All Chapters of ゲーム中にモニターに吸い込まれたら異世界を冒険するハメになった: Chapter 81 - Chapter 90

109 Chapters

青年は新たな旅の仲間と旅に出る2

「ご安心なさい。わたくしはいけませんが、娘がお供いたしましょう。当年とって十四歳とまだ年若い娘ですが、この人類の試練のために神が使わした聖女です。きっとあなたたちの力になることでしょう」「ありがとうございます」 礼拝室に案内してくれた僧侶が、最高司祭の意を汲んで連れてきたのは幼い顔立ちの美少女だった。 十四歳といえばレイトの世界では中学二年生。 現代でもそれなりに大人びてくる年頃だ。 ましてやここは文明レベルが二つばかり未熟な世界で人々は早熟のきらいがあり、総じて大人びて落ち着いた雰囲気を漂わせている。 そんな中にあってともすれば小学生にも見える目の前の少女はそれだけでも異質かもしれない。 それにしても本当にこのふっくら美人から生まれてきたのか? と、疑問に思うくらい顔が小さく背は高くないのに手足の長い華奢な少女は、目をキラッキラと輝かせて錫杖を両手で胸の前に握りしめている。「お母様、ついにその日が来たのですね」 小さな鈴がシャリシャリと鳴るような快活な声はレイトの聖女イメージとはちょっと遠い。「ビルヒルティス。あなたにはこの国の、ひいては人類の存亡がかかっているのです。そのことだけは忘れないでくださいね」「もちろんです! お母様」 聖女を仲間に加えた一行は、一路北東に進路をとる。「まだ仲間を募るのか?」 馬車の御者席に座るレイトはその先を行く騎馬のソフィアに声をかける。「当然だ。このパーティはバランスが悪すぎる。お前は魔法も使えるらしいが、基本は剣士だろう?」「ああ」「ヴァネッサも剣士、私も騎士だ」「なるほど、魔法使いが必要ってことだな」 うん、話が早くていいね、レイト。 RPG的に考えればそうなるさ。「アテがあるのか?」「うむ、これから行くのは大賢者バガナス様のお住まいだ」「お、いいね。すげー魔法をバシバシ使ってくれそうだ」「そうだといいんですけどね」 
Read more

青年は新たな旅の仲間と旅に出る4

「改めて自己紹介といこうじゃないか。お互い名前くらいは知っとかないと。だろ?」 と、視線を大賢者の弟子に向ける。「そうだな。俺はレイト。魔法戦士だ」「私は女騎士ソフィア。ついでに言えば……というかちゃんと補足するべきだと思うから言っておくが、このレイトは次元の回廊を越えてきた救世主であり、魔王に『光の巫女の守護者』と呼ばれていた男だ」「あたしはヴァネッサ。神殿遺跡のダンジョンに暮らしていたアマゾネスさ。ダンジョンの中は退屈だったってのもあるんだけどさ、レイト結構いい男だろ? だから一緒にいるってわけ」 そういや、最初の出会いからずっとそんなこと言ってたな。 物言いがあまりにもストレートすぎてレイトはどうとっていいものやらイマイチ計りかねているみたいだけれど。「私は最高司祭アデルグンティスの娘ビルヒルティス。名前長いんでビルヒーって呼んでね」「聖女様……なのか?」 そうだよねー、口調といい態度といい世間一般の聖女のイメージからはちょっとずれててらしくは見えないよねー。 あまりにも率直な確認だったが、「そうだ」 と答えたのはソフィア。 そこらへん、やっぱり律儀だな、騎士だけに。「……わたしはアシュレイ。大賢者バガナスの弟子だ。…………わたしは……」 長く沈黙した後、意を決してまぶかにかぶったローブを脱いでこういった。「わたしはハーフエルフだ」「キレイ」 最初に漏れた感想がビルヒーからのそれだったことにアシュレイはかなり戸惑ったようだ。 実際、レイトの感想も同等以上のものだった。 長く艶やかなシルクのような髪はこんな文明レベルの低めな世界でサラサラと風になびくし、透き通るような白磁のようなきめの細かい肌に切長の目、スッと通った鼻筋とふっくらと柔らかそうな紅も引いていないのに唐|紅《
Read more

青年もドッキドキだったけどそれ以上に彼女もドキドキしていた

 五人の冒険者は進路を北西に取り、街道を進む。  この辺りまで来ると街道だと言うのにかなりの頻度で怪物の襲撃に遭う。  もっともハジマリの村サイショノ村で「異世界の旅人」と呼ばれ、王国の伝説にある「次元の回廊を越えてきた救世主」であり、光の巫女王女クリスティーンをさらった魔王には「光の巫女の守護者」と言われたレイトを筆頭に(二つ名多いな……)過酷なダンジョンを生き抜いてきたアマゾネスヴァネッサ、国王にこの王女奪還任務を託された女騎士ソフィア、最高司祭アデルグンティスの娘聖女ビルヒルティス、大賢者バガナスが自分の代わりにと送り出したハーフエルフのアシュレイというそうそうたるメンバーがちょっとやそっとの襲撃にブルうはずももなく、わりと問題なく撃退していく。(これだけ敵を倒せばそろそろレベルが上がってもいい頃なのにな……) ヴァネッサ、ソフィアと物理攻撃で文字通りロックゴーレムを粉砕したレイトが声に出さずにつぶやく。  あー……そこに気づいちゃいましたか。(これはあれか? 謎システムで強くなっていた今までと違ってリアルで、フィジカル的に強くなれってことか? それはあれだな、結構厳しいシステムだな) 大賢者の塔からこっち、出てくるモンスターは今倒したロックゴーレムやストーンゴーレム、アンデッドのスケルトンにジャイアントスパイダー、ジャイアントアントなど虫系が多かった。(動物系モンスターとか人型だとやっぱグロいんだろうか?) とか、呑気に(?)考えているあたりまだ余裕があるようだ。 …………。 いやいや、スケルトンは人型だろ。  骸骨だから血とかは飛び散らないけどさ。「それにしたってこうゴーレムばかりだといくら魔剣であっても刃こぼれしてしまうぞ」 ソフィアが心配そうに剣身を確認しながら嘆く。  改めて自分の剣を確認したレイトは言葉もない。  そりゃそうだ、レイトの剣だけ魔法の付与がない。「うわぁ……」 それを覗き込むヴァネッサがひどく残念そうな表情でいう。「判ってて殴ってたのか?」「え? い
Read more

青年もドッキドキだったけどそれ以上に彼女もドキドキしていた2

 一行が日暮れ前にたどり着いたのは町というよりそこそこ大きな村だった。  村で唯一という宿屋の親父はあまりすまなそうな表情を見せずこういった。「すいやせん。今日は混んでまして、二人部屋が二部屋しか空いてないんすよ」「空いてないのであれば仕方ない。ビルヒーもアシュレイも小柄で華奢だから三人で寝てもなんとかなるだろう」「ちょっ!?」 レイトが抗議する間もなくソフィアはちゃっちゃと宿代を支払ってしまう。  まあ、村で唯一の宿で二部屋しか空いていないってんだからしゃーない。  部屋番号を教えられ、とっとと階段を上がっていく四人に居心地悪そうについていくレイト。  番号を確認してどちらの部屋も確認したソフィアは仲間を振り返る。「さて、どうやって部屋を割り振る?」「私とビルヒーは一緒の方がいいんだろ?」「そうだな」「あの……」 もじもじとビルヒーが上目遣いでチラリとレイトを見てからソフィアに言うことにゃ「聖女として殿方と同衾するのは困るのですが……」 途端にソフィアの表情が固まる。「あっはっは! じゃあ、あたしがレイトが夜這いをかけないように一緒の部屋で番をしてやるよ」 それを聞きながらみるみると顔を赤らめるソフィア。「す、すると私がレイトと一緒の部屋……なのか?」 ここに至ってようやく事態が飲み込めたようだ。「そうなるね?」 ヴァネッサはソフィアを横目に見ながらニタニタと笑う。「そ、そうなるのか……そうだな。それしかないよな……」 いや、たぶん他にもあるぞ、選択肢。「じゃあ、あたしらはこっちな」 などと笑いを堪えながら二人の肩を抱きながら部屋に入っていくヴァネッサ。  棒立ちの二人に沈黙がおりる。「あー、なんだ……疲れたから早く部屋に入ろうや」 レイトがそう言ったのを待っていたようにギギときしむドアを少し開け、いたずら全開の表情をうかべてヴァネッ
Read more

青年もドッキドキだったけどそれ以上に彼女もドキドキしていた3

 レイトが部屋に入ると、こちらに背を向けて鎧を外しにかかっているソフィアがいた。 足のパーツ、腕のパーツとゆっくり外していくソフィア。「……鎧って、一人で脱ぎ着できるのか?」 ふと疑問に思ったことをなんの気なしに口にしたレイトであった。 しかし、ソフィアの方はビクリとして動きを止めてしまう。「?」「…………」「どうした?」「一人では……脱げない…………」「なら早くいえよ、手伝ってやるから」 言いながらソフィアに近づくと、ソフィアはさっきよりも大きくビクリと反応する。「あ! ああ」 その反応でようやくレイトも自分が何を言っているのかに思い至ったようだ。「悪いな、ヴァネッサでも呼んでこようか?」「い、いや……レイトでいい。手伝ってくれ」(レイトでいい……か。ちょっと落ち込むなぁ) とはいえ、落ち込む一方でドキドキしているのも事実である。 自分以外全員女性(しかも揃って美形ときてる)であることが確定した時、旅の間はパーティ内でいざこざにならないようにメンバーに手は出さいないとひとり誓ったレイトである。 しかし、そこは若い男である。 これはある意味またとない役得ともいえた。 ソフィアに気づかれないように慎重に生唾を飲み込み、腰回りのパーツを外す。 しかし、そこには誠に残念なことにゴワゴワの、金属鎧から肌を守るための味気ない革のズボンがあった。 文化水準のせいだろう、ヒップラインのまったく判らないシルエットだ。(…………) おい、レイト、お前今舌打ちしようと思ったろ。 気を取り直して(?)胸当てを取り外すのを手伝うレイト。
Read more

青年は若干浮かれていた頭をハンマーで叩かれたような気持ちになる1

 寝るにあたって旅の埃まみれな外着を着たままってわけにもいかなくて、下着姿になったソフィアの(と言ってもひもで縛るカボチャパンツと味気ないシャツなんだけど)ヴァネッサにも劣らない膨らみは、レイトにとって目の徳……いやいや、目の毒だっだ。  なんとか誘惑的な一晩を乗り切ったレイトは、悶々としながら買い出しに出ることになった。  もちろん一人で行動できるはずもなく、今日も引き続きソフィアと行動を共にしている。(……非常に気まずい) 鎧を着ていないソフィアはだっふりしたAラインの筒型貫頭衣を腰紐で縛っているだけという体の線が出るようなデザインではないはずのものなのに、胸のボリュームが服を持ち上げ頭を通すために広く開いた襟から谷間が見えている。  これがあの一見スレンダーに見える鎧の下に隠されていたのかと思うほどのボリュームだ。 なんたる暴力、なんたる破壊力なんだ。  けしからん! 心持ち腰の引けた格好で歩くレイトを不思議そうにチラチラと見てくるソフィアに、無言を貫くレイト。  世間知らずのソフィアはともかく奥手とは言えないレイトの苦悩は続く。「食料はヴァネッサたちに頼んでいるからいいとして、私たちは武具、特にレイトの剣のために鍛冶屋に行くのでいいのだな?」「おう」「…………」「…………」「レイト」「なに?」「私はなにかレイトにしたのだろうか?」「え?」「いや、今日のレイトはどうもよそよそしいと思うのだ。これでは先が思いやられる。私に悪いところがあるのなら言ってくれ。昨日、私はレイトになにをしてしまったのだ?」 ナニもしていないのが問題なんだよ、ソフィア。「あー……」 さて、レイトはどうやってこの窮地を抜け出すのか。  見ものだな。「俺は男だ」「知っている」 いや、たぶん判ってないぞ。「いや、その……」「?」「俺以外みんな女の子だ」
Read more

青年は若干浮かれていた頭をハンマーで叩かれたような気持ちになる2

「ソフィアは性教育を受けたことがあるか?」「せ!?」「性教育だ。男と女の教育だ」 お、こりゃストレートに攻めてきたな。「そ、それは……うん……」 顔を真っ赤にして下を向くソフィア。  まあ、昨日のリアクションから考えても知らないわけがないよな。「ぶっちゃけ、四人ともかわいいし……あ、十四歳はちょっとアレだけど、そういうことをしたいと思っちゃうわけだよ、男として」「そっそそ、そういうことってのは、つまり、アレか? その……ひとつになるというその……」「それだ」 ソフィアは断言されて金魚のように声もなく口をパクパクさせる。「でだ、グループ内で好きの嫌いの、ヤったのヤらないのって問題はよくないから、誰にも手を出さないって俺は神様仏様に誓っているんだよ。で、昨日のアレだろ?」 と、すげー早口でまくし立てる。  それにしても「ヤったのヤらないの」ってレイトってば、いやん♪「わ、私もその、『かわいい』のか?」「あー、かわいいというか、美人というか……」「美人……」 そこに引っかかりましたか、本当ならこの世界に存在しない「仏様」に引っかかって欲しかったよ。「それは……大変だな」 なにが大変なのか理解してるのか?「そういうことだ。だから、そのナニをしたというわけじゃないんだ」 そうだな、ナニはしてない。「か、考えとこう」 なにを?「なにを?」「え? なにを? ……その…………」「うちの店の前でいちゃつかないでもらえないかね」 いつの間にか目的地である村の外れの鍛冶屋の前についてもなお、その話をしていたらしい。  慌てて、レイトは剣を差し出す。「手入れをお願いしたい」 鍛冶屋の親父は、鞘から抜くやいなや一言「こりゃもうダメだな」 と、言い放った。「あーあ、こんな|業物《
Read more

青年は若干浮かれていた頭をハンマーで叩かれたような気持ちになる3

「言っとくが、俺んとこみたいな田舎の鍛冶屋に代わりを望むのはお門違いだからな」「判っている」「しゃあねぇな、研ぐだけ研いでやるよ」 と、刃こぼれをおこしている剣を研ぎ出してくれるあたり、なんのかんのと優しい親父だ。  難しい顔をしてようやく二本の剣を手に取ったソフィアは「この出来ならもう二、三本は欲しいところなのだが……」 なんて呟いている。「おいおい、お前さんたちどこに行くつもりでいるんだ」 鍛冶屋の親父がそろそろ研ぎ終わる頃だった、血を流した少年がよろよろと鍛冶屋にたどりついた。「坊主、どうした!?」 顔見知りなのだろう、親父が血相を変えて少年に駆け寄る。「その子は?」 さっとソフィアの顔がキリリとした騎士のそれに変わる。「村の外縁に畑を拓いていた家の子だ。おい、坊主、しっかりしろ!」「おじちゃん……助けて、父ちゃん母ちゃんと妹たちを……」「ソフィア、ビルヒーを探してくるんだ」「判った」 治癒魔法が使えるビルヒーを探しにソフィアが村の中心部へと走る。  こんな事態は想定していなかったからポーションも携行していない。  鍛冶屋の親父は救急セットを取りに奥へ引っ込む。  平和ボケとも言える頭をガンガンと叩きたい気持ちを抑えて、レイトが少年に話しかける。「なにがあった? 答えられるか?」「モンスターが出たんだ」 か細い声が問に答える。「モンスター?」「モンスターならなんとかなるだろ?」「どういうことだ?」「ああ、こいつの両親は元冒険者だ。外縁の開拓なんてそんな奴らじゃなきゃできることじゃねぇからな」「なるほど」「ここら辺に出てくるモンスターで父ちゃん母ちゃんが苦戦するような奴はいないだろ」「見たことない奴なんだ」「なに!?」「背中からコウモリみたいな羽を生やした大きいやつで
Read more

青年は新しい必殺技を編み出したけどちょっと欠点が大きすぎる1

 ソフィアがビルヒーたちを連れて戻ってきた。  武具防具を抱えているあたりに冒険者いや、騎士の矜持を感じられる。「これはひどい……」 しばし絶句したビルヒーだったけれど、そこは幼くとも聖女だ。  手を組み心を落ち着かせると、少年の傷口に手を当てて祈りの言葉を唱え始める。  長い祈りは重篤の治癒のものだ。  治癒の魔法には三種類ある。  軽傷の治癒、重篤の治癒、瀕死の完治。  祈りの言葉は聖職者なら誰でも知っている。  しかし、お題目を唱えるだけでは魔法は発動しない。  僧侶魔法は言葉に力が宿り神が応えてくれて初めて神の奇跡を顕現させる。  この国で瀕死の完治が使えたのはビルヒーの母アデルグンティスただ一人。  その血を継いでいて聖女と呼ばれているとはいえ彼女はまだその奇跡を体現したことがない。  だからこそ彼女は確実に発動する重篤の治癒を選択したのだ。  しかし、少年の傷はふさがらない。「神よ私に……いえ、この少年に加護と祝福をお与えください」 深く息を吐き、大きく息を吸ったビルヒーは普段の小さな鈴のような声ではない凛とした響きをたたえた発声で長い長い祈りの言葉を紡ぎだす。  僧侶魔法は想いの発露だ。  彼女の祈りは神に届き、今奇跡がもたらされた。  傷口が見る間にふさがり、傷痕一つ残らず文字通り完全に治ったのだ。  大きくため息をついたビルヒーの肩から力が抜ける。「よくやったな、聖女様!」 バンバンとヴァネッサがビルヒーの背中を叩く。「痛い、痛い」「ホッと一息つきたいだろうが、そうもいかない」「ソフィアの言う通りだ。襲ってきたのはただのモンスターじゃないそうなんだ」 レイトは少年から聞き出した話を手短に説明する。「それは魔族か、あるいは魔族が使役する何かに違いないわ」 アシュレイの頭の中にはいくつかの名前が浮かんでいるようだ。
Read more

青年は新しい必殺技を編み出したけどちょっと欠点が大きすぎる2

 レイトとソフィアがヴァネッサとアシュレイに手伝ってもらって鎧を身につけている間にビルヒーが鍛冶屋の親父から道行きを詳しく聞き出す。  焦る気持ちが自然に彼らの足を早める。  街道から外れた林の中に拓かれた小さな開墾地。  そこで彼らは異形のモンスターから娘を守る絶望の戦いを続けている夫婦を見つけた。「よかった、まだ生きている」 ソフィアの言葉にはしかし安堵のニュアンスは微塵もない。「ミサイル!」 アシュレイの唱えたのは魔力を直接的にぶつける絶対命中の魔法だ。  立て続けに五発。  それによってモンスターの注意がこちらに向く。「よくやった」 ソフィアはこちらを向いたモンスターの注意をさらにひくため両腕をクロスして打ち鳴らす。「ビルヒー、ヴァネッサ、隙を見て親子を」「あいよ」 魔力を充溢させたアシュレイが再びミサイルを放つ。  今度も五発、どうやら一度に撃てる数のようだ。  モンスターはうがいのようなゴボコボとした叫びをあげてゴリラのように突っ込んでくる。「レイト、ソフィア、気をつけて。ガーゴイルよ!」 剣で迎え撃とうとしていたレイトは瞬時に剣を引いてフリーズの魔法に切り替える。  わずかに突進力が弱まり、三人はなんなくガーゴイルを避けることができた。「なぜ剣で戦わない?」「いえ、レイトの判断は正しいわ。ガーゴイルはゴーレムの一種なの。それも魔法の武器でなければ傷もつけられない」(やっぱり) さすが、ゲームオタクだ。「そんな……こんなモンスターが次々と現れては我が国はどうなる!?」 ソフィアの表情が険しくなった。  無理もない。  鍛冶屋の親父が言っていた通り、レイトの持つ「鋭利な鋼鉄の剣」でさえ王国では十本のうちに数えられるだろう国宝級の剣なのだ。  槍や斧といった他の武器にも魔法の武具はあるだろうが、何十本と揃えられるような代物じゃあない。  しかも、その剣が度重なる戦闘で
Read more
PREV
1
...
67891011
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status