「いくら高くても構いません。結衣の体に負担がかからないものなら、何でも」「どれも体に優しい薬だよ。でも一番大切なのは、適度に運動させて、あまり過保護に育てすぎないことだね。子供なんだから、怪我に気をつけるくらいで、あとは自由にさせてやりなさい」周防教授は処方箋を書きながら、ニコニコと笑って言った。「君が小さかった頃は、これほど手厚くは育てられていなかったな。あの頃、君が木から落ちた時、君のお爺さんは君が泣くことすら許さなかったからねえ」湊は優しい目つきで、手を伸ばして結衣の小さな手に握った。結衣の髪の毛を剃るのが忍びなく、看護師に手の甲に点滴の針を刺すように頼んでいたのだ。結衣が動いて針が抜けてしまわないよう、湊はずっと彼女の手を握っていた。「結衣には、俺と同じ思いはさせません」周防教授は処方箋を手に取り、遥を見た。「一緒に薬を取りに来てくれるかな?」「はい」半歩ほど歩き出したところで、遥は振り返って病室を見た。風でカーテンの端がふわりと揺れ、長身の湊が身をかがめ、眠っている結衣を優しく、そして祈るような眼差しで見つめている。その表情には、言葉では言い表せないほどの深い愛情が溢れていた。遥の心臓が、理由もなくトクンと跳ねた。周防教授の後について部屋を出ると、彼が口を開いた。「普段、子供の面倒を見ているのは君かい?」「はい、そうです」周防教授は頷いた。「湊が忙しいのも無理はない。彼も子供の頃は、あんな性格じゃなかったんだよ。でも、彼のお爺さんがひどい古臭い人でね、何でもかんでも厳しく管理するんだ。昔、湊が犬を飼っていた時も、お爺さんは遊びに現を抜かすとは何事だとかいって、無理やり犬を他の人に送ってしまったんだよ」遥は目を伏せ、何も言わなかった。周防教授は、彼女がただ大人しい性格なのだと思い込み、そのまま話し続けた。「素直でいい子だったのに、あのお爺さんに育てられて、すっかり古臭い堅物になっちまった。自分の好きなものがあっても、絶対に口に出そうとしないんだ。ある時、うちにご飯を食べに来てな。妻が作った黒酢あんを彼が気に入ったみたいだったから、もっと食べるかいって聞いたら、あいつ、わざと好きじゃないなんて言うんだよ。あの老いぼれの奴め、子供が好き
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