週が明け、彼らが出逢ってから三週目の月曜日になった。 今日からカシュが、華の職場でもある清明学園に学生として通学する事になる。彼女の部屋の中にある姿見用の大きな鏡の前に立ち、学校側が用意してくれた詰襟タイプの黒い制服を着込んだカシュが、クルッとその場で回った。「どうですか?華さん。似合ってます?」 嬉しそうに訊かれ、華が完全に保護者の心境になりながら目を細める。もし今一眼レフカメラが手元にあったら、運動会の父親達並みに撮影しまくっていたかもしれない。「うんうん、とっても似合っているわよ」 「ありがとうございます!」 元気に返事をされ、「じゃあ、そろそろ行きましょうか」と彼に声を掛けながら、華がカシュの背中をぽんっと叩く。そして再度しっかり制服姿の彼を見て、『ボクの嫁になって欲しいとか、ホント無理だわ』と改めて思った事を、華は胸の奥にそっと仕舞った。 ◇ 朝のホームルームの時間。「——はい。じゃあ、今日は新しくウチのクラスに転入生が来るので紹介するわね」 華は担当しているクラスの教壇に立ち、生徒達に向かって声を掛けた。高校での転入生は珍しいからか「まじか!美人?美人かなぁ?」「えーどんな人だろう?カッコイイといいなぁ」「モテキャラは来るなー!モブでいい、モブで!」などと、生徒達が好奇心に満ちた言葉を次々と口にする。 普段ならそんなふうに騒いでいる生徒を前にすれば、『そう難易度を上げちゃダメよ、教室へ入って来るのが嫌になるから』と思う華なのだが、今回は『大いに騒ぎなさい!期待以上の子が来るから!』と内心少し自慢気だ。「さぁ入って」 廊下側の扉に向けて華が声を掛けると、間髪入れずにガラッと開き、カシュが颯爽とした足取りで教室内に入って来た。 正面に立ち、ピシッと背を正す。そして色艶の良い唇に笑みを浮かべ、カシュはゆっくり口を開いた。少しだけ生徒達に向かい魅了の魔法を使用したが、華にはわからない程度のものだ。「はじめまして、黒鳥カシュといい
Última atualização : 2026-09-05 Ler mais