61.第四話 今日子からの依頼「うまくいきましたね。サスガさん」「すごいよチュンさん。おれの麻雀じゃ今のアガリはありえないよ。一二三四伍六⑤⑦33(中中中)から三萬チーなんて絶対思いつかない。それどころか自力で三萬を引いてきてもイーシャンテン戻しなんてしないと思う。欲の塊だからさ、1巡たりともアガリの可能性を手離したくないんだよな」「しかし、私の指示した通りにしたじゃないですか。指導者の指示に素直に従えるのは素晴らしい事ですよ」「そうかな……」「お兄ちゃんは昔っから素直だよね。聞き分けがいいというか。キョーコもそれはお兄ちゃんの長所だと思う」「お、おう。そうなのか。(おれってそんな長所があったのか。自分では気付かないな)」「あと、勉強熱心なのもえらいと思う。チュンさん、お兄ちゃんの部屋はもう見た?」「いえ、まだです」「見たらきっと驚くよ。学生とは思えない本棚してるから。お兄ちゃん、見せてもいい? すぐそこがお兄ちゃんの部屋だから」「散らかさないならな。あんまり長居するなよ?」「おっけー!」ガチャ「ほらほら、チュンさん来て。ここがお兄ちゃんの部屋」「……失礼します」 そこには天井に届くほどの本棚があり、経営戦略や指導者としての勉強本がズラリと並んでいた。その本は何度も読み返したのか、角が丸くなっているものもあるし、ところどころ付箋までしてチェックしてあった。彼が今回『麻雀家政婦』を依頼したのもプロの麻雀を勉強したいという目的があってのこと。錦野流石は本当に真面目な人間なのだなと、この本棚から伝わってきた。「お兄ちゃんはただのボンボン跡継ぎじゃないんだよ。本気でお父さんの跡継ぎとして活躍しようとしてるの。私はお兄ちゃんのそういうとこが大好きなんだ」「どうやらそのようですね。とても立派なことです」「でもねここだけの話、お兄ちゃんってね、そんなにアタマがいいタイプじゃないの。必死に勉強してやっと並以下くらいのね。麻雀は得意みたいだけど学校の勉強とかは全然でね。学校だってたいした高校行ってないしさ」「……そ、そうなんですか? 言い過ぎでは」「ちがうの、だからこそ好きなの。天才とかじゃなく、めちゃくちゃ凡人で、それどころか並以下なのに。それを本人自覚してるからこそめっちゃ頑張ってて。もう、そういうところがたまらなく好きなの。お兄ちゃん
Terakhir Diperbarui : 2026-01-22 Baca selengkapnya