強く結びつき、それが凝り固まった物が妖魔となる。その姿は伝承にある怪異とよく似ている。人の思念によって形を得るからだろう。よって人の集まる所、特に愛憎渦巻く場所に多く現れ、心霊スポットと呼ばれるようになる訳だ。学校、病院、会社。寺社や人死のあった場所もそうだな。本人が知らずに膨大な霊力を有する場合もある。それらを監視、分析し、特務部の采配を行うのが情報部だ」 そう言いながら、ただでさえ難解な図にミミズののたくったような文字が追加される。優斗は既にノートを取るのを諦めていた。「そしてその情報部の指示の元、実際に妖魔と対するのが貴様の所属する特務部だ。ここ本部には七つの班があり、ひとつの班に妖刀持ちが二人、後方支援が三人の二部隊十人構成、計七十名となっている。京都はその歴史からも妖魔の発生しやすい土地柄だ。故に、妖刀持ちも強い者が集まってはいるが手が回っていないのが現状だな。近代に入ってからは都心部や地方の妖魔も活性化している。それだけ人の欲望も強まっているという事だろう」 そう言ってらしくない溜息を零す。その顔は憂いに陰っていた。 そしてぽつりと呟く。「げに恐ろしきは人の心か……」 その様子があまりに辛そうで、優斗は優しい声音で話しかけた。「長谷部さん、大丈夫ですか? ︎︎顔色が優れませんけど……水飲みますか? ︎︎少し休んだ方がいいんじゃ」 そう言って水筒を取り出そうとする優斗を睨みなが
Последнее обновление : 2026-01-06 Читайте больше