亮は朗らかに笑ってグラスを掲げた。「おめでとう!ほんとにお似合いだ!叔父として祝わせてもらうよ。いつまでも仲睦まじく、末永くお幸せにな!」隣にいた芳子も慌ててグラスを掲げた。顔には親しげな笑みを浮かべているのに、指先は無意識にグラスの脚をきゅっと握りしめている。「湊、明乃ちゃん。おめでとう。幸せな家庭を築いて、子どもにも恵まれますように」「亮さん、芳子さん、ありがとうございます」明乃は礼儀正しくお礼を言った。湊は口角をわずかに上げ、二人とグラスを合わせたが、その視線は芳子の震える指先に一瞬だけ止まり、すぐに何事もなかったかのように逸らした。メインテーブルでの挨拶を終えると、二人は他のゲストたちの席へと向かった。芳子は付かず離れずの後を追い、湊が持つグラスをじっと見つめていた。鼓動は激しく打ち鳴らされている。ようやく一通りの乾杯がひと段落すると、彼女はすぐに割り込んだ。「まあ、いちばん肝心な乾杯を忘れてたわ!大事な儀式でもあるからね!新郎新婦同士が乾杯すれば、縁起もいいしね!」そう言いながら、彼女は焦るように会場の隅へ視線を向け、声を張り上げた。「陸!早く、湊たちに新しいグラスを持ってきなさい」陸はうつむいてスマホをいじっていたが、その声を聞くと煩わしげに舌打ちし、のろのろとスマホを置いた。傍らには、赤い絨毯を敷いたトレイを捧げたスタッフが既に待機しており、そこには透き通った酒の入った二つのグラスが載っていた。陸はそれをちらりと見ると、トレイを受け取って長い足を揺らしながら歩み寄り、だるそうに言った。「ほら、酒だ」芳子は陸が持つグラスを、特に湊が受け取ろうとしている方を食い入るように見つめた。心臓は喉から飛び出しそうで、手のひらは冷や汗でびっしょりだったが、顔には無理やり笑顔を張り付けていた。湊は差し出されたグラスを淡い目で見やり、それから緊張しきった芳子の顔を窺うと、瞳の奥がわずかに深まった。彼は陸から差し出されたグラスを受け取り、指先でしっかりと支えた。「お前もこれで家庭を持つ身だな」グラスを受け取った瞬間、幸之助が思わず口を開いた。「わがままを抑えて、明乃ちゃんを大切にするんだぞ。もし泣かせるようなことがあれば、俺が黙っちゃいないからな」「ああ、分かった」湊はそっけなく答えたが、その視線は平静を装う
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