Semua Bab 生神様になったらめっちゃ思い通りになるんですけど: Bab 201 - Bab 210

305 Bab

第202話・魔族

「神威【鑑定】」 きゅう、と魔物の指揮を執る魔物にピントを合わせる。【鑑定結果:種族名/魔族ダークエルフ(闇魔術系) 固有名/オグロ】 魔族?【魔族とは敵対勢力に属する死物の種族名の一種であり、下から魔獣、魔物、魔族、魔人と続く。そのトップに立つのが魔神であり即ち滅亡の神、敵対勢力の長である】 なるほどね。これまで出てきた魔物よりワンランク上ってことか。あのワー・ベアが言っていた通り、いよいよ上層部がお出ましになる事態なわけね。 しかし……オグロとかいうヤツ、俺を生きたまま捕まえようって考えてる時点で、頭が回るとは思えないなあ。 頭の中に浮かび上がったそいつのステータスに目を通して、俺は肩を竦めた。「な……なんだ……? いや、私は魔族、魔物の上に坐する存在、それを生神が知って恐れ入ったのかもしれない。ならばそれを利用する価値はあるな」 ……うん、考え事は呟かないようにしようね。思い付きが全部出てるから。「うん、よし、私は偉い。大丈夫。出来る。これは神が私に与えたもうた機会だ。これを機会に私は魔人となり、神に傅く存在となるんだ。よし!」  どがっ。 うん、そりゃそうだろうなあ。ここまで考えてること口にして行動に移さない敵がいりゃあ、そりゃ俺だって蹴るだろうなあ。 後脚で蹴り飛ばしたプフェーアトは、くるりと体制を入れ替えて今度は前脚で魔族オグロを踏みつぶした。「ぐぎゅ」「魔族様が魔人様になっても俺は捕まえられないと思うけどねえ」 踏まれている魔族の前に座った俺の口角がまた上がる。「な、な、わ、私の考えを何故……いや、神に近い存在である私が神と同系統の考えを持ってもおかしくない……」「おーい、誰もこいつに、あんたは自分の考えを口にしちゃう癖があるよって教えてやんなかったのか? 可哀想に、自分の考え敵の前で喋っちゃった挙句不意付かれて潰されちゃったよ」「へ? へ?」 逃げ出そうとわたわたしていた魔物たちが、俺から一斉に目をそらす。うん、多分、知ってて誰も教えてやんなかったんだろうな。人望ねーな魔族様。「はい逃げんなよー? 逃げたら痛い目に遭う可能性が五倍増しになるからねー?」 オグロはプフェーアトに任せて、俺は魔物の群れに向かって歩いて行った。 多分、また、怖い笑みを浮かべているに違いない。 蒼海の天剣を握って
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第203話・祈り

『救出……感謝、する……』「サーラも直来る」『火蜥蜴の、今の名か……』 掠れる意識が流れ込んでくる。「とりあえず、グライフ、頼めるか」「ぐる」 グライフは悠然と歩き、土山に頭をつける。 グライフは神子じゃないけど、神獣で、俺とは主従関係にはあるし、天馬と属性が近いから、俺と天馬を繋ぐ溶媒になってくれるだろう。 グライフの背中に手を当て、俺は生命力を送り込んだ。「ぐぅっ?!」 一瞬グライフの身体が強張ったけど、ちゃんと生命力はグライフを通じて天馬に送り込めた。「悪いグライフ、無茶だったか?」「ぐるる。ぐるぅぐる」 大丈夫、と言いたげなグライフににっこり笑って頭を撫でてやって、土山を軽く叩く。「大丈夫か?」『生神の生命力……感謝する』 さっきよりはっきりした意識が届いた。『だが、情けない話だ』 自己嫌悪のにじむ声。『守護獣でありながら、守護する者を守ることも出来ず己を守ることも出来ず……彼らが切り刻まれるのを見ているしかないなどとは……』「……俺もだよ」 俺は首を竦めた。「人間を救うために来た俺なのに、こんな所でこんなヤバい研究されてるなんて思わなかった。俺がもう少し早く来れば、もう少し被害者が少なかったかもしれない……そう思うと、嫌になる」『生神もか……』 お互いに溜め息をつき合って、俺は心話を飛ばした。(ああ、シンゴ。天馬は見つけたんだな? いい風が吹いている)(完璧にじゃないけどな。まだ天馬は土山の中。俺の生命力を送り込んであるけど、守護獣を解放させる正しい方法俺知らないから)(神子契約を結べばいいではないか) サーラは何でもないことのように言うけど。(天馬は守りたい相手がいるだろう) そう、守護すべき存在を守れず悔やむ守護獣を神子にして連れ出すわけにはいかない。(シャーナを忘れたか?)(え) 忘れるわけがない。俺の最初の神子、世界を救ってくれと頼んできた、誰もいない神殿でただ一人俺が来るのを待っていた女性。厳しい旅には耐えられないからと神殿に残って俺たちのフォローをすると決めた強い人。(神子契約は確かに神子と生神を繋ぐ特別な絆だ。神子に信仰心がある限り、それは例え地の果てと果てに分かたれていたとしても絆は切れん。シャーナはお前と心を繋げるし、お前もシャーナの今を知る
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第204話・許し

 ……そうだな、後は守護獣次第か。 俺は再び土山に手を当てた。「天馬、俺の、神子になるか?」(願ってもないこと、我が守護すべき存在を守れるだけの力が与えられるのだから) そして玲瓏とした声が響く。「生神よ、我に名を授けよ! 汝と共に征く我を繋ぐ新たな名を!」 土山が真っ二つに裂けて、背に大きな翼を持った真白の馬が姿を現した。風と大地の守護獣、天馬。 んー……。「ベガ」 俺は名を呼んだ。「お前は今日からベガ、俺の神子だ!」【神子候補:べガ 信仰心レベル50000 属性:風/大地/神/聖】 端末をタップした瞬間、天馬を包んでいた真白の光が、荒れ狂う風となって空間を吹き荒らした。「うああっ」 魔物たちが清浄なる風に打たれて悲鳴を上げる。そう、魔の者を浄化する降魔の風だ。 すぅぅ、と四方八方に魔物を追い散らしていた風が、俺の目の前で渦を巻いて形を成した。「ベガ……ベガか」 呟くような声。「では、我はこれよりベガだ、よろしく頼む、生神よ」 背の高い、クールビューティーが立っていた。 ……また女。 なんで俺が名付けると女になっちゃうわけ? と思って、星のベガが織姫星だったことを思い出した。俺がペガサスからペガ、ベガと変えただけなんだけど、無意識で女にしちゃったか。 そっか、これも俺の好みかあ。胸は確かにこの顔立ちと体型から行けばスレンダーな方がいいな。しかし生神様とか言っておきながら好みのタイプの女性集めてるって性癖晒して歩いているようなものじゃないだろうか。「さて」 膝を折るプフェーアトと、騒動の隙に逃げ出そうとしていてプフェーアトに炎の縄で縛り上げられた魔物と、念入りに蹄の跡をつけられてこれまたギッチリ縛り上げられた魔族のオグロ。「済まなかったな、我の力が足りなんだが故に。そして、よくぞ生神を案内してくれた。汝の判断がなければ、生神が遅れ、被害者も増えたと思う。その功績を持って、プフェーアトをケンタウロスの成人と認めよう」「守護獣御自ら……ありがたき……お言葉……!」 そこへ、足音が聞こえてきた。「来たか」 サーラがずるずると魔物たちを引きずって現れた。レーヴェとミクンも引きずっている。「大漁だな」「囮にしたからな」 サーラはニッと笑った。「子供を閉じ込めてある部屋の二つある入口の
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第205話・名付け

「火蜥蜴。……いや、サーラか」「ああ、サーラだ。お前も女性形のようだが」「我はベガだ」「良い名ではないか。名付けを苦手とするシンゴが考えた割には洒落た名だ」「生神は名付けが下手なのか?」「ぅなっぅなっぅなっ」「ぶしゅう」 そこへコトラとブランが飛び込んできた。「ああ。サーラも子供逃がすのにブラン使ったのか」「ブランも高い戦闘力を持つ神獣だからな。ちゃんと戻ってきたのはヤガリに子供を預けられたか」「ぶしゅう」「さすが我が守護する一族に仕える神獣、えらいぞ」 ドワーフに仕えるブランは、そのドワーフを守護するサーラに褒められて、嬉しそうに鼻息を吐いた。「コトラ、よくやった」「ぅなあーご」 褒めた俺の言葉で、満足そうに鳴くコトラを見て、ベガは愉快そうに笑った。「なるほど、小さい虎だからコトラか。思えば天馬故ベガ、なのかも知れん。まあいい、我はこの名を気に入った」 しばらくほっこりした会話が続いたけど、守護獣二体の視線がオグロを始めとする魔族・魔物に向いた。「さて、こ奴らをどうしてくれようか」「痛い目に遭わせる……いや、足りんな。生まれてきたことを後悔するほどに痛めつけてくれようか」「シンゴ、お前、前にいいことをしていたな」「へ?」「こいつら全員に【再生】をかけてくれるか?」 ……うわ。キレてるわ。間違いなくサーラもベガもキレてるわ。「じゃあ、【再生】したらしばらく俺ら外で待つから、飽きたら呼んでくれ」 俺は、守護獣……と言うか美女二人にいたぶられる敵を見られるなんて嬉しいですごちそうさまですと言う性癖の持ち主ではないので、見ないことに決めた。「レーヴェやミクンは見たいか? そう言うの」「魔物相手でもそう言うところを見る趣味はない」「あたしもそんな悪趣味はない」 レーヴェもミクンも首を横に振る。「プフェーアトは?」「罰を守護獣が与えて下さるのだ、オレは問題ない」 とにかく全員見たくない、と言うのが本音のようだ。「じゃあ、外で待ってるみんなにもう大丈夫だって伝えに行くか」 俺は魔物たち(特に魔族)に念入りに【再生】をかけると、外に向かって歩き出す。「ひっ、ひぃぃぃ」「た、助けろ生神、貴様はこの世界の守護神だろう!」「うん、この世界を救うのが俺の仕事」 俺は振り向かず言った。「だから死物とは理解し合え
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第206話・記憶

「全員無事だったか」 自在雲をおろし、待っていたヤガリとアウルムの笑顔が眩しい。 洞窟の中で凄惨な現場を見てきていると、こういう笑顔にほっとする。「出てきて早速で悪いんだが、この子たちと彼らに神威を」 サーラ側が助けたケンタウロスの子供たち数十人と、肉体的には成人したケンタウロス十三人。「さらわれたのはもっといるらしいが、姿を消したと言っている」 多分、実験で死んだかしたんだろうなあ……。「とりあえず、子供たちに【浄化】と、大人に【巻き戻し】を……みんな、やられたことは忘れることになるけどいいか?」「構わぬ……」「あのような悍ましいことなど忘れ去りたい。出来るか?」「肉体も記憶も巻き戻すから、忘れる。ただ、子供は……気を付けて【巻き戻し】しないとなあ……」「ぼ、僕たちは大丈夫だよ」 ケンタウロスの子供の一人が言った。「忘れた方がいいこともあるぞ?」 俺自身も幾つものトラウマを抱えてきたからよくわかる。起きたことは全て忘れない方がいいと言うヤツもいるけど、忘れた方がいい記憶ってのも確かにある。【巻き戻し】で忘れられるなら、忘れさせてやりたい。今回は糧になる経験ではない。ただ無意味に暴力を振るわれただけだ。「俺の方は大した手間じゃないよ。お前ら全員忘れてしまった方が絶対楽だろ、覚えていていい記憶じゃないよそれ」「とりあえず、守護獣様にお伺いすると言うのはどうだろう」「プフェーアト?」「守護獣様が忘れた方がいいと言うならば皆も納得するだろうし」「そうだな、少し待つか」「サーラは?」「今洞窟内残酷ショーの開演中でお子様には見せられない状態が」 ああ、とヤガリは頷いた。「話は大人から聞いた。酷いことをするものだ。忘れた方がいいとお前が思うのも無理はない。もちろんアウルムや子供たちには大人にやられたことは話してない。子供に話すようなことじゃない」「ありがとう、ヤガリ」 ヤガリはこういう時にこういう気遣いができる。だからレーヴェも親しみを感じるようになったし、まだ反ドワーフ的なエルフにも神子と言うことを除いても多少は受け入れられているんだ。 しばらく、俺やレーヴェの【回復】で怪我を治したり、泣き出す子供をなだめたりしながら、サーラとベガを待つ。 しばらく、俺が持ってきた肉やパンを【増加】して、みんなで食
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第207話・種族

 一応敵のいた場所に俺を単独行動させるわけにはいかないと言ってきたヤガリとコトラをお供に、俺は神聖なる洞窟に入っていった。 ケンタウロスにとっての聖地なのに、勝手に魔物が空けた横穴。あとで塞いでおこう。「この洞窟の美しさと、掘られた横穴の稚拙さの差が極端だな」 鉱山育ちのヤガリがしみじみと言った。「やっぱこの横穴、無理やり空けたの?」「ああ。洞窟自体も人工的と言うか……掘られたものだが、神が形作った洞窟の美しさと言ったらない。しかし掘られた横穴がそれを台無しにしている。魔物の中にドワーフが一人でもいれば、もっと美しい穴を掘ったと言うのに」「横穴に綺麗や汚いがあるのか?」「あるとも。鉱脈に沿って掘られたような、岩に合わせて掘られた穴は美しいぞ。おれたちドワーフにも美的意識はある。それは鉱山においても同じだ。岩の目に沿って丁寧に拓かれた穴は崩れることはないが、鉱脈を探す為に無理やり掘った穴は岩止めや土止めで無理やり崩落を食い止めなければならんしやはり違和感を覚える」 ヤガリが地球のトンネルを見たらどう評価するだろうか。発破をかけて無理やり空けて無理やり固めた穴は、ドワーフからすると美しくないような気がするが。「だが、この空気は嫌いではない」「あー。多分それ、ベガのせい」「ベガ?」「ここにいる守護獣。天馬。風と大地の守護獣」「へえ」 ヤガリは小さく口笛を鳴らす。「なるほど、その守護獣が復活したなら、ここも元の聖域に戻るな」 頼るのはシンゴの【再生】だろうが、と付け加えたヤガリと共に、本道の一番奥、扉くらいの穴に風が吹き荒れている所まで辿り着いた。「なるほど、奥が聖域か」「そ。まあ今は残虐ショーが終わったばかりだろうけど」「魔物に同情しているのか? 守護獣に牙をむいた愚か者たちを」「まさか。守護獣の目の前でケンタウロスに手を出した時点でそいつが安らかに死なせてもらえないことは確定した。しかも調子に乗って守護獣自身にまで手を出した。あの魔族とやらはそれで神に選ばれると自信満々だったけど、俺が来た時点でもうその道はなかったな」「おれも同意見だ。しかし……魔族か」 ヤガリがぽつんと呟いた。「種族名は分かるか?」「確か、ダークエルフとか言ってたな」「なら、魔族で間違いないな。敵もこちらを潰すのに本腰を入れてきたわけか」 きょとん
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第208話・巻き戻すか否か

「なんか、考えてることを口に出してしまうお間抜けだったんだが」「魔力なんかが相当高かったんだろう。出なければ魔族とは言えん。ケンタウロスや守護獣の研究で成り上がった魔族だな」「あんな間抜けにケンタウロスをいいようにされただなんて、ベガも許せないだろうし俺も許せねえよ」「ぅな」「そうかコトラも同意見か」「な」 ヤガリは笑うと、風の中に入っていき、コトラと俺も続いた。「ああ、来たか」 サーラはスッキリした顔で笑っていた。 ベガは魔族を足蹴にして、すいと視線を泳がせる。「ひぃぃ……ひぃぃ……」 オグロとか言った魔族は涙と鼻水を流しながら呻いていたし、魔物はもう言葉も出ないらしい。 ただ、想像してた残虐シーンの気配は欠片もなかった。魔物がいる場所を除けば、聖域の空気の柔らかさ。血臭も吐いた跡もない。魔物に傷跡の一つもついていない。 多分、血を流したりとかしない痛めつけ方をしたんだろうなあ。ベガとしてはこれ以上ここを汚されたくなかったんだろう。魔族たちがどれだけこの聖域に勝手に手を入れてたかってことだな。その怒りの分も含めたんだろう。「……気が済んだなら、いいけど」「これ以上やってもこいつらには理解できないと思ってな」ベガはオグロの顔を蹴飛ばした。「じゃあ、【再生】を解くからちゃんととどめ刺してくれよな」 端末で、【再生】の効果を抜く。 ベガとサーラの目が光った。 ぶわり、と風が渦巻き、熱気を帯びる。 一瞬浮き上がった魔物はバラバラに分断され。 その肉は血を噴き出す前に熱風で粉微塵になった。「全く、魔族めらが」 ベガは忌々しそうに、塵を風に乗せて外に放った。「じゃあ、この洞窟自体も【再生】していいか?」「頼めるか?」「任せとけ」 俺は【再生】の範囲を洞窟全体に広げ、【再生】する。 出来た横穴や抜け穴も全部消え、ケンタウロスが歩ける広さがある聖域へと戻った。「それで、ベガに聞きたいことがあるんだけどさ」 俺は外で待っているケンタウロスたちを【巻き戻し】で記憶を消すかどうかを相談した。「消してやってくれ」 ベガは暗い顔になって言った。「その記憶は我が引き受ける。消してやってくれ」「……誰もベガが悪いなんて言ってないよ」「言わないだろうが、我自身が我を許せんのだ。我が守護する者たちなのに、我のせいでひどい目に
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第209話・宴

 多分、久しぶりに陽の下に出てきたベガは、眩しそうに目を細めた。 プフェーアトや大人のケンタウロスたちが慌てて膝を折る。 見た目では只のヒューマンだけど、大人のケンタウロスたちは気配を感じたんだろう。「守護獣様……」「済まなかった」 ベガは振り絞るように言った。「我が守らねばならないのに、真っ先に封じられ、成人すらさせられず……ケンタウロス狩りなどと言う愚行まで止められなんだ。許せ」 深く深く頭を下げるベガに、ケンタウロスたちは慌てた。「そんな! 顔をお上げください守護獣様!」「我々も油断したのです! 守護獣様のせいではありません!」「生神よ、頼めるか」「任せとけ」 俺は端末を操作した。「【巻き戻し】は一人ずつやらなきゃだから時間がかかるけど、全員きっちりいじられる前まで戻してやる」 その後、大人優先で【巻き戻し】を繰り返し、その間にベガは気配でケンタウロスを呼び集めていた。 ケンタウロスが集まり、ベガを見つけて涙にくれ、成人を認められなかったケンタウロスたちは全て成人したことになった。 全員【巻き戻し】が終わった後は、宴会が始まった。 守護獣の帰還、ケンタウロス狩りの収束、生神の救いの手。怯え竦んでいた草原の民は祝い踊った。 そして、その夜。 俺が【再生】した草原で、ベガは三日月を見上げていた。「ベガ?」「……ああ、生神か」 ほんの少し笑んで、ベガは俺に頭を下げた。「生神。我と我の守護する民を救ってくれたこと、感謝する」「礼はいらないよ」 ケンタウロスが成人の旅から帰ってきた時に振舞われると言う緑水をちびちびやりながら俺は答える。酒ではなく野菜ジュースのような味わいで、健康には良さそうだなと思う。「生神の仕事だし」「……生神よ」「何」「やはり、貴方は旅に出るのか?」「出る、と言うか、この世界を巡らないと世界再生は出来ないからね」「我は……」「いや、ベガがついてくる必要はないよ」 俺は笑顔をベガに向けた。「ヒューマンの一番神子シャーナも、原初の神殿で俺の帰るべき場所を守ってくれている。神子はついてきてくれるのが一番役に立つけど、留まって俺を信じてくれているのも立派な仕事だからね」「では、ついてこずともよいと」「ベガが守りたいのはケンタウロスだろ?」「だが、サーラはついてきてい
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第210話・危うい在り様

「無窮山脈は鉱石も戻り、炎水が出るようになって、守護獣が直接守護しなくても大丈夫な状態になったからだろ?」「ああ」 夜を裂くように明るい光を帯びたサーラがやってくる。「それに私は、炎水を通れば炎のある場所に行けるからな」「そうなんだ」「ああ。ベガも風と大地がつながる場所ならば何処へでも行ける。生神が風と大地のある場所で呼んだ時だけ行けばいいのではないか?」「なるほど」 ベガは頷いた。「それならばケンタウロスの守りも薄くはならんな」「この先、困難が待っていることは必至だ」 サーラも同じ三ヶ月を見上げて言った。「ついに魔族が出てきた。魔族と言うにも半端な存在だったが、それでも出てきたということは、魔人、魔神が出てくる日もそう遠くはない話になる。それまでにシンゴができるのは、信仰心の篤い候補を多く見つけ、できるだけ多くの神子と契約を交わすことだ」「……そうだな」「世界は広く、生き残っている人間は少ない。貴方が駆けつけても手遅れと言う状況があると思える」「……ああ」「だが、負けるな」 ベガは真っ直ぐ俺を見ていた。強い光を宿す目で。「貴方は生神。死物たちから生物を救い、世界を再生させる、この破滅のモーメントに残る最後の希望。だが、人間と言うのは身勝手なもので、希望は自分一人のためにあると思っている者もいる。自分が救われるのが遅くて文句を言う輩もいるだろう。年寄子供を差し置いて自分を助けろと言う輩もいるだろう」「……知っている」 両親が死んだ時、俺を押し付け合っていた親戚たち。親がいないと知って痛い揶揄いの言葉を悪気なくぶつけてくる同級生。将来性のない相手とは付き合えないと言った俺が生まれて初めて好きになった人。金を持っているんだから寄越せとのうのうと言ってのける大人。「でも、どんな状況でも、善意を持って接してくる人がいるよ。善意のおかげで、俺は生きて来た。人間は善ではない。かと言って悪でもない。不思議だね、同じ生き物なのに、ここまで違うんだ」 俺を育ててくれたおじさん。よくおすそ分けをしてくれた近所のおばちゃん。店番を手伝わせて、金はやれないからと売れ残りの野菜をたくさん分けてくれた商店街の八百屋さん。「そうか……生神は知っているのだな」「ああ。人間の善と悪。その両方を見てきた。最後にどちらを選ぶのもその人間次第だと
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第211話・善意と悪意

「危うい?」 俺の目は丸くなっていただろう。擬音をつけるなら、「きょとん」になるな。「言われたことはないか?」「いや……俺の生き方は俺だけが知っていればいいからって……」 おじさんも生き方を教えてはくれなかった。それは自分で決めて、自分だけが知っていればいいことだって。 ただ、俺はおじさんの生き方に……そうだな、リスペクトした。それを自分流にアレンジした。「善意だけで動く人間は、裏切られた時、怖い」 ……ふと、俺の笑顔が怖いと言った同級生を、また思い出していた。「生神は元は人間。であるからには、悪意や敵意、殺意を持って人を見たこともあるはずだ。それを徹底的に押し隠せる人間は、自分が守ると決めた制限が解除された時、怖い」「……別に善意だけで生きてるつもりはないんだけど」 不良やチンピラを徹底的にのしたこともあるし、質の悪い同級生に証拠を積み上げて警察に突き出したこともある。この世界に来てからも、相手が死物とは言え、【再生】で死なないようにしていたぶって情報を手に入れたこともあった。本当に善意の人間はそんなことしやしない。 と言っても、ベガはまだあの目で俺を見ていた。「悪意を許せないのは正しい。善意を装った悪意はもっと許せなくて正しい。ただ、貴方は笑顔の裏で相手を陥れる準備をする。最も効果的な場面で最大ダメージを与えるために。そう言う人間が完全に悪意の方に傾いだら、どうなるだろう」「んー……」「善意を装うのに長け、最後の瞬間まで偽りの善意を続ける。そんな人間が力を持っていたら、と思うと怖くなる。……ああ、別に貴方のことを言っているわけではない。わけではないが、我は守護獣として人間を長く見てきたため、危惧してしまうのだよ。もし、世界を救う生神の力が、滅亡に傾いだら……と」「……確かにね」 俺は守護獣二人の間に座って、水で唇を湿らせながら続ける。「俺は潰すと決めた相手は徹底的に叩き潰す。ベガの言った通り、善意を装う悪意がどうにも許せない。多分、子供の俺に親の財産プラス保険金……ああ分からなくていい、とにかく定期的に金が入ってくると知って、途端に群がってきた自称親戚共なんか、許せないの筆頭だった。親が死んだ時厄介者扱いして、金があるとなると掌を返して寄ってくる。そんな大人が許せなかった。おじさんがいなきゃ、おじさんが身をもって守ってくれなき
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