真理は眉を上げた。「私みたいな二十代の女の子でも結構嬉しいから、二、三歳の子ならもっと喜ぶんじゃない?」「ケーキを寄越せ」真理はケーキを湊に手渡した。湊はふと何かを思い出し、真理を見た。「お爺様の言っていた相沢の娘って、誰のことだ?」「相沢凛(あいざわ りん)よ、お爺様はすごく気に入ってて、九条グループで働かせるつもりみたいよ。お兄ちゃんとの絆を深めるためにね……修伯父さんも了承したらしいわ」湊の眉が微かにひそめられた。スマホの着信音が鳴った。九条家の孫の中で二番目にあたる九条翔(くじょう しょう)からだった。翔が「兄貴、誕生日おめ……」と言いかけるのを、湊は遮った。「翔、俺たち九条家と取引のある家で、六十歳以上の独身の女性がいる家庭と、その女性の資料をすべてリストアップしろ」海の向こうにいる翔は、まだ実家で何が起きたのか全く知らなかった。湊はゆっくりとした口調で言った。「お爺様にお見合い相手を紹介してやる。ふさわしい外国人女性がいるなら、それでも構わない。うちは家柄問わないから、お爺様と気が合いさえすれば誰でもいい」「……」それ、本気か?「お爺様に相手を探す?あ、ああ、分かった。すぐリストを作ってくるよ」「できたら直接お爺様に送れ。もし気に入らなければ、また別の候補を探せばいい」翔は全く状況が呑み込めていなかった。だが湊の言葉は絶対だ。彼は指示を受けると、すぐに作業に取り掛かった。真理は驚いた。「お兄ちゃん、本当にお爺様に……お見合い相手探すの?」「何か意見でもあるか?」「ううん、滅相もない」湊はケーキを提げて立ち上がり、真理を一瞥した。そして唐突に言った。「来週の月曜、九条グループの本社に出社しろ。あの相沢なんとかと同じ部署だ」真理は思いもしなかった。家でゴロゴロしていただけなのに、突然仕事が降ってくるなんて。「え、えっ?私の給料、いくらになるの?」「基本給十万円だ」真理の奥歯がギリギリと鳴った。だが、湊の視線とぶつかり、彼女は愛想笑いを浮かべた。「お兄ちゃん、任せてよ!絶対に期待以上の働きをしてみせるから!」期待以上の働きなど必要ない。ただの邪魔さえしなければ、それで十分だ。湊は小さなケーキを提げて、都
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