帰還の旅の最大の試練は魔王軍の一団に出くわしたことだった。 魔族の大男に率いられた十人の魔族兵と二十体はいるだろう魔獣の軍団だ。 しかし、幸いなことに敵軍で大きな傷を負っているように見えなかったものは指揮官らしい大男くらいで、その大男にしても無数の傷を負っていた。 数の上では劣勢であっても魔王を倒した無傷の英雄たちである。 先制はレイトのフレイムウェーブだった。 火の波が魔王軍を襲っている間にクリスティーンとビルヒーがブレッシングの魔法を唱える。 二重がけのブレッシングはホーリーブレスとなり、神の過剰なほどの加護を味方に与える。 そこに当然のようにアシュレイのアクセラレーションが付与されれば、魔族といえども対応の難しい神速の剣戟が生まれる。 これをたった一人で受けて反撃までしてきた魔王がどれほど規格外の存在だったか。 レイトは今更ながらに身震いしてしまう。 これほどまでに過剰なバフを与えられて、魔王軍に遅れをとる冒険者たちではない。 カーナが一人で若いワイバーンを一体倒す間に冒険者は残りの魔獣を倒して魔族との戦いに入っていく。「やれますか?」 王女クリスティーンに問われたカーナは一度強く奥歯を噛み締めるとキッとまなじりを上げて力強く宣言する。「もちろんです」 クリスティーンに向かって襲ってきた魔族を迎え撃つカーナは長く鋭い爪を亡き隊長の形見である長剣で受け止めると、その腹を蹴り押す。 わずかに開いた間合いを自ら詰めると両手でもった剣で力の限り横一閃、硬く重い手応えを受けて止まりそうな勢いを雄叫び上げて強引に振り抜く。 一刀のもと両断された魔族の上半身が地面に落ちるのを確認せずに周囲の状況を確認すると、すでに指揮官の大男以外の魔族はすべて冒険者たちに倒されていた。「なんて強い人たちだ」「英雄と呼ぶにふさわしい方達でしょう?」 クリスティーンがカーナの独り言にそう答える。「確かに」 その間にも冒険者たちの攻撃は最後の魔族に向けられていた。 剣士三人の攻撃は
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