真理は立ち上がると、美月を抱き上げ、そのまま誠に渡した。ミルクはもうできていて、手の甲で確かめた温度もちょうどよかった。真理はまた元の席に戻った。凛は積み木を一つずつ丁寧に拭いていた。淡いピンクのロングワンピースはくるぶしまで届く丈で、座ると長い裾が脚をすっぽり覆い、やわらかく落ち着いた雰囲気に見えた。長い睫毛を伏せた顔にも、ほとんど感情の揺れは見えなかった。真理が凛の腕を軽くつついた。「凛さん、蓮さんとは……本当にもう終わったの?」三人は小さなリビングで子供たちを遊ばせていて、背後の入口に蓮が姿を見せたことには気づかなかった。真理がそう尋ねた時、蓮はすでに入口に立っていた。その言葉を聞いた瞬間、蓮はドア枠をつかんだ手にぐっと力を込めた。その視線の先で、凛は俯いたまま、瑛太と美月が遊んだ積み木を拭き、元の場所へ戻していた。「もう何年も前に終わったよ。私だって、最初からだめだと思ってたわけじゃないよ。ただ、この先も一緒にいることを考えたら、きっとつらくなるって分かってたから」結婚は、二人だけの問題ではなかった。どうしてもお互いの家族とも関わらなければならなかった。そんな中で無理を続ければ、いずれ疲れ切ってしまう。そう思ったからこそ、凛は早いうちに離れることを選んだ。そこまで話すと、凛はふっと笑った。「蓮さんのお母さんとは、顔を合わせるたびに気まずくなってたしね。蓮さんだって、間に挟まれて大変だったでしょ。私も、ああいうのはもう嫌だったの」遥も真理も、凛の言いたいことはよく分かった。凛はまるで昔のことでも話すように淡々としていて、未練らしいものは少しも感じられなかった。蓮には、むしろその何気ない口調のほうがつらかった。もう凛の中では、本当に終わったことなのだと思えた。これ以上聞いていられず、蓮は何も言わないままその場を離れた。凛がふと顔を上げると、入口の向こうを離れていく蓮の後ろ姿がちらりと見えた。どこか見覚えがある気もしたが、誰なのかまでは分からなかった。凛は深く考えず、小さく首を振って片づけに戻ると、真理のほうを見て笑った。「どう?子供のいる生活、悪くないでしょ?」「大変だよ。でも、やっぱり楽しいかな」子育ては、思っていた以上に大変だった。誠がほとんど面倒を見て
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