昨夜から瑛司が泊まっているが、朝になっても雨は一向に止む気配がなかった。それほど激しい降りではないものの、彼もなかなか帰ろうとはしない。自室で一人座っていた絵理奈は、美咲から送られてきた招待状の写真を見ていた。「どうしよう……今夜、明日香の結婚式じゃない」絵理奈はこめかみを押さえて呟いた。「招待状にはペアでって書いてある。つまり、瑛司を連れて行かなきゃいけないのね」下唇を噛み、指先で顎をトントンと叩く。瑛司は忙しいはず。どうやって『友達の結婚式に付き合って』と頼めばいいのだろう。「みんな、きっと旦那さんを連れてくるわよね……」絵理奈は唇を尖らせた。小さく息を吐き、意を決して頷く。「よし、瑛司に話してみよう。きっと聞いてくれるはずよ」と自分に言い聞かせる。絵理奈は立ち上がり、足早に一階へ降りて彼を探した。リビングへ向かうと、瑛司がソファに座り、膝にノートパソコンを広げて仕事をしているのが見えた。「瑛司」近づきながら、小さな声で呼ぶ。彼は素早く顔を上げ、傍らに立つ妻を見て眉を上げた。「どうした、絵理?座って」瑛司は自分の隣の空いたスペースをポンポンと叩いた。絵理奈は素直に彼の隣に腰を下ろした。妻が何か重要なことを話したがっているのを察し、瑛司はノートパソコンを閉じて彼女に向き直った。「何か言いたいことあるのか?」絵理奈は素早く頷いた。「ええ。あの……今夜、職場の友達の結婚式があって、私にも招待状が来ているの。他の友達もみんな旦那さんを連れてくるから、あなたにも一緒に来てほしくて」絵理奈はうつむき、情けない顔で頼み込んだ。その理由を聞いた瑛司は、小さく咳払いをして、わざといじわるな視線を絵理奈に向けた。「それで?」「私のために、一度だけでいいから結婚式に付き合ってくれない?お願い」期待を込めた眼差しで尋ねる。瑛司はうつむき、額を軽く掻くふりをした。「うーん……どうしようかな」「だめ?忙しいの?」絵理奈が食い下がる。「ああ、ものすごく忙しい」と瑛司は絵理奈を見つめたまま答えた。彼は内心でくすりと笑った。あからさまに落胆する妻の姿が可愛くてたまらず、つい意地悪をしてからかいたくなったのだ。「だが、もっと甘く可愛くお願いしてくれたら、考え直してもい
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