All Chapters of ゲーム中にモニターに吸い込まれたら異世界を冒険するハメになった: Chapter 101 - Chapter 109

109 Chapters

青年は再びドラゴンに挑む1

「ビルヒー、神の祝福を。ソフィア、受けようなんて考えるな! アシュレイ、魔法効果の見極めを。ヴァネッサは……」「いつも通りさね」 今回のドラゴンは環境要因もあるのだろうが地に足をつけて戦うようだ。  それでも財宝の山上に鎮座ましましているドラゴンに下から挑む事になる。  しかも、前回のドラゴンより倍以上大きい。(確かこの世界ではドラゴンをスモール・ラージ・ヒュージでカテゴライズするんだったな。喋るドラゴンは伝説級と。うへぇ、五人で戦う相手じゃないよ) そうはいっても戦わないわけにいかないじゃないか。  ビルヒーの神への祈りは聞き届けられ、冒険者は全身に力がみなぎってくる。  神様によるドーピングだ。  神経は研ぎ澄まされ、思考に運動機能が完全に連動してくれる。  魔法はより効率的に発動し威力は上がり、武器による攻撃力も普段より増大する。  さらにありがたいのは肉体的精神的に耐性強化されダメージが軽減し、運も味方してくれる。  まさに至れり尽くせりだ。  もっとも、全能・万能になるわけじゃない。  あくまで基本性能に少し上乗せされるだけ。  祝福されたからといって無敵になるわけじゃあない。「レイト」 攻撃に出ようとしたレイトを呼び止めるビルヒーが彼の武器である槍に手を添える。  すると、槍が僅かに光を放つ。  それはまるでヴァネッサの大剣やソフィアの剣のようだ。「これは?」「魔力の付与です。一時的にではありますが、魔法の槍として機能します」「ありがたい」「ご武運を」「ビルヒーも気をつけて」「待った」 前線に走り込むレイトにアシュレイが声をかける。  立ち止まったレイトに加速の魔法をかけてくれた。「半端な魔法じゃ効果が判らなかったよ。でかいのかますからって二人に伝えて」 効かない魔法で魔力を消耗したくなかったのだろう、試しに放った数種の魔法は威力が小
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青年は再びドラゴンに挑む2

「硬いねぇ」「感心している場合じゃないだろ」「どけっ!」 そんな二人に後ろからソフィアの声がかかる。「地裂斬!!」 大地を斬り裂くパーク家の剣技が放たれる。  その威力は確かにドラゴンの体を斬りつけたが、パフォーマンスを下げるほどのダメージとしては通らないようだ。  前線に復帰したソフィアの代わりにヴァネッサが後方に戻る。「ソフィアは奥義が使えるのか?」「え?」「クリスがドラゴンと戦った時に使った真空裂破斬とか言う技」「……教わった」「じゃあ……」「だが、一度として成功したことはない」 ソフィアの表情が曇る。「そうか」「しかし、確かにあれが決まれば大きなダメージを与えることができるだろう。試す価値はある?」「あるさね」 速やかに前線に戻ってきたヴァネッサがそういうと、そのままバーサークラッシュを叩き込む。  魔法の効果で目で追えないほどの刺突を繰り出す様はまさに狂戦士の突撃の名の通りだ。「散れ」 魔法効果で大技の後の硬直時間も短縮されるようだ。  ヴァネッサの声に二人も反射的に散開すると、そこにアシュレイの魔法が二つ飛んできた。  図体のでかいドラゴンに命中させるのは簡単なようだ。  二つ目の魔法はアイスランスで、これはドラゴンの鱗に阻まれた。「貴様、なにをした!?」 ドラゴンは目を見開いてアシュレイに叫ぶ。  その声は間延びしているように聞こえる。  その問いにはヴァネッサが答える。「『加速ができるなら減速させられないか?』って、あたしが聞いたら『できる』って言うからやってもらったのさ」「名付けて『減速の魔法』」 この世界にはそもそも存在していなかった魔法のようだ。  さすがは大賢者バガナスの直弟子で、バガナスが自身の代わ
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青年は再びドラゴンに挑む3

 喉を切り裂かれたドラゴンは空気の漏れる中、怒りに震える声でなお威嚇する。「私を誰だと思っているっ!」「知らないねっ」 喉元に潜り込んだレイトが再びトラッシュサイクロンを放つ。「下郎がっ!」 しかし、喉で魔法の竜巻が炸裂するのと同時に槍が砕かれる。「くそっ!」 使えなくなった槍を手放し、ドラゴンから距離をとったレイトは予備の剣を腰の鞘から抜き放つ。「絶対成功させるっ!」 ヴァネッサが前線に復帰してからずっと距離をとっていたソフィアが発動の準備を整え、全身全霊でもって発動させたパーク家の奥義真空裂破斬は、クリスのそれと同等以上の威力でドラゴンに直撃した。「やるじゃないか! なら私も」 ヴァネッサは一種のゾーンに入ったようで、「今ならなんでもできそうだ」という気になっていた。  実際、ブレッシングにアクセラレーションの魔法で能力が底上げされている状態で到達した超集中状態だ。  アマゾネスとして、通常なら使うことの叶わない体内に存在する魔力が行き場を求めて迸り、大剣を握る手から刀身へと移動していく。  限界まで速度を乗せて疾走したヴァネッサはその勢いのままに大剣を横一閃、真空裂破斬で切り裂いたドラゴンの腹を薙ぎ払う。  魔力がその常軌を逸した剣速によって加熱し刀身が燃え上がる。「白熱一閃……」 呟いたのはビルヒーだった。  ジュウと焼けるドラゴンの体。  レイトが最大火力のファイヤーボールを放っても鱗の表面しか焼けなかったドラゴンの体を焼き裂く最大級の攻撃力だ。「とどめだ!」 ここが正念場と見たレイトはマイクロウェーブの魔法で刀身に超振動を与える。  赤熱した剣を振り上げて飛び上がるレイトはドラゴンの頭を兜割りに切り裂く。  ドラゴンは断末魔の声をあげるが、その咆哮は裂かれた喉によって弱々しいものでしかなかった。  くずおれるドラゴンとともに宝の山に落ちてくるレイトの握る柄には刀身がな
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青年はドジっ子魔法使いがちょっとかわいいなと思ってしまった1

「勝った……」 自分たちの偉業だというのに信じられない面持ちのアシュレイが呟く。「勝ったはいいが……どうするつもりでいるんだ? レイト」 と、ソフィアが険しい表情でレイトを見る。  彼女たちの目標はドラゴン退治じゃあない。  あくまでも魔王に拐われた王女クリスティーンの奪還である。  だというのにこんなところで手持ちの武器を失くしてしまうのだから深刻に捉えるのも無理はない。  しかし、レイトはいたって楽天的だ。「大丈夫だと思うよ」「その自信はどこからくるのですか?」「俺の足元」 と、指差す先に四人の視線が集まる。  そこにはドラゴンがため込んでいたお宝が文字通り山と積まれていた。「お宝発掘といこうじゃないか!」 レイトの音頭で冒険者たちはお宝の山をかき分け始める。  すると出るわ出るわ、王国ではお目にかかることが不可能な武具防具がザックザックと掘り出される。  あーだこーだと話し合って冒険者の装備はこうなった。●レイト  アダマントの剣+5フレイムオンコマンド  アダマントの鎧+4  アダマントの兜+4  アダマントの盾+2レジストライトニング  耐火マント  魔法の背負いカバン  力の宝石  知恵の宝石  守りの宝石  加護の十字架  HPポーション5  MPポーション7  解毒薬6  金貨742,627,245GP  宝石216  アダマントの短剣+2●ヴァネッサ  アダマントの両手持ち大剣+5  アダマントの胸当て+3  耐火マント  魔法のかつぎ袋  力の石  守りの宝石  HPポーション9  MPポーション2  金貨932,111,497GP  宝石435  アマゾネスの大剣+2  アマゾネスの胸当て+1●ソフィア
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青年はドジっ子魔法使いがちょっとかわいいなと思ってしまった2

 見た目の数倍の収納力を持った魔法のカバンがあったとはいえ、さすがにすべてのお宝を持ち出せるほどではなかったのが残念だったけれど、充分すぎるほどの戦利品で装備を数段レベルアップできた冒険者は、少し早いと思いつつ休息を取ることにした。  案の定一瞬で睡眠を終えたレイトは三番目の見張りにつく。  元々ドラゴンのねぐらだった場所だったことが幸いしてかこの夜も夜襲はなく、冒険者は洞窟の先へと進んでいく。  ずっと下り坂だった道はドラゴンのねぐらが底だったらしく緩やかに上り坂に転じ、広かった道も狭くなってくる。(あのドラゴンはどうやってあそこに入ったんだろう?) レイト、それ、考えちゃダメなやつ! その後も敵らしい敵に出会うことなく冒険者は洞窟の出口にたどり着いた。  たどり着いた先は峻険な山と同化するようにそびえる禍々しい城を見上げる山の麓だった。「なんだい、ありゃ?」「あれが魔王の城なんだろう」「あそこに乗り込まなきゃダメなの? やだなぁ」「アシュレイさんはここまできて帰るつもりですか?」「ビルヒーは肝が据わってるのね」「私も帰りたいですけどね」「帰るわけにはいかない。姫の奪回が我々の使命なのだから」(家に戻るためにも他に選択肢ないだろうしな) レイト、それを言っちゃあおしめぇよ。  ホント、身も蓋もないな。「とにかく、先へ進もう」「運よく魔王城にこれだけ近づいたんだ、できればできる限り見つからずに魔王城に辿り着きたいな」「ならわたしが魔法をかけよう」 と、いうが早いかプロテクションフロムエネミーをかける。「これで大抵の敵には出会わなくなるはずよ。ついでにこっちもかけとこうか?」 と言ってディサピアーという魔法を一人一人にかける。
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青年はドジっ子魔法使いがちょっとかわいいなと思ってしまった3

「おいおい、みんな見えなくなっちまったぞ。これどうすんだ?」「姿は見えなくなったが声は聞こえるな。しかし、声をかけながら進むなんて姿を消した意味がないぞ」「あ、ごめん。考えてなかった」 ダメだろ、それ。  アシュレイは魔神の指輪をこする。  するとアシュレイが姿を表すと同時にいかつい髭面のオヤジが現れた。「お呼びでしょうか、ご主人様」「敵に見つからないようにあの城まで行きたいから案内して」「かしこまりました」 ポカンとバカ面さげている三人に(と言っても見えないんだけど)再度姿を消しながらアシュレイが注意をする。「こんな風に攻撃をしたり魔法使ったりしたら効力がなくなるから注意してね」 いや、それどんな風にだよ。  歩くだけならいいのか?  効力がなくなる行動ってどの範囲なのかちゃんと教えてあげなきゃいけないじゃあないかね? アシュレイ。 と、地の文でいくら言っても仕方ないわけだけど。 指輪の魔神はランプの魔神ほどじゃあないけれどすごい魔神だったらしく、姿を消しているアシュレイがどこにいるのか判っているようだ。  一人でずんずんと進んでいくようなことはなく、時折立ち止まって彼女たちを待ってもくれる。  さらにこの先になんちゃらいうモンスターがいるだのここに罠があるだのとても詳細に説明しながら危機を回避してくれる。  誠に優秀なナビゲーターだった。 やがて冒険者たちはもう数時間も歩けば城にたどり着く、というところまで来て日が暮れた。  隠密行動中ということで火も熾せずに温かくない保存食を食べて野営をすることになった。  ただ一つよかったのは、指輪の魔神が不寝番をしてくれたことだ。  おかげで彼女たちは久しぶりに十分な睡眠が取れた。 もっともレイトの睡眠は例によって一瞬で朝を迎えたわけだけど。
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青年はついに魔王城に侵入して王女を探す1

 冒険者達は恨めしそうに魔王城を見上げる。  山の一部と化している城には正門以外に出入り口があるようには見えない。  さすがに非常時用に抜け道の類くらいあるのだろうが、そんなものが簡単に見つかるほど現実は甘くない。(ドットキャラだった頃なら魔王城に重なるだけで中に入れたんだろうなぁ) かもね。  とはいえ愚痴っていても始まらない。  だいたいにおいてゲーム世界の魔王城は正面突破がお約束じゃないか。(そういえば、どのゲームでも敵の本拠地って正門から入っていくよな。現実ならあり得ないだろうに。そもそも城なら敵が入れないように対策してるもんじゃないのかね?) まったくだ。  目の前の城も門が全開である。  もちろん、四人の冒険者は堂々と正門から侵入だ。  ただ、みんな姿を消しちゃいるがな。  ちなみに指輪の魔神がいると騒動になるので指輪に戻ってもらっている。  じゃあ、どうやって姿が見えない四人は集団行動をとっているかといえば、実は魔神の力である。  前夜、対策を話し合っている際に知れた魔人の力の一端「ものに魔力を込めることができる能力」で、小石に念話の魔法をかけてそれぞれが握っているのである。  トランシーバーみたいになものだね。『こんな便利な魔法があるなら最初から使ってればよかったのに』『知らなかったのよ。こんな魔法があるなんて。それも魔人が使えるだなんてさ』『便利だからといって雑談に使うなんて、緊張感が足りないぞ』『ソフィアは相変わらずお堅いなぁ』『なっ……』『まぁまぁ、まずは魔王に囚われているというクリスティーン王女を見つけないと』『ビルヒーの言う通りだな』 城内はレイトが想像していたよりもずっと単純な構造になっていた。(城の中が迷路になっているなんて誰が考えたんだろう?) ほんとだね。  王様が住む城が迷路になってたら住むの大変だよね。  でも、日本の城はトラップだらけの迷路だねぇ。  ま、他の国と
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青年はついに魔王城に侵入して王女を探す2

 囚われの王女は魔王の居住スペースからは離れた場所にあるだろう幽閉用の客室に、二体のデーモンに見張られ閉じ込められていた。『下位デーモンね』 アシュレイが念話で語りかけてくる。『この戦闘は避けられそうにないな』『なるべく一撃で倒しておきたいね』『部屋の中はクリスティーン王女一人なのでしょうか?』『どうだろう? ただ、拐われた時すでに光の巫女として力が覚醒し始めていたことを考えると、魔王以外の魔族がクリスティーンに近づけるかはあやしいと思うな』 レイトの言う通り、魔王の攻撃でさえ阻む光の巫女の障壁が魔王以外の魔族に破れるとは思えない。  ただ、クリスティーンがどのように囚われているかは判らない。『考えてたって埒はあかない。覚悟を決めていくぞ』 ソフィアの檄に覚悟を決めた四人はそれぞれに武器を手に構える。『先制はあたしに任せな』 ヴァネッサがいう。  肩を回しながらいっているんじゃないかとレイトに思わせる言い草だ『同時がいいんじゃないか?』 と、レイトが訊ねたが、『この石を握ってなきゃ念話ってやつができないんだから、同時には難しいな』 と、却下される。  そりゃそうだ。『じゃあ私がヴァネッサが攻撃をしたのを合図に右側のデーモンを倒そう』『ってことはあたしは左側のやつを倒しゃいいんだね?』『向かって左側ね』『向かって、ね』 話し合いがすんで二人が忍び足で移動する。『じゃあ私とレイトは魔法の準備ね。魔法を唱えた瞬間に姿が現れるからそのつもりで』『了解』 レイトは握っていた小石を懐にしまい、その時を待つ。  デーモンの短い悲鳴と同時にヴァネッサが姿を現す。  喉を斬り裂かれたデーモンは血飛沫は派手に噴き出すが叫ぶことができない。  突然のことに驚いたもう一体のデーモンも、背後から延髄を斬られて絶命する。「それにしても使っ
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青年はついに魔王城に侵入して王女を探す3

 ヴァネッサが二体のデーモンが完全に絶命しているのを確認したところで、アシュレイが開錠の魔法でドアを開ける。「姫っ!」 ソフィアが我先にと部屋の中へ入る。  レイト達も後に続くと、そこにはクリスティーンではなく華奢なデーモンが一体、部屋の中央に立っていた。「貴様何者!?」「それはこちらのセリフだ。よくも人の分際でこの魔王城に侵入してきたものだ。それもたった三人で……いや?」 そういうと、何かの魔法を唱え始める。「なるほど、姿を消す魔法か。姑息な」 デーモンは再び別の魔法を唱える。  すると、レイトとビルヒーの姿が現れた。「それにしても五人とは……ずいぶん舐められたものだ」 そして三度魔法を唱え始める。「まずい、攻撃魔法よ!」 アシュレイの警告にレイト達が行動を起こす。  ソフィアとヴァネッサが左右に散開する。  レイトはビルヒーとアシュレイを庇うように移動するとレジストマジックの魔法を唱える。  庇われる二人もそれぞれに魔法を唱え出す。  魔法合戦は、神への祈りで発動するビルヒーのブレッシングが最初に発動した。  次に攻撃魔法より防衛魔法の方が発動が早いのか? はたまた主人公補正なのか? レイトのレジストマジックが発動する。(これで最悪の事態は避けられるはずだ) グッジョブだ、レイト!  さすがに後から唱え出したアシュレイがデーモンに勝つことはできなかったらしい。  デーモンの攻撃魔法はアイススピア。  これまでアシュレイの使ってきたアイススピアよりサイズも数も多い。  その全てをレジストすることは無理だったが、レイトの魔法はその大半を防ぎ、体を張って被弾したことで後ろの二人を無傷で守ることができた。  アシュレイが放ったのは得意のマジックミサイルだ。  同時に七本を生み出し発射する。  炎や氷などに変換して放つ他の魔法と異なり、純粋な攻撃魔力の塊である魔法の矢は標的を外すことがない。  全
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