「……なぁ、紬」 ふとレンくんが麦茶のグラスを傾けながら、優しい声で私に話しかけてきた。「はい? マグロ、もっと切りましょうか?」「いや、そうじゃない」 レンくんはグラスを置くと、アイスブルーの瞳で私を見つめた。 その目はいつものアイドル、絶対王者としての鋭さではなく、1人の父親としての深くて穏やかな光が宿っていた。「あいつらが、俺と同じドラマに出るんだな」「ええ。白石監督のドラマよね」「ああ。俺が主演で、あいつらが重要な子役。……同じ現場で、同じ作品を作る仲間になる」 レンくんは、口の周りにイクラの汁をつけて笑っている茉莉の頭を、大きな手で優しく撫でた。 茉莉はパパを見上げて、ぱあっと花が咲いたような笑顔を見せる。「それが、なんだか無性に嬉しいんだ。自分の子供たちが、同じ表現者として並び立ってくれることが。……同じ現場で仕事ができるのが、心底楽しみだ」 父親として、主演俳優としての偽りない喜びと期待の言葉だった。 私はその言葉を聞いて、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。 双子たちはまだこんなに小さいけれど、早くも広い世界に羽ばたこうとしている。父親であるレンくんと同じステージに立って、肩を並べようとしている。 なんて誇らしいんだろう。「ええ。この子たちなら絶対に、レンくんの自慢の共演者になれますよ」「ああ、間違いない」 次なるステージは、テレビドラマという巨大なプロジェクト。 しかも親子の共演という前代未聞の挑戦だ。 きっと想像もしない困難や、大人たちの思惑が待ち受けているだろう。 オーディションの時のような理不尽なやっかみに晒されることも、一度や二度ではないはずだ。 けれど、今の私には確信があった。 絆で結ばれた家族と仲間がいれば。 伊織と茉莉の持つあの強心臓と、何色にも染まらない純粋な輝きがあれば、どんな壁だって
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