陸はイライラしながら金色の髪をかき上げると、キャビネットから酒の瓶を取り出した。グラスも使わず、そのまま口をつけて飲み干した。喉を焼くような刺激も、胸の内で燃え広がる苛立ちと……自分でも認めたいくない一抹の不安を消し去ることはできなかった。婚約パーティーの日、母親が見せた不自然な動揺……その後に控室の外で耳にした、断片的な会話……湊が言っていた、あの小さな薬瓶のこと……彼は馬鹿ではない。いくつかの事実を繋ぎ合わせれば、考えたくもない一つの答えに行き着く。兄の死は、おそらく……事故などではない。そして、自分の母親や叔父までもが、それに関わっている可能性があるのだ。その疑念は毒蛇のように心に居座り、昼夜を問わず彼を蝕んでいく。それに……目の前に、明乃の血の気がすっかり引いた青白い顔と、死んだように沈んだ瞳が、勝手に浮かんで離れない。心臓を強く締め付けられるような感覚に襲われた。事務所に来たばかりの頃、彼女の瞳はあんなにも生き生きとして、輝いていたのに……今の彼女は、少しずつ枯れていく植物のようだ。言いようのない罪悪感が、重くのしかかる。彼は顔を上げ、再び酒をガッツリ飲んだ。混乱する思考と、抱くべきではない感情のすべてを、無理やり抑え込もうとしていた。……夜、明乃は一人で家に戻った。がらんとした部屋は、自分の鼓動が聞こえるほど静まり返っている。明かりもつけず、窓から差し込む月明かりを頼りにリビングの掃き出し窓の前まで歩いた。今夜は月が美しく、星もきらめいている。明乃は顔を上げ、無意識にあるものを探した。すぐにそれが見つかった。湊が教えてくれた、曇りの日でもかすかに光を放つ、一番明るい星。それは変わらずそこにあり、冷たい光を放っている。明乃はじっとそれを見つめていた。長い、長い時間。そして、ゆっくりと目を閉じ、心の中でその名を繰り返した。藤崎さん。藤崎さん。藤崎さん。三度唱え終え、目を開ける。目の前にあるのは冷たいガラスだけで、そこには孤独な自分の姿が映っている。あのフレッシュなウッディの香りがする腕も、温もりも、そこにはない。何もなかった。涙が音もなく溢れ出し、襟元を濡らした。最初は抑えたすすり泣きだったが、次第にこらえきれなくなり、
Read more