あの男のその自信が、一体どこから湧いてくるのか全く理解できない。遥は恵の向かいに座り、尋ねた。「悠斗くんに会いたがってるの?」「別に会わせないとは言ってないわ。子供には父親が必要だし、男の子ならなおさら父親の存在は欠かせないもの。でもね、あいつは悠斗に会うたびに、あることないこと吹き込んで私の悪口を言うのよ!」恵は思い出すだけでも腹が立つ様子だった。「私の私生活を探ったり、悠斗に私がいくら稼いでるか知ってるかとか、再婚の予定はあるかとか聞き出そうとするの。挙句の果てにはママが新しい人と結婚して子供ができたら、悠斗のことはいらなくなるなんて言うのよ!これが親の言うこと!?」浮気して隠し子まで作った男がそんなことを言うとは、確かに滑稽だ。遥は小さく笑った。「彼は、世界中の誰もが自分と同じ考え方をしていると本気で思ってるんだから」「あいつがどう思おうと勝手だけどね!良心に目覚めて子供と向き合いたいのかと思ったら……悠斗の苗字を変えるのに、一億円払えなんて言ってきたのよ!どの口が言うのかしら!」恵は込み上げる怒りを抑え込むように、水を一気に飲み干した。遥は言った。「苗字の変更なら、そこまで面倒なことにはならないはずだよ」「そうなんだけど、以前はそれすらも面倒くさくてね。でももう大丈夫。あいつの会社にいくつか罠を仕掛けておいたから、今はあっちの株価は底を突いてるわ。昨日やっと苗字を変える書類にサインして、これで勘弁してくれって泣きついてきたのよ。それで、サインが終わった途端に、私は実家に頼り切りのパラサイトだの、悠斗を小さなパラサイトに育てる気かだのって暴言を吐いてきたのよ!」恵がここまで怒るのも無理はない。自分の元夫がこれほどまでに救いようのないクズで、取り繕うことすらやめてしまった。二人の間にあったわずかな思い出さえも色褪せるどころか、かえって底意地の悪さと生々しい悪意を帯びて、我が身を切り裂く毒へと変わってしまった。恵の瞳の奥に、一瞬冷たい光が走った。「今日ここへ来たのは、母と悠斗を真由美おばさんのところへ預けるためなの。この先しばらく、あるプロジェクトに掛かりきりになるから」「彼の会社を倒産させるつもり?」「そんなのつまらないわ。私はあいつを国外に追放し
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