Todos os capítulos de 魔女に呪われた“淫魔”達だけど、愛されたい!: Capítulo 51 - Capítulo 60

64 Capítulos

【第50話】瀬田のお友達とワタシ⑤

「すまん、待たせたか?」 Tシャツの上にパーカーを羽織っただけのラフな格好で公園のベンチに座る瀬田に声をかけたのは、彼と待ち合わせをした友人の水谷だ。 瀬田の首には黒い蛇に姿を変えたウルカが巻きついているが、上手いこと服に隠れて身を潜めている。たとえ姿が少し見えたとしても、かなり細身のため、『変わったデザインのネックレスだな』くらいにしか思われないだろう。「いや、こっちも寝起きだったから準備に少しかかってな、今さっき来たところだ」「お前が寝坊って、明日は台風でも来るんじゃないのか?……まさか何かあったのか?お前が外で、んなにラフな格好ってのも珍しいし。学生時代以来じゃないか」 髪も一切セットしておらず、前髪が少し目にかかっている。グレーのパーカーにジーンズ、履き潰した感のあるスニーカーという着こなしの瀬田を前にして、水谷はちょっと嬉しそうだ。 ニコニコと笑いながら、水谷が瀬田の隣に腰掛ける。水谷の気持ちはもう、すっかり学生時代に戻っていた。 水谷は瀬田と同じ大学の教育学部の出身で、現在は体育教師をしているが、勤め先の学校は別だ。理系の割には細マッチョタイプの瀬田とは違い、ゴリマッチョ系に入る水谷は、“教師”というよりは“プロレスラー”っぽく見える。硬さのある黒髪は極端に短く、垂れ目の瞳がちょっと可愛い。革製のジャケットを羽織っていてもなお目立つ胸筋は、シャツ越しであってもなかなかの見ものだった。「嫁とすごしていたら朝になっていてな、実はほとんど寝ていないんだ」 座る膝に肘を置き、瀬田があくびをしたせいで少し涙目になった。「ふーん、そっかそっか。……ん?……よめ……——よ、嫁ぇぇ⁉︎」 水谷の笑顔だった表情が、一気に焦りへと変わる。聞いてない!なんだよそれ!と、叫びたい気分だ。「あぁ。結婚したんだよ、俺」 サラッとした報告をされ、水谷の顔色が目に見えて悪くなる。「い
last updateÚltima atualização : 2026-08-26
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【第51話】瀬田のお友達とワタシ⑥

「俺は……お前が、好きだ。だから、ずっと、一緒に婚活してきた、んだ」 水谷が口にした言葉を聞き、ウルカの口が開きっぱなしになった。驚き、焦り、不安といった様々な負の感情が胸の中に入り混じりつつも、オロオロと視線を瀬田と水谷との間で彷徨わせる。ぽっと出の“押し掛け女房”的自分が、学生時代からの付き合いだという友人相手に勝てるとも思えず、瀬田がどういった返答をするのか怖くなってきた。「そうだったのか、ありがとう」 瀬田は少しだけ驚いた顔をしてはいたが、そうとだけ言って、空を見上げた。 言葉の続きをウルカと水谷の二人が待つが、彼からそれが出てくる気配は無い。そわそわと体を揺らし、二人揃って『で?』と心の中では言っているのだが、言葉には出来ない。(続きは?と訊きたい。でも……聞きたくない) そんな複雑な心境になりつつも、度胸のないウルカは黙ったままでいたが、水谷の方は意を決して「へ、返事は?」と瀬田へ問いかけた。「……返事?返事って、何のだ?」 きょとんとした顔をされ、水谷が困惑する。この流れで『返事は?』と言ったら一つしかないだろう!と。「告白の、返事だよ」「あぁ、俺も好きだよ。じゃないとここまで長い事一緒には行動出来ないしな」「……え?じゃ、じゃあ——」 パッと明るい顔になる水谷とは対照的に、ウルカの顔色が曇る。黒い鱗肌が青味のある黒に近い色に感じられる程、血の気が引いた。『え?え?浩二、さん?ちょ、何を言ってるんですか?』 口を開けたまま、涙目になりつつ、小さな頭で何度もウルカが瀬田の耳元に頭突きをする。小さい体でされても、痛いというよりはちょっとくすぐったいだけだった。「で?お前はこの後どうするんだ?バーベキューに戻るのか?あっちは二人も男が抜けて、人数が足りなくなって困ってるだろ」 ウルカの方へ指をやり、子供をあやすようにチョイチョイと動かしてみせる。彼の穏やかな笑顔に、ウルカの視界が埋め尽くされ、否応なしに彼女の心が喜びに震えてしまう。優先して自分をかまってくれ、『浩二さんはいったい何を考えてるの?』とい
last updateÚltima atualização : 2026-08-27
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【第52話】瀬田のお友達とワタシ⑦

 自分の好みが人とはちょっとズレていると自覚したのは、俺が中学生くらいの時期だ。 伝える気などは微塵も無かった淡い初恋が小学生の頃で、その頃から外見の好みが一切変わっていない。変わってはいないが、別に俺は子供が好きなロリコンだという訳じゃない。同じ歳くらいの方が話題に困らず話せるので楽しいし、何より法に触れないのだから当然だろう。 見た目さえ幼ければ、実年齢が何歳であろうとも全くかまわない。でもまぁ、性欲のある年ではあって欲しいというのが本心ではあるが。 人からはズレた好みのせいか、残念ながら誰かとの交際経験は今まで一度もない。 彼女のいない期間=年齢という、魔法使い一歩手前の我が身を多少は不憫に思うが、『この子と付き合いたい』『あの人が好きだ』と思える相手と出逢えないのだから仕方がないだろう。 大人っぽいスタイルの女性相手には勃ちすらしないせいで、適当な相手でもいいから一先ず誰かと付き合っておくかと割り切る事も出来ず、仕方なしに『数打ちゃ当たる』を期待して、多くの出逢いを求めて合コンや婚活パーティーへの参加を繰り返す。周囲には理想の女性がいない以上、そうするより他はなかった。 幸い、俺の見た目に釣られてくれる者が多かったので、合コンの類へのお誘いには、昔も今も事欠かない。俺の好みを知っている友人達は、目を付けた相手を俺には絶対に取られない安心感から色々な集まりにも誘ってくれる。ホント、ありがたい事だ。        ◇ 「——どうしたんだ、ちょっと拗ねてないか?」 公園から家に戻る最中なのだが、俺の首に巻きつくウルカから不穏な空気が漂っている。水谷とのやり取りの後からずっとこんな感じだ。『当然です!何なんですか、さっきの彼は』 チラリと視線をウルカにやると、蛇のくせに頬が膨れている。姿は変われども、彼女は彼女なのだと思うと、爬虫類なのに何故か可愛く思えた。『ワタシの“夫”相手に、「好きだ」とか、あまりにふざけています!嫁の前でアレはないです!ワタシがあの場に居るとは知らなかったとはいえ、許せません』 漫
last updateÚltima atualização : 2026-08-28
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【第53話】瀬田のお友達とワタシ⑧

 部屋の玄関に入るなり、ウルカの瞳がゆらりと揺れる。蛇の姿をした彼女の大きな黒い瞳が嫉妬により赤みを帯び、薄暗い中で軽く光って見える。『友人同士なら、好きだ何だくらいは言うだろ』と言われても、ウルカにはそんな存在がいないから理解出来ず、納得も不可能だ。 『——好き』 その言葉はあまりに彼女にとって重過ぎて、実の兄にすら贈った事がないというのに。 性には奔放であるべきだとサキュバスの本能が囁きかけるのだが、“魔女の呪い”がそれを上回る。『私には貴方だけなのに、アンタって人は!』と、怒りにも似た感情が沸々と湧きあがり、制御不能になっていく。「ごめんなさい、浩二さん。ワタシ……やっぱり無理です」 蛇の姿のまま、ウルカの体が少しずつ大きくなっていく。「……ウ、ウルカ?」 ギョッとした顔で彼女の変化を、ただ呆然としたまま瀬田が見届ける。 彼が我に返った時にはもう、細身ではあるものの、“大蛇”と形容すべき巨体が玄関の中いっぱいにとぐろを巻き、瀬田の周囲を覆い尽くしていた。「なぁ、正直怖いんだが……」 大人を丸呑み出来るサイズではないものの、これほど立派な蛇など現実にはそうはいない。 身動きも出来ぬまま青白い顔をする瀬田を、真正面からじぃっとウルカが見詰める。赤黒く光る大きな瞳はとても綺麗なのだが、嫉妬に歪むせいで深淵でも覗き込んでいるような薄ら寒さも秘めていて、瀬田の背を冷たい汗が伝った。 なるほど。蛇に睨まれたカエルとは、こういうことか!と瀬田が思った時、赤く長い舌がゆるりと彼の頬を舐めてきた。(まさか、スル気か?……此処で?蛇と?)  ……嫌な予感が彼の頭をよぎる。前回此処で、用途外の行為をしたばかりなせいだろう。「おい、待て……まさかお前、蛇の姿のまま……ヤる気なのか?」 「いけませんか?何か問題が?」「問題だらけだろ」「……貴方の“嫁”は“サキュバス”です、色々な姿で襲われるのは当然の事なのだと諦めて下さい。でも、そうですね……寧ろこう考えては?『他の相手では出来ないプレイが出来る子』なのだと」 流石に『そうだな!』と即答する気にはなれないが、ウルカがサキュバスであるおかげで、やっと心から可愛いと思える姿の者と出逢えたのだから『割り切れるか!』と反射的に文句も言えない。 瀬田が返答に困っているのをいい事に、ウルカは舌
last updateÚltima atualização : 2026-08-29
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【第54話】瀬田のお友達とワタシ⑨

『わかりました。たっぷりねっとり愛してあげますね。ワタシだけが……貴方を満足させられるのだと、身をもって知って下さい』「……なぁ、何か……怒っていないか?」 ウルカは『怒っている』というよりも、ちょっとだけこの行為のおかげで怒りが発散されつつあるので、今は拗ねているといった方が正しい。 夫が、自分の目の前で、親友から愛の告白なんぞされても機嫌よくしていろだなんて、そもそも不可能だ。でも面倒な女だと思われるのも怖くって、ウルカは『…………まぁ。そう、かも?』とお茶を濁した。 そして、あまり深く追求させぬため、わざとぐじゅぐじゅとした音をたてながら瀬田の屹立を丹念にウルカが刺激する。 途端に彼の口は淫猥な声しか発せなくなり、瞳がトロリと溶けていく。はだけた服の中にずるりとウルカが忍び込み、胸の尖りまでもを鱗の肌で擦って刺激し始め、益々快楽の坩堝へと瀬田が叩き落とされていった。(親友とはいえ、友人などには負けたくない……。たとえ『好きだ』という言葉をワタシには貰えなくても、こうやって触れ合うのは、どうかこの先もずっとワタシだけであって——) 思いを込めて必死に頭を動かし、射精を促す。“サキュバス”である自分には“この手段”でしか彼を虜になど出来ないという強迫観念に駆られながら、ウルカは必死に彼の屹立を愛した。「ダメだ、も……。口を離し、出る、か、ら」 蛇の体に拘束されながらも、瀬田がジタバタと脚や腕を動かそうとしたが、より強く絞められてしまう。『良いんですよ、全部ワタシの口に出して下さい。全て呑み干しますから』 「でも、ウルカが……」 『優しいんですね。でもワタシの事はお気になさらず。浩二さんの精を頂けるだけで、満足なので』 今はとにかく、水谷よりも自分の方が上だと思ってもらわねばならない。 瀬田的には、友人の誘いを断り、ウルカと共に帰宅した時点で十分彼女を最優先に考えているのだが、その点に彼女は気が付いていなかった。『あぁ……可愛いですね。いつもの凛々しい様子からは想像出来ないくらいに。この姿は、一生、ワタシだけのモノにしておけたらいいのに
last updateÚltima atualização : 2026-08-30
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【第55話】流されやすい自分が残念過ぎる・前編(ウルカ談)

 日曜日の早朝。 暁の空の下に人の生活の気配はまだあまりなく、眼下に広がる街はとても静かだ。 浩二さんもまだ目を覚ます様子はなく、暇を持て余したワタシはベランダに出て空を見上げている。本心としては朝ご飯の一つでも用意しておきたいところなのだが、何故か『何もするな』と釘を刺されているのでそれも出来ない。双子の兄であるカシュとは違い、ワタシは高校生でもないので、兄のように『暇だし勉強でもしようかな』という事も出来ないし、興味の持てる本や雑誌もこの家には置いていなくて、何もする事が思い付かないという、ないない尽くしの状態だ。 顔立ちが抜群にいい旦那様の寝顔を眺めながら過ごす一晩はとても有意義なものだったが、それも『流石に見過ぎだろ。このままでは視線で起きるかもしれない』と思い、あまり続けるわけにもいかず、ベランダで空でも見るかという結論に至った。 昨日の玄関先での行為の後。浩二さんはワタシが運んでソファーに休ませた時点で気を失い、そのまま眠ってしまったので、今度はすぐさまベッドへと運び直すことになった。 やはり人間にとって、淫魔との行為はそれなりに負担が大きいのかもしれない。 街並みをぼんやりと見ながら、そんな事を改めて思った。三度とも、行為の後の彼は死んだように眠りにつき、朝まで目を覚まさないからだ。 一度目の時から何となく感じていた事なのだが、何せ相談する相手が、ワタシには兄のカシュくらいしかいないので確認出来ない。こういった時、同種族の知り合いが身の回りにいないのは困りものだが、探そうとまでは思わなかった。「……ライバルが増えたら困るもの。浩二さんほど素敵な人なら、みんな好きになっちゃうわ」 手すりに腕を預け、ぼそっと呟く。 水谷の一件もあるので、とてもじゃないが、これ以上心配の種になりそうな存在は増えてほしくなかった。 ふと、視界の隅に馴染み深い生き物が見えた気がして顔を向けると、小さな蝙蝠が一匹、こちらの方へと向かって飛んでいることに気が付いた。首には青いリボンが可愛く巻かれており、明らかに飼い主がいる風貌だ。「あれは……“リトゥーシャ”!」 蝙蝠に向かい、名前を呼ぶ。すると、声を聞きつけたリトゥーシャは嬉しそうに羽をバタつかせ、一直線にこちらへ向かって速度を上げたみたいだ。『ウルカさまぁー、今行きますよぉー!』 人には理解不能な
last updateÚltima atualização : 2026-08-31
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【第56話】流されやすい自分が残念過ぎる・後編(ウルカ談)

「えぇ、もちろんよ。あの子は此処の屋上に新しく巣を作りたいそうだから、位置を決めるためにと、子供達と一緒にそこにいると思うわ」 『ありがとうございます。——では!』 「お疲れ様」とウルカは彼に声を掛けたが、リトゥーシャはその言葉を聞く事なく飛んで行ってしまった。「仲良がいいって、いいねぇ」 ニコニコと笑いながら彼の小さな姿を見送る。ワタシ達もあんな仲良しさんになりたいものだと思っていると、後ろから窓の開く音が聞こえてきた。「こんな所に居たのか。部屋の中に居ないから、どこへ行ったのかと焦ったよ」 ベランダに置いたままになっているサンダルを履き、浩二さんがワタシの隣に並んで空を見上げる。ただそれだけの事が嬉しくって、ワタシはニヤけてしまうのを誤魔化すように、深く息を吸い込んだ。朝の空気はまだ少し冷たくって、息を吸い込むとスッキリとしてちょっと気持ちがいい。「随分早起きなんだな。まだ四時半にもなっていないだろ」 休日に彼がこんな早起きをしたのは久しぶりなのかもしれない。まだ明るくなり切っていない空を見上げる眼差しが柔らかくて、ちょっと嬉しそうだ。「……流石に、腹が減ったな」 浩二さんは空腹で目が覚めてしまったのだろうか。昨日は結局朝ご飯しか食べずに終わったので無理もない。やはりワタシが朝食を作っておくべきだったのだろうか。「ベーコンのブロックがあるんだ。厚切りにでもして、チーズとピーマン、玉ねぎをパンで挟んで、朝飯はホットサンドでもどうだ?」 「美味しそうですね。作るの、ワタシも手伝いますよ」 「いやいい。お前は好きな事でもして過ごしていてくれ」 またキッパリと拒否されてしまった。好きな事をと言われても正直困るが、こうもはっきりと断られてしまうと、意地になって『いいから手伝わせろ』とは言い辛い。「……分かりました」 素直に頷いて返したが、表情までは上手く繕えなかったのか、浩二さんが少し心配そうな顔をしながらワタシの頭をポンポンと優しく撫でてくれた。「あ、そうだ。午後から少し外へ出掛けて来ますね」 「どこへだ?誰かに会うつもりなのか?……まさか、男か?」 不信感たっぷりな眼差しを向けられ、背中にそら寒いものを感じる。だが、『もしかして嫉妬してくれている、とか?』と自惚れたい気持ちも同時に湧いた。「はい。あ、でも相手は兄です、双子の。
last updateÚltima atualização : 2026-09-02
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【第57話】定期連絡的お茶会①

 結局あの後、ベランダで瀬田とウルカは性欲に流されるままにやらかした。途中からはもう『こんな場所ではちょっと勘弁です!』などという考えも消え、刺激的な状況を存分に楽しんでしまったのは淫魔故の性だろうか。 事後は夢見心地のままソファーで寛いでいる間に瀬田が朝食を用意してくれ、出掛ける前には髪型まできっちりと整えてもらい、ウルカは今、前に待ち合わせをしたカフェまで無事到着した所である。瀬田の要望で男性の気を引かぬ様に、姿は一番楽な子供っぽい容姿で来ているので、今回はカシュに対して『兄さん』と呼んでいても、誰も違和感から振り返るということはなさそうだ。 店内に入り、飲み物を注文する。今回はアイスティーにし、席に着いた所ですぐにカシュも到着したので、二人は向かい合わせに座った。五年ぶりの再会以後、これほど短い間隔で会うのは二人が生まれて初めての事だった。「ごめんな、こんなに早く呼び出したりなんかして」 「別にいいよ。二人きりの兄妹なんだから、むしろもっと会う機会は多くても良いと思うな」 「そう思ってくれると正直嬉しいよ」 笑顔を見せるウルカに対し、カシュの顔色はあまりよくない。白い肌には血の気がなく、『まるで死にそうな吸血鬼みたいだな』とウルカは思った。 今回カシュがウルカを呼んだのは、早々に話し合わねばならない件が発覚したからだ。もちろん議題は—— 『婚約者(仮)である華さんが魔女だった件について』である。 連絡を入れた時点では用件がそれである事をカシュはウルカに伝えていなかったため、彼女は『婚約の件が上手くいった報告かな?』と予測しながら来たもんだから、どうやらそんな感じではない兄を前にした瞬間、開口一番何と声をかけるべきか悩んでしまった。「……えっと、どうしたの?何かあった?」 前回とは違い、顔色の良くないカシュに恐る恐る訊く。手の中にはアイスティーの入るカップがあるが、口にするのすら戸惑ってしまう。「あった」 「……そ、そっか」 返答が短過ぎて返事に困る。一言で終わられると、これ以上何も言えないではないか。 はぁ……とため息を吐き、カシュがテーブルに肘を置き、額を手で押さえる。『どこから話すべきか、そもそも話すべきなのか?魔女はボク達の天敵だぞ』と、妹を目の前に呼んでおきながら今更その点をカシュは悩み出した。…………「—
last updateÚltima atualização : 2026-09-02
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【第58話】定期連絡的お茶会②

「む、無理だよ。本当に好きだから、強引にはしたくないし。“魅了”も効かないから既成事実から入る事も出来なかったし、夢には干渉どころか入ることすら不可能なんだから」 「鉄壁だね……」と言い、はぁとウルカが溜め息を吐いた。 「それでも、好きなの?他の人じゃダメ?」 「……うん。『この人だ』って思った気持ちが消えないんだ、魔女だってわかっても。そりゃ、わかった瞬間は色々悩んだけど」(魔女だってのに、華さんの寝姿を見ただけで、色々とどうでも良くなっちゃったんだよなぁ……) 首の後ろを押さえ、どうしたものかとカシュが瞼を閉じる。 自分は華が好きだという気持ちが根底にあるから『彼女が魔女だ』という事を割り切れるとしても、妹や同族の事を思うと、この恋を突き通して良いものかと、どうしても考えてしまう。 華に手料理を食べさせてもらえれば、ひとまずは飢える心配も魔力不足で悩む心配もない。なのでこのまま側から離れる気はないが、婚姻関係を結ぶとなると、唯一の家族である妹を無視する気にはなれなかった。「なら、射止めてしまえば良いんじゃないかな」 ん?と、カシュが首を傾げた。随分とあっさり許可が出た気がするんだが、まさかな。「ワタシは別に、魔女がお姉さんになっても……なっても、あ、いや、ごめん。正直本心としてはすごく怖いけど、怒らせなければ別に、普通の人……なんだよね?」 そう言うウルカはカタカタと小刻みに震えていて、両手で持っているカップから今にもアイスティーが溢れ出してしまいそうだ。発言は全て、強がりながらのものらしい。「自分が魔女だって無自覚な人だし、無意識下で言霊的な力を使っちゃったりするくらいで、彼女自体に害は無いよ」 くすっと笑い、カシュが腕を伸ばしてウルカの頭を無造作に撫でた。「そ、そっか……なら大丈夫かな」 カシュの言葉でウルカが安堵し、ほっと息を吐く。 自分も絶賛恋愛中の身なので、彼の心が安易に想像出来る。妹を気遣って、カシュが自分の恋心を諦めるような事にはならずに済みそうで、その事がちょっと嬉しかった。「
last updateÚltima atualização : 2026-09-03
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【第59話】定期連絡的お茶会③

「で?ウルカの方は倦怠期はなんとかなったのかい?」 すっかり顔色の良くなったカシュが、今度は妹の心配をする。だがウルカの顔色も悪くなかったので、答えを聞かずともわかっていた。「うん!大丈夫」 可愛い笑顔で答えてもらえ、カシュの心がほっこりと和む。自分とよく似た顔だけど、それでも妹の笑顔は胸に刺さった。「あー……だけど、別の問題が、今は一つ」 ウルカの明るい笑顔が一気に曇った。瀬田の友人である水谷の存在を思い出したからだ。せっかく訳も分からぬうちに倦怠期っぽいものが終わったのに、何故今度は別の問題が生じるかなぁ!と悔しくなる。「問題?」 「う、うん……」 「何だろう?ボクらの種族を知った上で婚姻関係を結べたんだろう?あとはもう何もないんじゃ?」 きょとんとした顔をするカシュに向かい、ウルカが今にも泣き出しそうな顔を向ける。淫魔としてならドンと来い!な状況なはずなのに、個人的には許せない事態なので、複雑な気分だった。「あのね、実はですねぇ——」の一言から始め、ウルカは昨日の公園での出来事を全てカシュに話した。「——なるほど。で?」 何の問題もないじゃないかと言いたげな顔をカシュにされ、ウルカの、今にも泣き出しそうな表情がさらに歪む。つり目がちな眦にはもう涙が溜まっていて、今にも頬を濡らしそうだ。「で?って、でって言う?問題だらけじゃない!」 軽くテーブルを叩き、ウルカがとうとう泣き出した。幼い顔立ちの彼女が泣くと、兄として感じる罪悪感が半端ない。「え、だって、それって友人としての『好き』であって、恋人や愛人としての好きじゃないだろう?結局帰りは二人きりだったんだし、どう考えたって彼はウルカにベタ惚れだと思うよ?」 「でも、ワタシは旦那様に『好き』すら言ってもらえていないのに?友人には言うのに、奥さんなワタシにはどうして言ってくれないの?体だけが目的で結婚したんじゃって疑いたくなるんだけど」「んな事言ったって、ウルカだって最終的には魔力が目的でしょ?淫魔としては、体さえ気に入ってもらえるなら本望
last updateÚltima atualização : 2026-09-04
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