そのすぐ横では、伊織がハルくんと一緒に大量のカラーブロックを広げていた。「ハルお兄ちゃん、ここのお屋根は青色にするの」「おっ、センスいいねぇ伊織! じゃあ、お兄ちゃんはこっちの壁を作るよ。これ、絶対超大作になるぜ!」「うん! おっきなお城作ろうね!」 ハルくんはオレンジ髪を揺らして、5歳児と本気でブロック遊びに熱中している。 さらにその奥のソファでは、セナさんが厚い洋書を開いていた。「伊織、茉莉。お城が完成したら、こちらの絵本を読みましょう。……『Once upon a time, in a faraway land...』」 セナさんは、流麗な発音で英語の絵本を読み上げる。 それに合わせて、伊織と茉莉が「わぁ……」と目を輝かせた。 茉莉はパパの背中から飛び降り、伊織もブロックを放り出してセナさんの両脇に座った。 夢中になって英語の絵本を覗き込んでいる。 セナさんの美麗低音ボイスが耳に心地よいのだろう、うっとりとしている。 置いてけぼりになったレンくんとハルくんは、ちょっと哀愁漂う顔で双子を眺めた。 アイドルの仮面を完全に脱ぎ捨てた、ただの良き父親、良きお兄さんとしての温かい素顔が目の前にある。 部屋の隅でカメラを回しているディレクターが、信じられないものを見る目で口をパクパクさせていた。「あ、あの……葛城さん」 たまらずといった様子でディレクターが声をかける。「本当に、この映像をそのまま放送してしまっていいんでしょうか!? 天下のNoixの、こんな……隙だらけのプライベートな姿を……!」 うん、その気持ちはよく分かる。私は内心で思わず頷いた。「構いませんよ」 セナさんは絵本から視線を外し、涼しい顔で答えた。「これが彼らの『オフの顔』です。ありのままを映してください。後ほどの『オンの顔』との対比が、より際立ちま
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