玉希はスマホで、候補にしていたゴールドビーズをいくつか凛に見せた。「このへんがいいかなと思ってるの。あとで実物を何点か持ってきてもらえる?それを見て決めたいわ。全部で千点くらいになると思う」「分かりました。このあたりでしたら、どれも在庫があります」注文の確認が済むと、玉希はまた琴子のことに触れた。「母って、私たちが誰を選んでも気に入らないのよ。自分で見つけてきた見合い相手だって、結局は気に入らないんだから。兄もつい最近結婚したけど、昔、母に結婚を反対されてなかったら、今頃は子供が三人くらいいたかもしれないわね」玉希はそこで、少し遠い目をした。佐原家のきょうだいは、そろって目を引く顔立ちだった。玉希も映画女優を思わせる華やかな美人で、くっきりした目鼻立ちに、大きなウェーブのかかった髪がよく似合っていた。本人から聞いていなければ、三十五歳にはとても見えなかった。凛がコーヒーをひと口飲むと、玉希は少し真面目な顔になった。「こんなこと、私が言う筋合いじゃないのは分かってる。でも、蓮の姉としては、あの子には幸せでいてほしいの。母にも問題があるのは分かってる。あなたにだけああいう態度を取ってるわけじゃないのよ。あの人自身、そういうところがあるから」玉希は少し声を落とした。「うちのことも、あまり聞いてないでしょう?母は私と兄にとっては継母で、蓮にとっては実の母親なの。実の息子だからか、蓮には昔から特に厳しかったのよ」凛はわずかに目を見開いた。蓮からそんな話を聞いたことはなかったし、琴子から聞かされたこともなかった。玉希は小さく息をついた。「私があなたの立場でも、母とは距離を置いてたと思う。あの人が付き合いづらいのは、私もよく分かってるし、距離を置きたくなる気持ちも分かる。でも、私は蓮の姉だから、あの子のことは放っておけなくてね」凛は少し黙ってから尋ねた。「この二年、蓮は……どうしてたんですか?」「うーん……順調だった、とは言い切れないかな。起業なんて大変で当たり前だし、そのへんはあなたも分かると思うけど」玉希の表情が少し曇った。「お酒で何度か胃出血を起こして病院に運ばれたり、仕事の付き合いが続いて体を壊したりしてね。急性心筋炎で、半年以上入院してた時期もあったの」それから、少し困ったように笑った。
Ler mais