朝6時。 俺は目が覚めた瞬間から、昨日のことが夢ではないと知った。 隣で颯音がまだ眠っている。 頬に涙の跡が残り、睫毛が濡れている。 俺も同じだった。 枕は塩の味がした。おばあちゃんの遺体はもう家から運び出された。 白い布団だけが、 リビングの真ん中にぽっかりと残っている。 匂いも、温もりも、 もう何も残っていない。颯音が目を覚まして、 ぼんやりと俺を見た。颯音「……蓮……おはよう……」声が掠れている。 俺は頷くことしかできなかった。朝ごはんを作る気力なんて、 二人ともなかった。 冷蔵庫を開けても、 おばあちゃんがいつも買ってきてくれた卵も、 味噌も、 全部が「おばあちゃんのもの」に見えて、 手がつけられなかった。結局、 冷凍うどんを茹でて、 めんつゆをかけただけのものを、 無言で食べた。 味なんてしなかった。午前9時。 葬儀社の人が来た。 遺影用の写真を選ぶ。 アルバムをめくる手が震える。 どの写真も、おばあちゃんが笑っている。 颯音が一枚の写真を指差した。颯音「……これ……おばあちゃんが、俺たちを迎えてくれた日の写真……」俺も見た。 おばあちゃんが颯音を抱きしめて、 満面の笑みで写っている写真。 俺のときの写真もあった。 三人で写ってる写真も、たくさん。颯音「……これにしよう……」俺は頷いた。葬儀社の人が言った。「通夜は明後日、葬儀は明後日の翌日でよろしいでしょうか」 俺たちは頷くしかなかった。午後1時。 親族はもういない。 おばあちゃんは一人っ子で、 おじいちゃんは早く
Last Updated : 2025-12-16 Read more