翌朝、蓮さんは早く出社した。私が起きた時には、もういなかった。朝食の残骸が、テーブルに置いてあった。蓮さんが、一人で食べていったのだろう。いつもより少ない量だった。私は一人で朝食を食べながら、昨夜のことを何度も頭の中でなぞった。言い過ぎただろうか。でも、言いたかったことは、間違っていなかった気もした。「……萌花に電話しよう」スマートフォンを手に取り、萌花に電話した。『咲希?どうしたの』「……喧嘩した」『え、蓮さんと?新婚なのに』「うん」思い返してみれば、喧嘩なんて初めてかもしれない。どんな喧嘩だったか話すと、萌花はしばらく黙っていた。『咲希は、何が嫌だったの?』「帰りが遅いこと、じゃなくて……一人でいる感じがすることかな。私の話を、ちゃんと聞いてもらえなかったこととか。蓮さんが何を抱えているのか、教えてもらえないこととか」『なるほど。それ、ちゃんと蓮さんに伝えた?』「途中で、言えなくなった」『そうか。……蓮さんは、きっと必死になってるんだよ。でも咲希の気持ちも正しいと思う』「そうかな?」『喧嘩できるって、仲がいい証拠だよ。我慢して言えない方が、よっぽど怖い』萌花の言葉に、少し肩の力が抜けた。「……ありがとう、萌花」『早く仲直りしてね。蓮さん、絶対昨夜から後悔してると思うよ』電話を切った後、窓の外を見た。6月の空が、曇っていた。蓮さんは今、何を考えているだろうか。あのクマを作った目で、何と
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