Todos os capítulos de 魔女に呪われた“淫魔”達だけど、愛されたい!: Capítulo 31 - Capítulo 40

64 Capítulos

【第30話】「とんでもない夢を見た、気がする」・前編(瀬田・談)

 一晩経ち、火曜日の朝を迎えた。 喧しく鳴る目覚まし時計を叩くように止めて、枕元にあるスマホを確認する。「……俺は、いつ布団に入ったんだ?」 頭がぼぉっとしてなかなか体が動かない。寝起きだからというのもあるだろうが、それにしたってだ。どうしてだか、体に合わない薬を飲んだ時みたいに胸の奥が軽く気持ち悪い。 それにしても、随分変な夢を見たものだ。 風呂場で、知らない金髪の美少女と結婚の約束を交わしたうえ、いきなりセックスとか。眠った記憶すらないのに見る夢なんてものも、本当にあるんだな。アレが『白昼夢』というやつなのだとしたら、俺は相当ヤバイ状態なのかもしれない。欲求不満も、ここまできたらもう病気だろ。「早く嫁を貰わんと、ホントに性犯罪者になりかねんぞ、コレは……」 ベッドの上で上半身を起こし、布団を捲る。生理現象だと片付けられないレベルで元気な息子が視線の先にあり、俺は自分の性欲の強さに、ただただ溜息を吐くことしか出来なかった。        ◇ 「おはようございます」 職員室に入り、隣の席に座っている華先生に朝の挨拶をした。「おはようございます、瀬田先生」 俺に向かい、そう返事をした華先生の顔が少しニヤついている。一体何だ?気持ち悪いな。「今日は、先生がちょーっと遅かったですね。時間にキッチリとしたタイプなのに、珍しいじゃないですか?」 あぁ、コレは昨日の仕返しか。 そういう部分があるから、なかなか相手が見付からないのでは? 思った事を口に出せば『瀬田先生はいつも一言多い!』と注意される気がしたので、言葉は頭の中だけに留め、机の側に鞄を置き、自分の席に座る。「今日はちょっと……朝から頭の動きが鈍くてな」 ふぅと息を吐き、素直に理由を話した。起きた時から続く違和感は少しずつ緩和されていってはいるが、まだちょっと変な感じがする。おかしな夢を見た影響&
last updateÚltima atualização : 2026-08-21
Ler mais

【第31話】「とんでもない夢を見た、気がする」・後編

 本校舎から外に出て、図書館側にあるカフェを目指す。 『大学でもないのに何故カフェが?学生食堂だってあるのに、こんなもん必要なのか?ってか、昼間に開けていても高校じゃ客こねぇだろ!』と、突っ込みどころ満載な店なのだが、オープンしてからもうかれこれ三年目になる。存在自体に意義があり、利益なんかどうでもいい店——という事なのだろうか。 よく存在を維持出来ているものだと感心しつつ、五分程度の道程を歩き、店内に入る。案の定客は一人もおらず、ガランとしていてとても寂しい。それでも開けてあるのは、俺のような、教師や事務職員、図書館に勤務する司書が来る事があるからなのだろうか。「いらっしゃいま——ぜぇ⁈」 最初は普通の声だったのに、最後だけカエルでも鳴いたんだろうか?と思うほど酷い声で店員が挨拶をしてきた。 何が起きた?と思いつつも、レジ前に立ち、メニューを見る。コーヒー系の温かい飲み物をとは決めていたが、さてどうするか。 腕を組み、メニュー表を真剣に見ていると、店員の女性が恐る恐るといった様子でやって来て、カウンター越しに前に立った。「ホットコーヒーを一つ。持ち帰りで、Lサイズ」 「こう……コーヒーですね、かしこまりました。ブレンドとアメリカンの二種類がございますが、どちらに致しましょうか?」 「……ん?」 近くで聞くと、その声には聞き覚えがある気がして、俺は慌てて顔をあげた。 長い金髪で団子を作るように後ろで結い上げ、琥珀色をした大きな瞳と目が合う。知っているような……知らないような、既視感に近いものを覚えた。 ——逢った事がある、気がする。 だが、もっと顔は大人びていた。いや子供っぽいな。 胸はかなりデカかった気がするが、まな板だった気も。 背も高くって……待て。かなり小さくなかったか? 段々と、触り心地の良さそうな金髪と琥珀色をした瞳くらいしか似ていないような気がしてきて、『これは他人の空似だ』と思う事にした。映画かテレビのCMとかでこういったパーツの顔でも見たんだろう。んで、それと記憶が混同したんだ。 一人納得していると、じっと俺の顔を複雑そうな顔で店員が見ている事に気が付いた。「何か?」 「……こう、——えっと、お客様から、希望の種類をまだお聞き出来ていなかったので」 「そうだったか?……いや、そうだったな。すまない。
last updateÚltima atualização : 2026-08-21
Ler mais

【第32話】先生達の井戸端会議①

 バタバタと平日が流れ去り、金曜日の放課後となった。 家庭科の準備室に今、三人の教師が集まっている。国語を教える華先生、理科教師の瀬田先生、そしてもう一人はこの準備室の主人である、八島莉央だ。「はいはーい!本日もみんな集まれたね。今日はチーズケーキを焼いておいたよ。どうだい?嬉しいだろう?」 長い黒髪のポニーテールを揺らし、低身長なのに胸が大きく、敢えて着ているおしゃれ系割烹着姿でも少し目立つ。彼女は少し幼い顔立ちをしているがこの面子の中では最年長で、今年で三十二歳になるというが、ちっともそうは見えなかった。「ありがとう莉央先生。とてもいい匂いね、美味しそうだわ」 空いている椅子に座り、そう言って褒めたのは華先生だ。「でしょう?でしょーう?焼き立てを、さっき事務局にも差し入れして来たんだけどね、そっちでもすごく喜んでくれたよー」 「よかったわね、きっと好感度もアップしたと思うわ」 「だよね?だよねぇ?もう『こんなに美味しいお菓子を作れる莉央先生と、是が非でも結婚したい!』とか、思ってくれないかなぁ」「……相変わらず、お前は暇そうだな」 瀬田の余計な言葉に対し、八島が「——あ⁈」とガンを飛ばした。ふわふわとした可愛らしい顔立ちが一気に崩れて、目付きがまるで昭和後期のヤンキーか任侠映画の極妻の様だ。「すまん、言い過ぎた」 「わかればよろしい、わかれば」 うんうんと満足気に頷き、八島はケーキを丁寧に切り始めた。一緒に出そうと用意していたお茶はもう準備済みで、各人の前に並べられている。香り的にコレはプーアール茶だろう。太らないようにとの配慮、かもしれない。「さてと、二人とも、婚活の進み具合はどうだい?ちょっとは前進したりとかはしたのかな?」 目の前に出されたケーキを見ながら、華と瀬田の両名が軽く肩を震わせた。「その感じだと全く、全然……っぽいね」「ははは」と八島に空笑いされ、華が渋い顔をする。確かに『前進している』とは言い難いが、前と状況は変わっている。少なくとも一人からプロポーズはされたからだ。だが、……その相手は人外で、そのうえ“悪魔”だけれども。——それ故に人には話せない。カシュの見た目が少年にしか見えないせいで、余計にだ。「しっかし不思議だなぁ。学校一の美貌を誇る君達が、二人揃って真剣に婚活してるってのに、年単位
last updateÚltima atualização : 2026-08-21
Ler mais

【第33話】先生達の井戸端会議②

「じゃあじゃあ、二人はどんなタイプが好きなんだい?多少なりともあるんだろう?『こうだったら、より嬉しいなぁ』的な容姿の好みぐらいは。そこすら特にないんだったら、もうさ、二人が結婚しちゃえばいいんじゃないのかな。婚活中同士な訳だし、悪い話じゃないだろう?」 チーズケーキを頬張りながら八島の言った言葉に対し、華達が同時に目を見開いた。「無理ね!」 「無理だな!」 華と瀬田の声が綺麗にかぶる。『論外だ、絶対に嫌だ』と、どちらの顔にもしっかり描いてある。「そもそもコイツはダメだ。真面目で努力家で目標をしっかり持っている点は美徳だが、あまりに美人過ぎる。胸はデカイし、ウエストはくびれてるとか、微塵も俺の好みじゃ無い」「あら、ありがとう。私も、自分が許容範囲外でホッとしたわ……だって——“合法ロリ”が好きとか、私の中で完全にアウトなんだもの」「……ん⁈」 華の言った言葉の意味が全くわからず、八島が首を傾げた。「合法なんたらって、何だい?」「瀬田先生は……見た目だけが、子どもっぽい容姿の女性が好きなんです。本物の小学生だとかには本当に微塵も興味が無いので、確かに“ロリコン”ではないのでしょうけど……それでも、正直どうかと思うわ、私としては」 片頰に手を当てて、華が深いため息を吐く。 八島は呆気に取られたが、自分が割とソレに当たる方である事に気が付き、サッと瀬田から距離を取った。「お前も好みじゃ無い。そう警戒するな」 苦虫を噛み潰したみたいな顔で瀬田に言われ、八島が複雑な心境になった。予想とは少し違えども、結局は“変態”だった瀬田の射程外である事はありがたいが、『好みじゃ無い』の一言は容姿を否定されたみたいで、それはそれでムカつく。「八島先生の容姿でも無理となると……益々もって、瀬田先生の結婚はまだまだ先になりそうね」「残念ながら、そうだな。見た目が幼くて性欲さえ強ければ中身なんかもどうだっていいし、何歳でも問題ないのだが……コレが意外に難しい」 額を押さえ、憂いを帯びた眼差しが眼鏡の奥で切なげに揺れる。 見た目だけは完璧に整っているのに、発言が残念なせいで、華と莉央は揃って椅子ごと後ろに下がった。「——で、お前こそどうなんだ?別に華先生は、俺相手だろうが、『女性の好みに関して』以外は許容なんだろう?ならば相手なんか、
last updateÚltima atualização : 2026-08-21
Ler mais

【第34話】先生達の井戸端会議③

 三人共がケーキを食べ終わり、すっかり冷えてしまったプーアール茶を腹に流し込む。八島が二杯目の用意をしていると、華がケーキ皿とフォークを洗い始めた。「ありがとー、華先生」「いいのよこれくらい。ご馳走様、今日もとても美味しかったわ」「良かった!今度ね、受け持ちの家庭科部で作り方を教えないとだったから、上手くいって安心したよ」「そうか、ウチにはそんな部活もあるんだな」 瀬田の言葉に対し、八島が冷めた目を向けた。「勤め先の部活動くらい、全て把握しておいて下さいね」「運動部は基本的なものばかりだからいいが、文化部は難しいな」「申請が通れば、ウチは大概許可が出るものね。種類が多いから、確かに覚え切るのは大変かもしれないわ」 瀬田に対し、華が助け船を出した。「あぁ、この間なんか『黒魔術研究会』とかって物騒なものまで出来たらしいよ。よく認可したよねぇ」「……その部活、白魔術は研究対象外なのかしら」「華先生……気になるのはそこなの?」 変な所が抜けてるなぁ、と八島は思った。「どっちも研究対象じゃないのか?表裏一体みたいなものだろうからな」と瀬田も言う。(こっちはこっちで真面目に答えてるし!……ホント、見た目だけじゃなく、会話面ではお似合いなのになぁ、この二人って) 八島が二人を見詰め、「うー」と唸る。『年単位で婚活が上手くいかない同士ならくっついちゃえよぉ!』と、どうしても思ってしまう。だが、お互いの間にある『好みじゃない』という壁は、あまりにも高い事を理解しているので、口にはしなかった。「そういや私、長年二人の婚活成果を訊き続けてきたくせに、一番肝心な事を訊いていなかったぞ!」 ハッとした顔で、八島が大声をあげる。手元では二杯目のお茶の用意をしたままだったせいで少しお茶をこぼしてしまったが、それは即座に拭いて無いものとした。「肝心な事?何かしら」「『結婚をしたい理由』だよ!——だってね、二人共、後半とはいえまだ二十代だよ?ここに就職してからすぐに婚活を始めてたけど、スタートからしてそんな焦る歳じゃなかったじゃん、そもそも。そこらじゅうに、普通に出逢いがあるでしょ」「……あるような、無いような……」 華にはカシュの件があるため、返事が曖昧になってしまう。「いなかったな。琴線に触れるような相手なんか、夢の中くらいなものだ」「夢ん中って
last updateÚltima atualização : 2026-08-22
Ler mais

【第35話】先生達の井戸端会議④

「わ、私は……私が、結婚したい理由は——」 華が言葉を詰まらせた。 『結婚したい理由』を、誰に対しても今まで頑なに言わずに避けてきたせいか、いざ胸の奥に抱え続けている『願い』を言の葉にのせようと思っても、そうなかなか上手くはいかない。「みょ、みょう……」 「みょう?」と言い、八島が首を傾げる。『みょう』から始まる婚活理由が、瀬田も八島も思い浮かばない。「自分の、苗字が、嫌いなのよ……」 「……苗字」(ん?あれ?そう言えば、華先生の、苗字……何だっけ) 八島が口元に手を当てて、唸りながら悩む。長い付き合いだというのに全然出てこない。「すまない、華先生の苗字を思い出せないんだが……」 瀬田も天井を見上げながら思い出そうと試みたのだが、彼も華の苗字が頭に浮かばない。自己紹介を聞いた記憶はあるのだが、何度振り返ってみても、彼女が苗字を口にしたシーンにだけ雑音が入る。 生徒も先生も、それどころか保護者達まで、華の事は『華先生』と呼んでいるため、誰かの口から彼女の苗字を聞いたことすらない。そんな不可思議な事に、彼らは年単位で気が付いていなかったのだ。「……————よ」 目の前ではっきりと言われたのに、やっぱり聞き取れない。声が小さかった訳でもなければ、口ごもっていた訳でもないのにだ。「ごめんね、もう一度言ってもらってもいいかな。どうしてか聞き取れないの」 瀬田だけでなく、八島も聞き取れなかったみたいだ。「俺も頼む」 二人に頼まれ、華が観念した。聞かせたくない気持ちを必死に押さえ込み、だけどすぐに忘れてくれたらいいなとは思いながら、彼女は口を開いた。「あ、徒結っていうの……。徒花の“徒”に、“結ぶ”と書いて、“徒結”よ」「……えっと、それは、かなり個性的な苗字だから、嫌だとか、そういうことなのかな?」 「えぇ、そう。だって私は生まれも育ちもこの街の、生粋の日本人よ?なのに外国の名前みたいな苗字なうえに、苗字から名前までの流れも酷く、聞こえも悪いとか、許せないわ。変よ、似合わない、可笑しいわ!」(徒結華……まぁ確かに、語感はかなり悪いな。“ハナ・アダムス”ならまだしも) 瀬田は、華が苗字を嫌いな理由を聞き、ちょっと納得してしまった。 自分は違うが、風変わりな名前や苗字というのは、案
last updateÚltima atualização : 2026-08-22
Ler mais

【第36話】瀬田とウルカの忙しない帰路

「まぁ、人それぞれ、結婚したい理由もホント千差万別なんだねぇ」 腕を組み、うんうんと八島が頷く。 二人とも、ちょっと人とは違う理由で結婚したいのだなと知れただけでも良しとしよう。当人達が本気で望み、叶えたい願いが『結婚』という行為の先にあると信じているのならもう、他人は口出しするべきじゃないだろう。「すぐに忘れてくださいね、私の苗字なんか」 顔を両手で覆い、華が呟く。 その途端、二人の瞳が一瞬揺れ、次の瞬間にはもう彼女の苗字を話題にする気さえ失せていた。「——さてと、私はもう帰らないと。夕飯の用意があるのよ」 そう言って、室内にある壁掛け時計を華が見上げる。「そっかそっかー。なら今日は解散しよう。なかなかに濃ゆい内容の話が出来たから、今日も楽しかったぞ」 八島は嬉しそうな顔で答えると、机に並ぶ食器の片付けを始めた。その様子を見ていた瀬田が立ち上がり、腕まくりをする。「次は俺が食器を洗おう」 「お、いいのかい?ありがとぉー。君はいい夫になれそうだね」 「華先生を見習ってな。家事は一通り覚えた。あとは……“理想の嫁”さえ見つかれば……くっ!」 拳をつくり、瀬田が悔しそうに顔をしかめる。不意にウルカの幼顔が頭に浮かび、『あの子が実在していればいいのに』と、天井を仰ぎ見た。(あれだけ、感触や気持ち良さがリアルな夢だったのだ、正夢って可能性はないか?——あってもいいはずだ!)「もしもーし?何をそんなに悔しそうにしてるんだい?せっかく褒めたのに。褒めたのに!」 「あぁすみません。お褒め頂き光栄ですよっと」 「素っ気ないなぁ、君は!まぁいい……そっちは頼むよ。私は明日の用意とかするからさ」 「じゃあ、これ片付けたら俺は勝手に帰りますね」 「うん、そうしてくれると助かるな。お疲れ様でしたー、華先生」 「お疲れ様です。では、片付けはお任せして、私はお先に失礼しますね」 二人に声をかけ、華が鞄を持って帰路につく。瀬田も使ったコップ類を洗うと、軽く八島に挨拶をして家庭科室を後にしたのだ
last updateÚltima atualização : 2026-08-22
Ler mais

【第37話】君をこの腕に①

「……“ウルカ”?」 「はい!」 名前を呼ばれ、ウルカがホッとした表情になった。自分が“誰か”をわかってくれたんだと思うと、沈みっぱなしだった気持ちが少し軽くなる。 キョトンとした顔をする瀬田と目が合い、少しの間じっと互いに視線を交わす。だが、彼はふと我に返った途端、慌ててスーツのジャケットを脱いでウルカの体を隠すように包んだ。「な、何て格好をしてるんだ!」 「……格好?」 何を焦っているのかわからず、ウルカが下を向き、自分の姿を確認した。(あれ?私ったら、随分小さいわ。胸も全く無いし……待って、裸にエプロン一枚しか着けていないとか、何故⁈) 脚は細くて裸足だし、ショーツも穿いていなくって背後がすごくスースーする。ジャケットを着せてもらえていなければ、お尻が確実に丸見えのままだったろう。「な、な、な!——何で私は、こんな格好なんですか⁈」 「俺が知るか!」 『瀬田の望む姿になりたい』と“変幻の魔法”を使ったウルカとしては彼に訊くしかないのだが、無自覚だった者に『何故?』と訊いても答えは出ない。『幼妻が好き→妻といえば家庭料理→料理といえば裸エプロン』的思考の流れなのだろうが、そんな事、彼の好みにちっとも気が付いてすらいないウルカが察する事など、到底出来るわけがなかった。「と、とにかく、その格好のまま放置も出来ないな。帰るぞ!」 瀬田はそう言うと、着せたジャケットごとウルカを横向きに抱き上げた。「か、帰るって言われても……」 初めての夜伽の直後に『出て行け』と追い出された身としては、『帰る』という言葉が『帰れ』としか受け取れない。 自分には住む場所もなければ行く当てもないというのに、『家に送る。何処に住んでいるんだ?』とでも、この人はこの後訊く気でいるのではないだろうかと考え、ウルカの顔が少し強張った。「アレが夢じゃなかったんなら、俺の家しかないだろ」 そう言って、瀬田がウルカの額に優しく口付けをしてくれる。 だが、前回の別れ際との落差があまりに大きく、ウルカは喜ぶよりも、困惑の気持ちの方で頭がいっぱいになってしまった。       ◇「んっ……。くふ、んぁ——」 走るに近い速度でマンションまで帰宅し、玄関に入るなり、瀬田がウルカの唇に噛み付くようなキスをし始めた。唇の隙間に無理矢理舌を押し込まれたが、横抱きに抱えたまま
last updateÚltima atualização : 2026-08-23
Ler mais

【第38話】君をこの腕に②

「……キスは、好きか?」 「す、好きですぅ」 ウルカは即座にそう答え、瀬田の着る水色をしたワイシャツの胸元に縋り付いた。「そうか……」 ウルカ以外との深い口付けなど一度も経験が無いため自信が持てず、瀬田はほっと安堵の息を吐いた。だが同時に、モヤッとしたものを胸の奥に感じる。常に誰かと比較されているような気持ち悪さが付き纏い、瀬田はその不快感から逃げるようにウルカの細い首筋に軽く噛み付いた。「んあっ」 鈍い痛みさえ心地よく、ウルカの体がぶるっと震えた。かかる吐息も、当たる歯の感触や舌のぬめりも、全てが全て気持ちいい。 横になっているせいで存在感が皆無となっている胸元を隠すエプロンを瀬田が指先でよけ、ごくりと彼が唾を飲み込む。色素が薄く、淡い桃色をした尖りが露出してしまい、ウルカは「見ちゃイヤです」と小声で言いながら顔を両手で隠した。「何故だ?こんなに愛らしいのに」 彼が舐めてくれるのを待っているみたいにぷっくりと膨れ上がる両胸の尖りが、瀬田の目に美味しそうな果実のように映る。(あぁ……やっと、やっとだ——) 前回の記憶がイマイチはっきりしないため、この瞬間が『初めての経験』のように感じてしまう。夢見心地な気分にもなり、嬉しくってたまらない。長年喰べてみたかった憧れの対象を前にして、心臓が激しく高鳴り、今にも壊れそうだ。 呼吸を乱しながら、ちろりと舌先で尖りを舐められ、ウルカの背が軽く跳ねた。「いやぁ!」 「……俺じゃ、嫌なのか?」 「い、いえ!びっくりしたというか、恥ずかし過ぎて『イヤ』というか……嬉し過ぎて死にそうだというか、でもこの瞬間に死んでしまうのは勿体ないからイヤというか、そういう類の……アレです!」 切なげに揺れる瞳と目が合い、ウルカが場違いな程解説を交えながら必死に訴える。「そうか、良かった」 ホッとしながら瀬田が、かぷっと胸の尖りを周囲の膨らみごと口に含んだ。吸い付き、舌で転がし、感触を堪能する。常に鼻に感じる林檎の香りの効果もあってか、小さなグミを食べているみたいでちょっと楽しい。 口を一度離し、今度は瀬田が反対側に噛み付いた。「ひゃん!」 舐める、吸うなどがなく、真っ先に甘噛みをされたせいでウルカから変な声が出る。「気持ちいいのか?」 上目遣いで問われ、ウルカが口元をへの字に引き絞りながら、必死
last updateÚltima atualização : 2026-08-23
Ler mais

【第39話】君をこの腕に③

(嬉しくてならないのは自分だけなのでは?) 指の隙間からちらりと見える瀬田の表情に対してそんな事をウルカが思っていると、彼女の濡れそぼる陰裂にそっと優しく彼の指先が触れた。蜜が溢れ出ているせいでくちゅっと微かに水音が鳴り、ウルカが瀬田の指先の熱い感触に震え、甘い声をこぼす。 柔らかで、しっとりと濡れる陰部の触り心地の良さと、夢見心地な気分とが相まって、瀬田が感嘆の息をゆっくりと吐いた。じーん…… と、嬉しさが胸に染み入る感動に近い気持ちを彼は一人噛み締めていたのだが、ウルカにはその様子が残念がっているように見えてしまった。(やっぱり、こんな子供っぽい姿はつまらないんだ!) 勝手にそう思い込み、ウルカの顔が青褪めていく。 どうにかして彼を楽しませてあげねばサキュバスとしての沽券にかかわると思うも、最初の『浩二さんの望む姿に』という縛りが邪魔していて蠱惑的な姿にまだ変化出来ないままだ。「ご、ごめんなさい。こんな、こんな——んあぁ!」 子供っぽい姿なせいでつまらないですよね、と続けるつもりだった言葉が途中で嬌声へと変わった。瀬田が彼女の狭隘な陰部へと指を押し入れてきたからだ。 絡む蜜のおかげでスムーズに指が奥へと入り、奥行きがあまりないせいで彼の長い指先が最奥まで簡単に届いてしまう。軽く指先を動かされるだけで子宮口を直で撫でられ、ウルカはあられもなく口を大きく開けながら背を反らし、「あぁ!」と叫び声をあげた。「苦しいのか?痛くは……なさそうだが、ココはどうだ?いや、こうした方がいいのか?」 顔を真っ赤に染め、ウルカは『訊かないでー!』と言いたい気持ちでいっぱいだが声に出せない。角度を変え、浅くを、深くをと翻弄するみたいに膣壁を優しく撫でられては無理もないだろう。体質的にも快楽には相当弱いのに、探るようにじっと観察されながら弄り回され、ウルカは体だけでなく心までも犯されているような錯覚を抱き始めた。(浩二さんは、あの日まで確かに童貞だったはずなのに、な、何でこんなっ。いや、そうだったからなの?でも、だからって、うぅぅっ——) ぐちゅぐちゅと音をたてながら色々試行錯誤されても、どれもこれもが気持ちよくって『ソコがいい』だ『もっとこうして欲しい』なども言う余裕がない。反応を窺う為にと顔をじっと見られ続ける事に耐え切れなくなり、ウルカは瀬田のネクタイを
last updateÚltima atualização : 2026-08-23
Ler mais
ANTERIOR
1234567
ESCANEIE O CÓDIGO PARA LER NO APP
DMCA.com Protection Status