陸は明乃の手を握り、銃口を自分の胸に押し当てた。薄いジャケットの生地越しに、その下の引き締まった筋肉と……落ち着いて力強く打つ心臓の鼓動が伝わってきた。明乃は全身が冷え切った。彼女は陸を食い入るように見つめ、唇を震わせた。「私を追い詰めないで……」「俺が追い詰めてる?」陸は笑った。低く掠れた笑い声だった。「いったい誰が誰を追い詰めてるんだ?」陸は身を乗り出し、銃口が胸に食い込んだ。「お前は心の中で、とっくに俺が兄貴を殺すって決めつけてるんだろ?いいだろう、認めるさ。なら今、兄貴のために俺を殺せば、ちょうどいいじゃないか?」陸は明乃の目を見つめ、一語一語区切るように言った。「早く撃てよ」明乃の指は強張り、関節が白くなった。拳銃はあまりにも重く、その重さで手首まで震えていた。明乃は必死に振りほどこうとしたが、陸の手はビクともしなかった。「離してよ……」明乃の声には涙が滲んでいた。「この最低野郎が!」「ああ、最低だ」陸はあっさり認めたが、その眼差しはさらに深くなった。「俺はお前らが幸せそうにしてるのが気に食わなくて、悔しくて、兄貴を殺してやりたいんだよ。これで満足か?」陸は勢いよく明乃の指を掴み、引き金に押し当てた。冷たい金属の感触が電流のように、瞬時に全身を駆け巡った。明乃の瞳孔がぎゅっと縮んだ。「ちょっとやめてよ――」「そうこなくちゃな」陸は明乃を見つめた。その瞳の奥で何かが激しく渦巻き、また無理やり押し殺されていた。「さっきの握り方じゃ、撃っても弾がどこへ飛ぶか分からない」陸はほとんど手取り足取り教えるように、人差し指をトリガーガードの外に添え、親指と人差し指の付け根でグリップをしっかり押さえさせた。「今なら、軽く引くだけで――」「いい加減にして!」明乃は鋭く遮った。「あなたは一体どうしたいのよ!」「どうもしたくないさ」陸は声を落とし、明乃の顔を見つめた。その眼差しが微かに揺れた。「ただ、お前に選ばせたいだけだ」陸は一瞬間を置き、一語一語、喉の奥から絞り出した。「兄貴か、俺か」明乃は凍りついた。応接間は死んだように静まり返っていた。聞こえるのは、二人の押し殺した呼吸だけだった。重く、荒く、互いに絡み合っている。窓の外では最後の光が消え、暗闇が完全に覆い
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