「それにしても……」 と、ソフィアがいう。「派手に戦っていたというのに増援が来なかったな」「私も城の中を探索していて守兵が少ないと思ってたわ」 アシュレイも気になっていたようだ。「なにか理由があるのだとしても、こちらには都合がいいのだし、このままクリスティーナを探そう」「他にできることはないしな」 その後、彼らは何度かの遭遇戦を行ったけれど、どの戦いも散発なもので騒ぎを聞きつけて増援が来るなんてことはなかった。「あとは、危険と踏んで後回しにした奥と謁見の間くらいか」「ええ。レイト、どっちを先にする?」「奥だな。魔王だって、昼間っから寝室でくつろぐなんてことはないと思うんだ」「あたしは昼間っから酒食らってくつろいでいたいけどね」「仮にも王がそれは無理でしょ?」 アシュレイのいうことももっともだ。 五人は慎重に、できる限り接敵しないように注意して「奥」つまり魔王のプライベートスペースへと侵入する。 そこは生き物の気配が全くしない空間だった。 かといって、おどろおどろしい雰囲気もない。 極めて変哲のない私的空間である。 だからと言って気を抜くわけにもいかない。 モンスターの中には無生物由来のものもいる。 いつ、突然襲われないとも限らないのだ。(なにもなさすぎて、かえってゾクゾクするなぁ) その気分はなんとなく理解できるよ、レイト。「ここが突き当たり?」「っぽいですね」「かすかに気配があるわ」「かすかってことは魔王じゃないってことかい?」 ドラゴンの気配はずいぶん遠くからでも感じ取れた。 だとすれば、魔王だってそうなんじゃないか? ヴァネッサはそう言いたいようだ。「希望的観測で危機に陥らないように注意はしよう」 レイトは、そういって鞘から剣を引き抜くと、みんなの準備を待って大きな扉を開く。 そこは
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