魔獣の気持ちが分かるようになったなら、魔獣に向けて拒絶の気持ちを送ることができるかも知れない。 よし。 来るな……来るなよ……。こっちには神獣がいるんだ……お前らの餌にはなれない……。お前らが無駄死にしたいって言うなら別だけど……。 魔獣が怯んだのが分かった。 よし……。そうだ、帰るんだ……。俺たちを狙っても、お前らにいいことはない……。いい子だから、な……? 魔獣の気配が遠ざかっていく。 飢えた魔獣の気配が一つ、一つ、消えていき、こっちに心残りを感じながら最後の気配が去って行った。 魔獣は……いなくなった。「やったじゃないか」「ぐるぅ!」 グライフが駆け寄って来て俺の背中に頭をぶつけた。「グライフ、シンゴ」「ヴェデーレの才能は本物だな」 シンゴが笑っていた。「魔獣を退ける獣使師なんて。万に一人もいないって言うのに、それをやってのけたんだぜ?」「え? そんなに少ないの? てか何時シンゴそれを知った?」「まあ、ちょっとばかり能力を使って」「能力って」「ヴェデーレの獣使師の才能と同じだよ。俺もちょっとした才能があって、必要な情報を好きな時に引き出せるんだ」「まだ能力持ってたの」「色々と」 でもヴェデーレの獣使師の才能に比べたら大したことないけどね、とシンゴは笑う。 いや、好きな時に正確な情報を引き出せる能力ってなんなんだ。クラス魔法剣士って言ってたけど、実は剣が得意な賢者とかじゃないだろうな。この盛り盛り男は一体何者なんだ。 シンゴの素性に改めて疑問を感じる。 でも、いっか。 シンゴに会えなかったらグライフに会えなかったし。グリフィンをブラッシングできる人間なんて、フェザーマン以外じゃシンゴと俺しかいないだろ。「じゃあ、【木壁】は解除するな」 すすすっと木の枝や根が絡み合って出来ていた壁が消える。 幌の上に登っていたトーノが首を傾げる。「なあ。何やってたんだ?」「何て」「魔獣、出なかったじゃん。シンゴもグライフもあれだけ警戒してたのに。シンゴとヴェデーレが喋っていただけで、結局何も出てこなかったじゃん」「ああ、魔獣が向こうから消えたみたいだな。余計な戦闘がなくてよかった」 シンゴはすらっと言った。 え?
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